この動画の要点
- 海外に住む日本人有権者が、現在の在外投票制度では投票権を適切に行使できないとして、国を相手に損害賠償を求める訴訟を起こしました。
- 郵便投票は、日本との往復に時間がかかりすぎる点や、現地の郵便事情(ストライキや天候)に左右されやすく、投票が間に合わないケースが多発しています。
- 在外公館での投票も、居住地から数百キロ離れている場合があり、多額の旅費や移動時間がかかるため、物理的に不可能な有権者が多く存在します。
- 原告側は、インターネット投票の導入検討が進む一方で、これまでの立法不作為の違法性を司法の場で問い、選挙権という基本的人権の重要性を改めて訴えています。
全文書き起こし
構二葵:皆さんこんにちは。ジャーナリストの構二葵(かまいふき)です。8bitNewsでこの間、シリーズでお伝えしてきました「ロストウォーツ 在外投票制度を問う」。今回は、海外に暮らす日本人の有権者の方が、この在外投票制度を巡って国を相手に裁判を起こすことが分かりました。今回、その原告の一人でいらっしゃいますオーストラリア在住の東田孝昭さんと、原告の代理人弁護士を務めます戸田善恭弁護士に取材をしてきました。
構:現在ですね、国会の場でも在外ネット投票の導入の検討条項が附則に書かれた法案が衆議院を通過し、まもなくこれから参議院での審議が始まる、そういったタイミングです。一方で司法の場では、この間、在外投票したくてもできない、この一票を投じる権利を行使したくてもできない、そういうような状況が長らく続いてきた、この立法不作為に関して国を相手に訴えを起こす。この立法と司法の場、同時進行で今この在外投票制度を巡って声が上がっている状況なんです。今回、この裁判、声を上げることを決めた原告の方、そして伴走すると決めた弁護士の方、それぞれに話を聞いてきました。ぜひお聞きください。
戸田善恭:私たちが今やろうとしている裁判の概要なんですけれども、まずこの1月23日に解散がされたと思うんですけれども、その時点でですね、在外邦人の方たちが特別な負担なく選挙権、それから国民審査権を行使できるような立法措置というものが取られていなかったこと、その違法性について国に対して国家賠償請求をするという、そういう訴訟を行うことを今考えております。
構:それこそその1月の選挙の時、1月から2月にかけてですよね。本当に選挙の期間も短かったですし、それに輪をかけて海外の方たち、なかなか選挙、投票がそれこそ有効にならなかった方たちも結構多かったんですよね。
戸田:おっしゃる通りですね。で、特に問題だと考えているのが郵便投票を選んだ方たちですよね。郵便投票を選んだ方たち自体の数はすごく多いわけではないんですけれども、やっぱりその投票の手続きすごく時間がかかるんですよね。まず海外から日本の自治体の選挙管理委員会に投票用紙を請求するんです。その申請書を送らなくちゃいけなくて、で、それが戻ってきたら今度自分で誰に投票するって書いて、また日本の選挙管理委員会に送り返さなきゃいけないんですよ。なので、すごく時間がかかる中で、郵便投票が間に合わなかっただとか、もうこれ無理だなと思って断念、送り返すのを断念しちゃったっていう方たちが結構多いという風に聞いていまして、やっぱりそういう人たちが原告になって今回裁判をするということになっているというところです。
構:今回提訴されている原告の皆さんはどういった方たちなんでしょうか。
戸田:原告の方4名おります。1人がドイツ、もう1人がフランス、あとオーストラリアとカナダにお住まいの方たちなんですが、皆さん郵便投票を選んだ方たちです。このうち3人は、選挙管理委員会から投票用紙が送られてきて返送したんだけれども、その投開票日までに間に合わなかったんですよね。なので、そもそもその投票があったとはみなされなかったっていう感じになってしまった人たちがいるのと、あとは投票用紙が日本から到着したのがその投開票日の後だったっていうパターンもあるんです。
構:そもそも。まあ、そうなんですね。
戸田:そもそも。だからもうそもそも返送するまでもなく、全て終わった後に届いたっていうような方もいらっしゃって、そういう方たちはすごく、自分が投票したかったのにできなかったっていう憤りを感じておられまして、そういう方たちの声を伝えるというような裁判になるんじゃないかと思っています。
構:今伺った原告の皆さんがお住まいの場所っていずれも先進国ですよね。なので、それこそ世界中いろんな国がある中で発展途上国もある中で、こういう先進国にお暮らしの方でも、こういう郵便制度っていうのはその国の郵便制度に依存しなきゃいけないから、なかなかやっぱり時間もかかってしまう。
