この動画の要点
- 北海道京極町の農業法人で働いていたミャンマー人労働者の男性が、経営者である町議会議員とその息子らから日常的に暴行や虐待を受けていた実態を告発しました。
- 男性は、仕事の遅れや不手際を理由に頭を叩かれる、蹴られるといった身体的暴力のほか、故障原因が不明な機械の弁償金を給与から強制的に天引きされるなどの不当な扱いを受けていました。
- 退職を申し出た際にも書類を破り捨てられ暴行を受けたため、身の危険を感じた男性は警察に相談したのち、支援者の助けを借りて東京へ避難しました。
- 男性と支援団体は、未払い賃金の支払いや謝罪を求めるとともに、弁護士を通じて刑事告訴などの法的措置を検討しています。
全文書き起こし
ミンスイ:ミャンマーでは大体、ご飯食べる時、この野菜のセットみたいなものはあるんですよ。家庭でもあるんですよ。この野菜も一緒に食べる。たまにこの中に、青唐辛子も、青唐辛子をつけて食べる家庭もいる。じゃあ、いただきます。
ナレーション:北海道京極町の農業法人で、実質的な経営者である町議会議員の男性とその息子2人から虐待を受けたとして、東京に避難してきたミャンマー人労働者の男性です。自身に対する暴行についての記者会見を前日に控えたこの日、彼をサポートする在日ビルマ市民労働組合会長のミンスイさんと、都内のミャンマー料理店を訪れました。
記者:どうですか?
ミャンマー人労働者:美味しいです。
記者:ミャンマー料理はいつぶりですか?
ミャンマー人労働者:ちゃんとした料理を食べるのは、もう4ヶ月ぶりです。
ミンスイ:町議会議員自らそういうことをやっちゃったということは、それで本当にいいのかと。技能実習生の時は、管理団体と会社は一体にはなっていなかったんですよね。ただ特定技能の場合は、登録支援機関と会社は一体になっているんですよ。どうやって管理するのかということも、大きな問題ではないかなということも考えなければならない。これは明日、記者会見で弁護士さんに委任する委任状です。
記者:刑事告訴する時の、まさに代理人としてお願いするということですね。
ミンスイ:そうです。一応、刑事告訴という形になったとしても、東京でできるのかということは未だにまだわからないんですよ。北海道になる可能性もゼロではないので、その時、北海道の弁護士先生にもそれをしないといけないかもしれない。
ナレーション:彼が受けた被害は、一体どういったものだったのか。話を聞きました。
記者:北海道の京極町で、実際にどんなことがあったのか教えていただけますか?
ミャンマー人労働者(ミンスイ通訳):私は今年の5月18日に日本に到着して、19日から仕事を始めた。22日で最初に暴力をされた。なぜかというと、ジャガイモのバケツを載せた時、綺麗にならないなということで頭を叩かれた。その後も草刈りが遅いと頭を叩かれ、臀部を蹴られたほか、寮の部屋に入ってきた町議に胸ぐらを掴まれ、階段から落ちたこともあったと言います。
ミャンマー人労働者(ミンスイ通訳):6月のことなんですけど、チェーンソー、薪を切るチェーンソーですね。それが壊れた時に、弁償しろと言われました。僕たち2人で作業していたので、1人4万円ずつ、2人で8万円を弁償するように言われました。それで6月分の給料を7月にもらった時に、1人4万円ずつ弁償しました。
ナレーション:不具合の原因が特定できないまま弁償することに。他にも調子が悪い草刈機の弁償も強いられたといいます。こうした仕打ちに耐えられず、入社から60日目にあたる7月17日、会社側に退職したいと申し出ました。しかし、返ってきたのはさらなる暴力の応酬だったといいます。
ミャンマー人労働者(ミンスイ通訳):17日の夕方に彼はどうしても耐えられないということで、退職届みたいなものを出そうとしたところで、退職届の紙を捨てられて、こう(頬を)グッとされたり、胸あたりにグーで、めちゃめちゃ強いではまだないけど、そういう風にやられたりということもあって。この後は彼は普通の仕事を続けていた。
ナレーション:その時の録音が残っていました。
録音音声(経営者):何よ。退職?何が退職だ。アホか(バシッ)。また訳のわからん……。私の顔を〇〇で叩かれました。〇〇〇〇んにゃろー。お前がアホなことするからだべや。仕事いけおら早く。自分でやれ早く。
ミャンマー人労働者:したくない。
録音音声(経営者):したら、休んでれ。したくないだ?お前ふざけたこというなよおら。おい。何が仕事したくないよ。出来もしないくせに何を言ってんのよ。ん?まともに仕事したやつが、あ?言うんだ、そういうことは。あ?私に〇〇〇〇。仕事しねーからだべや。言ったことも分からん。何一つ理解できない。ん?お前、言ったことまともに一回でもできたか?おい。ん?言ったこと一回でもできたか?出来もしない奴が、何言ってんのよ。黙ってやれ。わかったか。わかったか!?
