つなぎゆく〜石垣島住民投票３年目の秋に〜

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2022/01/14 地域

つなぎゆく〜石垣島住民投票３年目の秋に〜

10月末の石垣島は、思いのほか肌寒い。

石垣市住民投票を求める会が結成されたのは、3年前のこの季節だった。

「話そうよ」と歌いながら、ギターや三線を持ったメンバーのまわりに次つぎと若者たちが歩み寄る。壇上の彼らをまぶしそうに見つめ笑顔で拍手をおくるのは、多くが島の先輩たちだ。この大署名運動会を皮切りに、2018年11月のひと月で、彼らが集めた署名は14,263筆。住民投票実施を求めたその数は、市の有権者の1/3を超え、4割に届こうとしていた。

石垣市平得大俣地域への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票。
その実施を求めて署名した市民には14,263とおりのそれぞれの想いがあった。署名しなかった人、署名できなかった人、そのそれぞれにも、考えや想いが。
地域のこと、島のことを自分たちで考え、話し合いながら決めたい。異なる意見が出ることも理解し、認め合いながら対話を重ね、島の未来をつくっていきたい。
求める会は結論よりもプロセスを重視したが、結論ありきの政策がそれを許さなかった。

表に立ちメッセージを発してきた求める会の4人のメンバー、そして新たに原告のひとりとして手をあげた市民。5人の暮らし、生業の場を訪ねた。家業の農家を継ぐ3人の若者は30代になり、親となっていた。署名運動から3年目の秋。ひとりひとりが自分の言葉で卒直に、いまの想いを語ってくださった。

私たちが小さな「いま」を積み重ねた先に未来はつくられる。
先人たちの蒔いた種は、いま芽吹いている。

つむがれた言葉は、やがて私自身のところにかえって来た。

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石垣市自治基本条例の住民投票について定めた第28条（当時※後述）には、有権者の1/4以上の署名が集まれば、代表者は市長に住民投票の実施を請求でき、市長はこれを「実施しなければならない」と定められている。
しかし石垣市の中山義隆市長は、現在に至るまで住民投票を実施していない。
このため2019年9月、求める会のメンバーを中心とした市民30人が原告となり、市に実施を義務付ける行政訴訟を起こしたが「訴訟要件にあたらない」とされ、昨年8月の上告棄却により敗訴が確定した。
一方で昨年4月には、新たに訴訟を提起。義務付け訴訟でなされなかった、訴えのなかみの判断がなされるよう、原告の市民が住民投票できる地位にあることや、市が住民投票を実施しないのは違法であることを確認する行政訴訟（当事者訴訟）が継続中で、第３回口頭弁論が3月1日に予定されている。

この両訴訟中の昨年6月、石垣市議会は訴えの根拠となる「住民投票条項（第27・28条）の削除」を含んだ自治基本条例の「改正」案を与党の賛成多数で可決させている。
この削除が裁判に溯って影響を及ぼすことはない。しかし、有権者の1/4以上の署名数という高いハードルを設けつつも、それを超えた時には市民は住民投票でその意思を直接表明することができると定められた市民の権利は、市議会と追従した市長により奪われてしまった。

沖縄県全体が選挙イヤーとなる2022年がやって来た。
石垣市では2月27日に市長選挙、市議補欠選挙が行なわれるー。

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【関連リンク】

▷石垣市住民投票を求める会

▷当事者訴訟第一回口頭弁論「川満起史さん意見陳述」全文

▷当事者訴訟第二回口頭弁論「金城龍太郎さん意見陳述」全文

▷義務付け・当事者訴訟記録

▶︎堀潤さん( 8bit News )YouTubeチャンネル
🎤トークイベント

▶️ウーマンラッシュアワー村本大輔×ジャーナリスト堀潤×石垣島からの声『島人〜すまぴとぅ〜と考える大切なことー石垣島全国初の住民投票義務付け訴訟からー』
（2020年8月11日配信）

▶️『私たちが控訴を決めた理由』　石垣島島人(すまぴとぅ)と考える②
（2020年9月23日配信）

▶️石垣島の自衛隊配備計画　訴訟に発展しているのを知っていますか？石垣島島人〜すまぴとぅ〜と考える③ 『住民投票の権利ー当事者訴訟とはー』
（2021年10月12日配信）

▶︎蔵原実花子 8bit News掲載
🎥ドキュメンタリー