戸田:そうですね。やはり日本みたいにすぐ届くっていうような国ばかりじゃなくて、先進国でもかなり郵便の事情が悪いところって多いんですよね。例えばデモが起こったりだとか、ストライキとかで郵便が止まってしまったりだとか、あとはその冬の厳しい季節じゃないですか、1月とか。そういう気候条件で到着がだいぶ遅れちゃったりだとか、そういう国もあって、そもそもかなり郵便制度自体がインフラとしてかなり不安定な国っていうのもすごく多いんですよね。
構:もう一つ方法としては実際その領事館とか大使館に行くってこともあると思うんですけど、皆さんやっぱりお忙しかったり遠かったりで、それは選べなかった。
戸田:そうですね。やはり距離的にかなり遠いという方だったり、長期の移動がなかなか難しい方、例えば病気抱えている方だとかっていうのも中にはいらっしゃいました。やっぱりすごく国土も広いですよね、海外は。例えばアメリカとかカナダでもそうですし、その投票できる在外公館に行くのに片道200キロかかるだとか、飛行機に乗っていかなきゃいけないようなところだったりとかすると、そこに行くだけでも丸一日かかるし、交通費だけでも5万、6万かかるっていうようなこともあります。そうするとやっぱり郵便投票でという方はやっぱりある程度一定数いらっしゃるのかなという風に感じています。でもそれがなかなかそうやって機能していなかったら、物理的にもう投票できないよっていう状況になっちゃいますよね。
構:今回その原告の皆さんは、これまでも多分何回も国政選挙あったと思うんですけれども、このタイミングでやっぱりこれ訴えなきゃいけないよねと思いを一つにされたっていうのは、どういった思いからだったんでしょうかね。
戸田:そうですね。お話聞いていると、やはり今回に始まった話じゃなくて、これまでもずっと在外邦人の方々の投票環境がすごく悪いっていうのは、皆さんすごく問題意識を持って感じておられました。で、それに加えて、やはり日本を離れて住む期間が長ければ長いほど、やはり日本との結びつきみたいな部分をすごく大切にしようとお思いになる方がすごく多いということも感じておりまして。やはり日本は二重国籍を認めておりませんので、現地で投票できなかったら唯一その主権者としての権利、意思を表明できる手段っていうのがやっぱりこの在外選挙だけになってしまうと。その一票が無駄になってしまうことについて、すごく憤りを感じておられるという方がすごく多かったなという風に感じています。
構:在外投票の件をいろいろ取材で発信していくと、中にはいろんなコメントはつくんですけれども、それこそ日本にいないのに日本のことにそうやって口出そうとするなだとか、そういうような論点で思われる方も中にはいらっしゃるんですよね。そういった方たちに対して、投票権のあるんだからそれを行使するのは当たり前ではあるものの、そこに対してどのようにこう返す言葉としてはどう思われますかね。
戸田:それはさっきお伝えしたことと被るんですけれども、海外長い人も長ければ長いほど、その国で国籍を得ようと思えば多分得られるし得る機会はあると思うんですよね。でもそれにもかかわらず、その日本国籍を維持しているっていうことは、やっぱりそれなりの意味があるという風に思っていて。で、それはやっぱりその海外に住んだからこそわかる、この日本との結びつきだとかいうこともすごくあるんじゃないかなと。例えば原告の方の一人がおっしゃっていたのが、東日本大震災の時に海外に自分がいて、日本がすごい状況になっちゃったと。その時にやっぱり海外転々として長いけれども、自分はこう日本の人間なんだっていうことを改めて感じて、それからすごく投票を大切にするようになったという風になった方もいらっしゃいましたし。やはり海外にいるから日本のことに口を出すなというのとは全く別のことが、海外長い方たちの中ではあるのかなということを私自身としては感じているところです。
戸田:今この本当数年だけ切り取ってみたとしても、本当に世界中で戦争も紛争もいろんな分断が巻き起こっている中で、外から見たからこそ日本がちょっと見える、中にいるよりもまた違う見え方がするってところもなんかありそうですよね。本当にその通りだと思います。
構:今実際、立法の場でも国会でも、この在外投票にネットでの投票できるようにしようという動きで、実際まさに進んでいるところだと思います。そういったところというのは、どのように今見ていらっしゃいますか。