ミャンマー人労働者:わかりません。
録音音声(経営者):何がわかりませんのよ。何がわかんないのよ。おい。ん?何がわかんないのよ。おら、こっち見ろ。何がわかんないのよ。黙って仕事やれ?何ができませんだ、やりませんだ。ふざけんなこの。まともに一つもできないくせに。偉そうなことばっか言ってんじゃねえよ。言われたこと、まともにやってから言え。ふざけんな、この。やれ、おら。やれ!やれ、早く。はい。早くここやれ、こら。
ミンスイ:この「パチッ」という音は、頭を叩かれたという音。
ナレーション:退職を認められなかった男性。翌日も頭を叩かれ足を蹴られたほか、怪我につながる暴力にもさらされたといいます。
ミャンマー人労働者(ミンスイ通訳):7月の22日に収穫したブロッコリーを水洗いするところで、その隣に長男と思われる方もホースで洗っているところ。それでブロッコリーが載ったバケツを彼が地面に下ろしたところを、彼も声をかけるのが少し遅くなったところで、ちょっとぶつかって。倒れそうになったところで、そのホースの前にあるパイプで彼の手のところにポーンと叩かれて。それは写真にも今だに怪我の写真が残っている。それでちょっと腫れたということがあった。
ミンスイ:(スマホの写真を見せながら)これが彼が怪我した左の腕、肘の上ですよね。ここがポコっとなっているのが。アザになったという。
記者:これは相当痛かったんじゃないですか?
ミャンマー人労働者(ミンスイ通訳):はい、相当痛かったって。そういうことがあったので、彼がそれ以上にもし殴られたらどういう風になるか、もう怖くてということで、失踪みたいな形に繋がっているんじゃないかということですよね。
ミャンマー人労働者(ミンスイ通訳):そして7月26日、会社から逃げることを決めました。朝礼に行って「お前には仕事はない、帰れ」ということで寮に帰って、それで彼はいろいろ考えて、どうしてもここは命まで危ないんじゃないかなと。自分も手足も震えていて、そのままで無理だということで、倶知安警察に行って一応相談をして。その時彼は日本語まだできないから、茨城にいる彼女に電話で通訳してくれということでやって、一度寮に戻って荷物ちょっと用意して、バス乗って倶知安駅まで行って、近くのホテルで一晩泊まって、翌朝27日に新幹線で東京まで来た。
ミャンマー人労働者:本当に怖かったです。仕事をしていないときでさえ、夜になると「明日の朝が来てほしくない」「また仕事に行かなければならない」仕事場に行ったら、今日は自分がどんなことをされるんだろうと考えてしまって。夜も眠れませんでした。自分の人生はここで終わるのかなということまで、時々考えたこともあります。
記者:そもそも日本に、そして北海道で働こうと思ったのはなぜだったのでしょう?
ミャンマー人労働者:ミャンマーでも農業を手伝ったことがありました。だから、ミャンマーの農業と日本の農業にはどんな違いがあるんだろうと知りたかったです。それで日本に来て農業の仕事をすることにしました。北海道で働くことになったのも、そういう農業の仕事をするためでした。でも、実際に来てこんなふうに扱われて、こんなことをされたので、今はもう一度農業の仕事をすることが怖くなりました。
記者:日本に来たことについては、どのように今感じていらっしゃいますか?
ミャンマー人労働者:最初、日本に来る前にミャンマーで知っていた日本人のイメージは「とても優しい」というものでした。何かを教えるときにも、辛抱強く丁寧に教えてくれる。それから、とても規律を守る人たちだと知っていました。でも、実際に日本に来て、最初に接した日本人から僕はこういう扱いを受けました。だから「ああ……」と思いました。でも、もちろん日本人全員がそうだと言っているわけではありません。
記者:今ミャンマーではクーデターも起きていて、生活がしにくいといった理由から日本に来られたのでしょうか?
ミャンマー人労働者:悪い人ばかりではなく、いい人たちもいます。今は助けてくれている人たちもいます。だから私は日本で長く働きたいです。そして、自分の人生をもっと良いものにして、自分の家族を支えていきたいです。今は外国で働いて、ミャンマーが平和になったときに帰りたいという気持ちはあります。
ミンスイ:徴兵制だとか、ミャンマーは今国軍の弾圧で人々が安全にできないことも自分も実感体験してるし。なのでミャンマーは平和できるようなことも自分もベストを尽くしていきたい。けど、とりあえず自分の生活安全な安定的になるまでは、他のことは頭の中にあまり入っていないということです。
記者:今、会社側に求めることは何でしょう?
