2020/10/26 地域
僕らは話したい、そして聴きたい。〜石垣島住民投票・一審判決ドキュメンタリー〜

話そうよ 話そうよ
今日のできごと 未来の夢

咲かそうよ 咲かそうよ
色とりどりの花 みんなの心に

認めよう 認めよう
あなたと違う人 あなた自身を

話そうよ 話そうよ
大切なこと 島のこと

2018年11月。こう歌いながら、笑いの絶えないパフォーマンスで運動を広め、市民から署名を集めた「石垣市住民投票を求める会」。ひと月で集めた署名数は、市の有権者の3人に1人(37%)。それは圧倒的な民意だった。

「石垣市平得大俣地域への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票」。
石垣島への陸上自衛隊配備への賛否ではなく、島の中心部、平得大俣地域への陸自配備計画についてみんなで考えて意見を出そうという、より具体的なワンイシューでの市民の意思表明の機会をつくる。これまでの市長選、市議選で争点になることを避けられ、地元の人たちにすら正確な情報が伝えられてこなかった問題。それを表舞台の対話の場に引き出すことで、見えない不安により起こる島人の分断と対立を避けることができるー。賛成でも反対でも、大切な島の人の声として尊重することが、大好きな島の未来を明るいものにするための一歩だと信じ、求める会の若者たちは、立ち上がった。

ところが2019年2月、市議会は、この条例案を否決。4ヶ月後には野党議員発議で再び審議されるも、2度目の否決。有権者の50分の1の連署をもって議会にかけることができるとされる全国共通の「地方自治法」のハードルをかなり厳しく上げた「4分の1以上の連署」により市長に住民投票の実施義務を負わせた市独自の「石垣市自治基本条例」。このハードルを大きくクリアした市民の声が、議会と市長の思惑により、消されようとしていた。

この間も、求める会のメンバーは、市議会議員や市長に面談を求め、住民投票実施のために直接訴えかけ続けたが、議論は平行線に終わる。
このような経緯から、彼らは訴訟に踏み切った。相手を責めるやり方は避け、市長に住民投票の実施義務があることを判断してもらう行政訴訟を起こす。
市民から預かった住民投票実施への想いを、最後の手段として司法に託す。それは、議会や行政とも対立したくはなかった彼らの苦渋の決断だったー。



この映像は、1年の司法の場でのたたかいを経て言い渡される、2020年8月27日の判決の日の求める会を追ったドキュメンタリーで、6月9日の結審後の会見や判決後日の金城龍太郎代表へのインタビューを含め構成しています。
判決当日の彼らは、新型コロナウィルス対策として石垣島と沖縄本島の往復という県内の移動を自粛し、石垣市の大濱信泉記念館にて那覇地裁からの判決結果の連絡を待ち、沖縄県庁記者クラブでの会見にはリモートで繋ぎ、出席しました。
金城代表へのインタビュー時、また4人のメンバーの写真撮影時は、撮影用にお願いし、感染対策をした上で特別にマスクをはずしていただきました。

地対艦・地対空ミサイル部隊が配備される予定地の、直線距離約300メートルという距離で果樹園を営む金城龍太郎さんの行動の源は、地域の人々への想いです。そして問題は違えど全国(あるいは世界)に、自分と近い想いを抱えた人がいることを知っています。みんなが「ひとつ」になる必要はない。でも、ひとりではないことを知ってほしい。
金城さんたち、石垣市住民投票を求める会の新たな船出が、はじまります。



【石垣島への陸上自衛隊配備計画と石垣市住民投票の主な経緯】

2015.11.26 若宮防衛副大臣(当時)が来島、中山義隆市長(現)に陸自駐屯地受け入れを要請。
       500〜600人規模。地対空・地対艦ミサイル部隊、警備部隊。候補地は平得大俣地域

2017.5.17 若宮防衛副大臣再来島、施設配置案を提示

2018.3.11 石垣市長選挙、中山氏3期目当選
(中山氏は陸自配備容認の立場だが、明確に賛成の立場として争点化していなかった)

2018.7.18 中山市長、陸自配備受け入れを正式に表明

2018.9.9 石垣市議会議員選挙、与党系(石垣市は保守系)13、野党系9の議席を獲得
(野党が配備計画に反対の立場を示したのに対し、与党は明確な争点化を避けた)

2018.10.13 石垣市住民投票を求める会結成

2018.10.31→11.30 署名運動

2018.12.20 有効署名14,263筆と住民投票条例制定の請求書を市長に提出

2019.2.1 住民投票条例案、市議会で採決、10対10の可否同数による議長採決で否決。
否決の理由は「審議不足」

2019.3月初旬 沖縄防衛局が平得大俣で駐屯地建設のための造成工事に着手

2019.6.17 議員発議による住民投票条例案が、再び否決

2019.9.12 求める会ら市民50人が原告となり、市に対し、那覇地裁に提訴

2019.11.19 第一回口頭弁論

2019.12.16 市議会で、市長の住民投票実施義務の根拠となる「石垣市自治基本条例」の廃止案を審議、採決。
10対11で否決

2019.12.24 第二回口頭弁論

2020.2.13 第三回口頭弁論

2020.3.2 市議会で、配備予定地にかかる市有地の売却案を審議、採決。
     11対9で、可決

2020.6.9 第4回口頭弁論・結審(新型コロナウイルスの影響により、4月から延期)

2020.8.27 那覇地裁判決

2020.9.8 求める会、福岡高裁へ控訴



■石垣市住民投票を求める会
https://ishigaki-tohyo.com

■「この島の人たちが本音で話せるように〜石垣島 ハルサーの闘わない闘い〜」
記事・写真 蔵原実花子(TWFF)
https://note.com/twff/n/nfa7435c6936b

■ウーマンラッシュアワー村本大輔×ジャーナリスト堀潤×石垣島からの声
「島人〜すまぴとぅ〜と考える 大切なこと ー石垣島 全国初の住民投票義務付け訴訟からー」
(堀潤氏司会トークイベント・判決前)


■「私たちが控訴を決めた理由 石垣島・島人~すまぴとぅ~と考える2」
(堀潤氏司会トークイベント・判決後)

私たちが控訴を決めた理由 石垣島・島人(すまぴとぅ)と考える2



■「於茂登 命をめぐる水と生きて」

於茂登 命をめぐる水と生きて



■「だはずの人-A Field of Flowers Forever-」

「だはずの人 -A Field of Flowers Forever-」私が藍を植えつづける理由。石垣島で今、何が起こっているのか。

プロデュース :蔵原実花子
Comment

コメントは管理者が承認後に表示されます。

Page Top