この動画の要点
- 東北の起業家と跡継ぎをテーマにしたビジネスカンファレンス「ATERUI」が仙台で開催され、地域の未来を担う若者たちの本音が語られました。
- 青森で「おまつりインターン」を運営する学生起業家の古井茉香さんは、仕事だけでなく暮らしへの不安を解消する仕組みの重要性を訴えています。
- 参加した学生たちからは、一度は東京や海外に出て経験を積みたいという意向や、採用目的だけで若者に接触しようとする企業への違和感が示されました。
- 若者が地域に残る条件として、単なるキャリア支援ではなく、パートナーの存在を含めた「ライフプランニング」を共に考える大人のサポートが必要であるという意見が出されました。
全文書き起こし
古井茉香さん: なんかさ、ぶっちゃけさ、地域に戻ってこいとかみんな言うけど、私全然無責任だなって思うのよ。仕事だけじゃなくて暮らしの方も不安なのに、よく言うわって私は思ってたんです。
ナレーター: ビジネスカンファレンス「ATERUI」。人口減少や過疎化という厳しい現実を、未来の課題解決を先取りできるチャンスと捉え、大きな「熱」に変えていく。歴史上の人物の名を冠したこのカンファレンスのテーマは、東北の起業家と跡継ぎ。受け継いできたものをどう次の時代へとつなげていくのか。東北の未来を見つめながら、その答えを探っていく。しかし、このビジネスカンファレンスで聞こえてきたのは、若者たちの意外な声だった。
ナレーター: 古井茉香さん。青森で事業を営む学生起業家だ。
古井茉香さん: お祭りを活用して、地域でキャリアを描きたい学生と、地方の面白い企業をつなぐという取り組みを、会社を経営しています。具体的には「おまつりインターン」と言って、日中は企業でインターンをして、夜は一転、お祭りの世界に飛び込んで、そこの会社の社長さんや銀行の頭取、肩書きを超えて社会人と学生でお祭りに参加するという。仕事の不安も暮らしの不安も解消できるような滞在型のインターンプログラムを、人材採用支援の事業として展開をしています。
ナレーター: ATERUIを訪れた古井さんに密着した。
古井茉香さん: 地元八戸なんですけど、地元出身の大学生に運良く運営の方経由で出会うことができたので、おしゃべりしてました。
学生(ピンク髪): こんにちは!
古井茉香さん: 一旦東京、大阪行って、疲れたら戻るっていうのも全然ありだし、一発目からローカルで挑戦したいと思ったら連絡してください。
学生(ピンク髪): 卒業後は、本当にまだ何も決まってなくて。だからやりたいことを見つけるのも目的でインターンに入ったので、今探し中です、将来。
聞き手: やっぱり青森、八戸にいたいなって思いはあったりしますか?それとも外に出てみたいですか?
学生(ピンク髪): 私は、どこか別のところで働きたいです。どこかはまだイメージできてないです。
学生(金髪): 私は将来目的には仙台で働きたいかなって思ってるんですけど、今考えてるのは通訳と翻訳をやることなので、それをこういういい機会でなんか活かせたらなとか、ヒントを得たりとか、もっとさらに深く考えられたらなとか思ってます。
古井茉香さん: おまつりインターンを実施した際の事務局メンバーで、弊社でインターンを半年間してくれてた学生です。
学生(男性): 一旦就職はするつもりではいるんですけど、僕はそもそも将来的には地方の方で何か自分で事業を起こしたいなって気持ちが強くて。で、一回就職は東京に行こうと思っているのは、地方の魅力を発信するってなった時に、一回東京にいるかいないかってすごい重要だなって僕の中では思っていて。東京に行ったことがあるからこそ、より地方ってここがいいんだよっていうのを伝えられるっていうところがあると思うので、そういう面で一旦就職は東京にして、その上でどういう地方で自分の事業を起こしていこうかみたいなところで言うと、今住んでる自分の地元でもいいですし、こうやってせっかく関われた機会なので青森っていう選択肢も僕の中で一個持てたっていうことは、今回のインターンですごい良い経験だったなって思ってます。
学生(女性): 私も彼と割と似てる考えではあるんですけど、違う切り口的に言えば、やっぱり一回若者が県外流出って結構問題になりますけど、一回出ちゃうっていうのは私の中でいい経験だったなっていうのは、大学に実際県外でこう出てみて思ったっていうのが一つあるので。ただまあ、私も将来的には青森で何かお仕事がしたい、青森に還元したいって気持ちはあるんですけど、今すぐ帰ったとしても、まだその自分のビジョンを達成するにはまだ力不足だし経験不足だなっていう風には思ってるので、まあそこの経験するためにはやっぱり東京だったりとか、なんなら海外とか出て広い世界を見た上で言うのはやっぱり説得力だったりとか違うと思うので、まあそういう意味で就職はまずは県外とか国外でしたいなって思ってます。
ナレーター: この日、古井さんはトークセッションに登壇することになっていた。セッションのテーマは「現役学生が吠える!10年後の東北に私たちが『いる』条件」。控え室で話題になったのは、企業と学生団体がどう関わっていくのかということだった。
奥裕二郎さん(一般社団法人Brush代表理事): やっぱ上手いこと使おうとしてくるじゃないですか。そういう大人がいる限り、学生は搾取でしかないから。君たちがやりたいことやれるんだよという文脈の搾取を学生団体はされまくるから、Brushは全部断るようにしてるんですよ。「5人呼んだら1万円あげるよ」って言われても、そういうのマジでやってないですって言って全部断る。
