石垣島の中心部、沖縄県内一の高さを誇る於茂登岳の南側に位置する平得大俣。パイナップルやサトウキビなどの農地が広がる自然豊かな地帯、その一角に木方基成さんの「ダハズ農園」はあります。「だはず」とは沖縄の方言で、幾度となく自然災害の影響を受け思い通りにものごとが運ばなかったこの土地ならではの、おおらかさを表す言葉です。それは「あきらめ」とも「はげまし」とも少し性格が違うようで、一言で説明するのは難しい。けれどこの言葉が好きなのだと木方さんは言います。
ジャングルのような状態から、重機を使わず自然と直接触れ合う感覚を大事に時間をかけて作ったダハズ農園。木方さんにとって、今では自分の身の一部と感じるかけがえのない土地となりました。「百姓」として、また自ら育てた藍で染めた藍型や紅型の作家として、家族と共に生きてゆくビジョンがやっと見えてきた・・そんな時にある問題が持ち上がります。配備予定の陸上自衛隊の駐屯地、その建設候補地の敷地内にダハズ農園が入っていたのです。
“反戦のシンボルではなく、あくまで普遍的なクエスチョンマークでありたい”
2018年9月。早期の工事着手に向けて測量などの業務が進められる平得大俣で、木方さんのお話を伺いました。
【補足・石垣島への陸上自衛隊配備計画の現在】
・自衛隊配備の空白地域となっている南西諸島の防衛の強化、大規模災害への対応が主な目的とされています。
・与那国島では2016年に基地が完成し、すでに沿岸監視隊を中心とした150人規模の部隊が配属されています。また宮古島(700〜800名規模)と奄美大島(550名規模)では現在建設工事が進められています。
・石垣島には警備部隊、地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊が500〜600名規模で配備される予定で、防衛省は2018年度内に建設工事に着手する方針。一方住民側からは陸自配備計画の賛否を問う住民投票を行うための署名が有効数集まっており、投票の実施について議会の判断が待たれる状態にあります。