戸田:そういう動きがあること自体はすごく歓迎すべきことなのかなという風に思っています。で、そういう風になったのもやっぱりこの長い期間をかけて在外邦人の方たちがすごく運動を行ってきたことの成果だという風に思いますので、そこはすごく大きな一歩なのかなという風に思っています。他方で、やはり今の状態が法的にどういう状況なのか、憲法に反してるんじゃないかということを問うというのは、やはり大きな意義があるんじゃないのかなという風に感じています。
構:やっぱりこういういわゆる公共訴訟に関しては時間もかかりますし、原告の皆さんも、そしてこうやって伴走されている弁護士の皆さんも、時間もお金もかかること、簡単に始められることでもないと思うんですが、それでも今回やろうと。そして戸田先生自身もこれを担当してやろうと思われて、そこの思いの源泉というのはどこにありますか。
戸田:やはり私自身この裁判をやろうという風になってから、かなりいろいろ勉強してきたところもあるんですが、調べれば調べるほど、いろんな人に話を聞けば聞くほど、本当に何とかしなきゃいけない問題なんだなと。在外邦人の方たちの切実さみたいなのがすごく伝わってまいりまして。で、私だけではなくLedgeのメンバー全員なんですけれども、もう今この議論がまさに今起こっているこの時点で、ちゃんと裁判で司法で訴えていきたいなという風に思っているところです。実は私たち今年の1月に、2月だったかな、在外邦人の方たちにアンケート取ったんですよね。で、この投票環境についてどう思うという風なアンケート取ったところ、もう400件ぐらいの方たちからメッセージが寄せられまして、本当に今の状況何とかしてほしいということで、いろんなメッセージをいただいたんですよね。で、やはりその中で、全然やっぱりこの立法の人たちが長年私たち声上げてるのに動いてくれないというところで、すごく司法には期待しているということをそういう言葉をいただきまして、ちょっと我々も公共訴訟の集団としてちょっと頑張っていこうと、いう風に強く思っております。
構:すごい思いが集まったんですね、400。
戸田:400件集まりましたね。で、今回の原告になってくださった方たちも、その中から一部手を挙げてくださった方たちになります。皆さん非常に切実でしたね。ずっと日本に住んでいる私から、私ではもう想像できないぐらいの怒りとか憤りっていうのを皆さん本当に持ってるっていうのが、すごく伝わってきました。この在外投票を巡って、選挙制度の問題というより本当に人権の問題だなってことは、皆さんの取材をすればするほど感じるんですよね。そのことを広く知ってほしいななんてことは、私個人としても思うんですけれども。おっしゃる通りですね。で、司法がまさに訴えられるのはまさにその部分かなという風に思っています。やはりこの裁判でも、選挙権っていうのがどれだけ重要な基本的人権なのかっていうことを改めて訴えていきたいという風に思っています。で、過去の最高裁の判例だとかも、この選挙権っていうのは本当に最も重要な基本的人権の一つなので、その制約っていうのは原則許されないという風に言っているんですよね。で、今の在外邦人の皆さんが置かれている状況っていうのは本当にこう権利が剥奪されているという状況だと思いますので、それに対して何ら立法措置が長年取られてこなかったっていうことに対しては、しっかりと声上げていきたいなという風に考えています。
構:こうした皆さんのこの訴訟自体を、私たち一人一人が何かサポートする方法とかはあるんでしょうか。
戸田:この裁判ですね、提訴しましたらCALL4という公共訴訟のウェブプラットフォーム上でクラウドファンディングで寄付を募る予定です。そうしたところから寄付をしていただくだとか、その裁判の進捗だとかも全てそこに掲載いたしますので、ぜひ今後の我々と国、それから裁判所の間でのキャッチボールっていうのを見て注目していただけると嬉しいなという風に感じています。
構:ありがとうございます。じゃあ最後に見ていただいている方に、今もういろんな思いが伝わったと思いますが、最後一言ありましたらお願いします。
戸田:この裁判、在外邦人の皆さんの選挙権という基本的人権が守られているのかということに正面から取り組む裁判になりますので、ぜひですね皆さん注目応援していただけると嬉しいです。
構:東田さん、今回裁判を起こそうと思った、そこの理由きっかけっていうのはまず何だったんでしょうか。