ミャンマー人労働者(ミンスイ通訳):自分は今7月の給料まだもらってない。自分がもらえるべき金額をすべてをもらいたい。また、いじめあるいは暴行されたことについても謝罪、そして日本の法律枠の中での法的な措置で弁護士先生たちにお願いして、それをやりたい。それ以外はあまり自分の利益のために損害賠償みたいなものはあまり頭の中には入れていないです。例えば機械が壊れたからいくらか天引きされたことも、自分のせいではないからそれは取り戻したい。
記者:見ている方たちには、何を今最も伝えたいですか?
ミャンマー人労働者:僕たちが受けたような、いじめや虐待ですね。人を虐待する人がいなくなるように、皆さんに助けてほしいです。みんなが平和に暮らせる社会になってほしいです。一人ひとりが同じ人間として平等な権利を持って暮らしてほしい。お互いに暴力を振るったりせずに、一人ひとりが争うことなく平等な権利を持って暮らせる、そういう社会になってほしいです。
ミンスイ:どこの国、肌の色、宗教関係なく、みんなで平等で平和な社会作りをみんなで作っていただければ、それは一番望みたい中の一つです。
概要(動画説明欄より)
北海道京極町の農業法人で働いていたミャンマー人労働者が、暴行などの虐待を受けたと訴えている。東京に避難してきたミャンマー人労働者の男性に取材した。
男性が働いていたのは、京極町の町議会議員の男性が実質的に経営し、その息子2人も働く農業法人だ。
ミャンマー人男性は5月18日に来日し、翌日から働き始めた。しかし、男性によると、働き始めてから、「草刈りが遅い」と頭を叩かれたり、お尻を蹴られたりしたほか、寮の部屋に入ってきた町議に胸ぐらをつかまれ、階段から落ちたこともあったという。
◆退職申し出に「何が退職だ。アホか」録音に残った暴力
暴力だけではなかった。6月、仕事で使っていた薪を切るチェーンソーが壊れた。不具合の原因が特定できないまま、男性は、ペアを組んでチェーンソーを使っていた労働者とともに弁償を求められたという。
ミャンマー人男性「僕たち2人で作業していたので、1人4万円ずつ、2人で8万円を弁償するように言われました」
男性によると、6月分の給料を7月に受け取った際、それぞれ4万円が天引きされていたという。このほかにも、調子が悪くなった草刈り機の弁償も求められたという。
度重なる暴力と理不尽な対応に耐えられなくなった男性は、7月17日、会社側に退職したいと申し出た。しかし、そのとき記録していた音声には、男性の「退職」という言葉に対し、雇用者側とみられる人物が激しい口調で応じる様子が残されていた。
「何が退職だ。アホか」
その直後、「バシッ」という音が記録されている。
男性は、このとき頭を叩かれたという。
「仕事いけ、おら、早く」
「出来もしないくせに何を言ってんのよ」
「何一つ理解できない」
「黙って仕事やれ?」
男性の退職は認められず、その後も暴力は続いた。
7月22日、収穫したブロッコリーを水洗いする作業中、近くでホースを使って作業していた町議の息子にぶつかった。男性によると、それに怒った息子が、手に持っていたホースの先に付いている金属製のパイプで男性の腕を叩いたという。男性の腕は大きく腫れ、その様子は写真にも残されている。
7月26日、男性は会社から逃げることを決めた。
◆「明日の朝が来てほしくない」恐怖で眠れない日々
当時の心境について、男性は「本当に怖かった」と振り返る。
ミャンマー人男性「仕事をしていないときでさえ、夜になると、『明日の朝が来てほしくない』『また仕事に行かなければならない』と思っていました」
仕事場に行けば、「今日は自分がどんなことをされるんだろう」と考えてしまい、夜も眠れなかったという。
男性はミャンマーにいた頃、父親の農業を手伝った経験があった。日本で農業の仕事を選んだのは、ミャンマーと日本の農業にどんな違いがあるのか、興味を持ったことがきっかけだったという。しかし、「今は、もう一度農業の仕事をすることが怖くなりました」とこぼした。
◆それでも「日本で長く働きたい」
来日前は、日本人に「とても優しいイメージ」を持っていたと話す男性。
ミャンマー人男性「実際に日本に来て、最初に接した日本人から、僕はこういう扱いを受けました。一方で、日本人全員がそうだと言っているわけではありません。悪い人ばかりではなく、いい人たちもいます。今は助けてくれている人たちもいます。だから私は、日本で長く働きたいです」
さらに、ミャンマーでは軍によるクーデター以降、軍と抵抗を続ける市民側との間で争いが続いている。ミャンマー人にとって、国に帰ることは容易ではない。だからこそ、男性は日本で自分の生活を築き、ミャンマーに暮らす家族を支えていきたいと前を向く。
ミャンマー人男性「虐待する人がいなくなるように、皆さんに助けてほしいです。みんなが平和に暮らせる社会になり、一人ひとりが、同じ人間として平等な権利を持って暮らしてほしいです」
ミャンマー人男性は刑事告訴も視野に入れていて、9月7日に都内で記者会見を開く予定だ。
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