高橋由有さん(一般社団法人とんペディア理事): お金以外のワクワクを求めて企業さんとお付き合いしているし、あと採用の文脈でしか人が来ないっていうのはキモい。大人がってことですけど。人材としてしか見てないから。そういう関わり方じゃなくて、もっとこの団体と自分の会社がやってることと、それぞれのアセットを組み合わせてどういう面白いことができるかって話ができる会社が少なすぎる。
ナレーター: 企業として学生と向き合ってきた古井さんだからこそ、見えているものがある。
古井茉香さん: 人事部長に話を上げるっていう稟議を通さないといけなくて、その人たちってKPIっていう数でしか上に評価されないっていう、そもそも評価制度がおかしいんだよね。だからもし担当が奥くんとか由有ちゃんの理念にめっちゃ共感してたとしても、数字でしか金が上から降ってこないから、どうしてもそういう聞き方になっちゃうのは仕方ないのかなって聞いてて思ってた。
奥裕二郎さん: 自分たちも山一地所がメインスポンサーなんです。で、山一地所も稟議えげつないんですよ。すごい色々やらなきゃいけない。そん時にこっちとして、そう言うからにはちゃんと実績とアウトプットクオリティを示せるポートフォリオと、あとは人をちゃんと全員出向かせるっていう、ここは最低限努力しなきゃいけないなとは思いますね。
古井茉香さん: KPIとかKGIとかにこだわりすぎない部署が各地域とかにできたり、もしくは各地域企業がコンソみたいなもの軽く作って、1社10万円でもいいから出し合って、そこからはもう好きなだけお金使っていいよみたいな、東北の学生が羽ばたけるような仕組みは作んないとダメなんじゃないのかなって思う。ハトロン(ATERUIの旧称に関連する言葉)がただでさえ少ないのに。
古井茉香さん(セッションにて): 覚悟を去年決めましたので、このまま青森に拠点を置きながら日本全国、世界各地を飛び回る予定です。で、これちょっと裏トークで出てきてたんですけど、私、彼が、恋人が青森に住んでいるっていうこともあって、それも今後のキャリアというか将来を決める大きな要因になった感じです。でもこれは結構学生あるあるかと思います。恋人、または、はい。
木津裕人さん(一般社団法人EKKYO.HUB理事): そうなんだよね。最初の二人がこれに触れなかったんですよ。裏側で僕ら何話してたかって言ったら、恋人がいるところに進むよねみたいな。仕事じゃない、正直。ちなみに僕もすごい簡潔に言うと、今修士2年生です。で、ドクターに進学します。なのであと3年半学生をしています。その後どこに行くんですかって言われると、大学にいると制度上、東北から出ないといけなくなります。それはPhDっていうのを取るためには他の大学に行った方が都合がいいからです。じゃあそれ以外のことを社会に対して何かやっていきますっていう風になっていくのであれば、行く可能性が高いのは秋田です。なんと。で、なんで秋田なんですかって言ったら、これが彼女がいるから。もうしょうがない。
古井茉香さん: いつか地元で貢献したいっていう学生ってめちゃくちゃ多いと思うんです。私がサポートしてる大学生、よくそういう言葉を言います。ただ、一緒に青森で挑戦したい学生を、若い子を増やそうともがいて切磋琢磨しているお客様といつも言っているのは、5年後に帰りたいとか10年後に帰りたいのその惰性で何年後って言ってる子たちに対して、どれだけ責任を持ってその帰りたいと思ってる年数を短くできるか。キャリアプランニングじゃなくてライフプランニングまで一緒に考えていく、そういう大人が必要なんじゃないのか、そういうサポートが必要なんじゃないのかっていう話をよくしています。
古井茉香さん(インタビューにて): 東北で活動している学生みんなで、「いる」とか「残る」っていう言葉じゃなくて、ここで挑戦していきたいとか、ここで明るい未来を描いていきたいと思える道筋を描くことの方が大事だよね。そういう言葉をぜひ大人側から学生に問いかけてほしいっていうメッセージを一番に伝えられたかなと思ってます。やっぱり私がずっと言っているのは、仕事の悩みだけじゃなくて暮らしの悩みが大きいんだよと。そこが暮らしの悩みの方が解消されない限りは、地域でキャリア、未来を描く学生が簡単に増えることは少ないんじゃないのかなと思ってます。具体的には、例えば今日のトークセッションに出てきた具体的な例としては、好きな人とか恋人、つまり人生のライフパートナーになるような人が、例えば地元出身ではなくて別の地域出身だったら、どちらかに住むことを選ばないといけないですし。人生を共にしていきたいと思えるパートナーが、自分が未来を描きたい地域にいることだったり、自分が描いていきたい未来に対して理解を示してくれて、一緒にその地で挑戦しようって言ってくれるようなパートナーの理解が得られるかどうか、出会えるかどうかみたいなところも、すごく学生としては地域で挑戦していく時のジレンマとして上がってくるんじゃないかなと思ってます。誇りを持てる人生をこれから東北で歩んでいくことができるんだっていうのを示していきたいですし、東北がそういう場所になったら嬉しいなと思ってます。
概要(動画説明欄より)
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