東田孝昭:1月だったかな、衆議院選挙の公示があって、でもその前に解散しそうだというのがあったから、早めに選挙投票用紙を申請したんですね。そうしたら、多分それはオーストラリアの郵便事情が悪かったのかもしれないけども、日本に着いたのがもう1月16日に送ったのに1月31日に着いたと選管から連絡があって。で、選管の方も一生懸命してくださって国際速達でまた投票用紙を送ってもらったんですけども、当然もう着いたのも2月何日で、投票日何日前ぐらいで。僕もすぐに2月6日には返したんですけども速達で。でも投票は2月9日だったですよ。ですからもう結局着いたのが2月13日で、無効になったんです。だから、今までも何回か選挙やってて、その前の参議院選は間に合ったみたいなんですけども、全くこんなことが繰り返されるのかと思って、ちょっともういい加減にしてほしいというか、そういう気持ちと。やっぱり今まで選挙の海外選挙に登録は、確か平成の11年頃に一応登録して、何回か投票したことはあるんですけども、やっぱりなんかこうオーストラリアで、しかもアデレードという街でアイソレートしてるというか、もうちょっとやっぱり自分も声を上げないと、似たような方も海外では多いんじゃないかと思って。で、どうにかやっぱり一生懸命投票するんだから、やっぱり海外に住む国民の権利として、それをもうちょっとこう今の時代だからいろんなシステムもできると思うんですよね、ネットとかオンラインとか。だからどうにか改善してほしいなという感じで、今回ずっと我慢してちゃちょっとあれだけど、なんかそういう気持ちになって、やっぱり声を上げてよかったなと思ったのは、国会議員の方たちの会議がありましたよね。今結構その日程上にこう上がってきているといういいとこまで来そうな感じで。だからそれをもうちょっとこう押し上げてね、広い声やって、いい方向に行ったらいいなと思ってます。
東田:それと、僕は今オーストラリアに住んでるんですけども、日本国籍なのでオーストラリアの参政権はもちろんないんですね。で、オーストラリアは選挙は義務制なんですよ。だからもししなかったら罰金とか何とかやって、だからほとんど投票率なんて90何パーセント。病気とかいろんなことがあれば、それは僕もよく知らないんですけども違うんだろうけども、それはもう義務制で90何パーセントで。で、そうやって国民の声を吸い上げようとしてるんで、そういうシステムもあるし、海外に住む日本人も多いんだから、もっとやっぱり自分たちの権利を大事にして反映していきたいなという気持ちで声を上げたという感じです。
構:まさに今回は郵便投票をされて結局届かなかったということではありましたが、今お住まいの場所からいわゆる領事館とか大使館っていうのは結構距離があるんですか。
東田:あるんですよ。管轄はメルボルンの総領事館になるんですね。で、僕はアデレードという街、一応州都ではあるんだけども、そうですね、ノンストップで車で運転して行ってメルボルンまで10時間以上かかりますし。だから飛行機だったら1時間ちょっとかかるんですけども。だからまあ日本で言えば東京と大阪ぐらいは離れてるんですよね。でも日本だったら新幹線があるじゃないですか。でもオーストラリアなんてないから、空港に着いたところでそこからまたバスに乗ってメルボルンの中心部まで空港バス40分とか、そんな感じで。ですからまあまず投票に行くと思ったら宿泊しない限りは、実質的には無理ですね。
構:一票投じるだけでその時間とお金ももちろんかかりますしね。
東田:しかも今回も2週間の選挙の期間、公示期間かな、あると言っても在外公館は1週間、日本でそれを送らなくちゃいけないというのもあるんだろうから、短いんですよね、あれが。1週間ぐらいじゃなかったかな、メルボルンなんかがやるのが。だからそれにまた合わせてやろうと言っても、それもちょっとあれですもんね。国際速達で送ったりするから、日本円で今頃いくらぐらいなのかな、35ドルかかったから、5ドルで、だからまあ4000円ぐらいかな。だから日本からまた選管の方もそれで国際速達で送り返してくださるので、それだってやっぱり4、5000円かかっちゃうわけですよね。結構経費もかかるなという風には思います。それで間に合わなかったらちょっともったいないというか。
構:しかも多分これその送る時にちゃんといつ到着したかみたいなのを追跡調査できるようなものにして、おそらくその到着日が分かったってことだと思うんですけど、結局それがお金がかかるからそういう形じゃなく送った方たちっていうのは、自分のその一票がそもそもちゃんと反映されてるのかしてないのかも分からないままのケースもあるってことですよね。
東田:そうですよね。僕はもう72歳なので退職して生活してて。日本だったら15年間広島県の中学校で教師をやってたんですよ、公立の中学校で。で、1988年かな、オーストラリアの学校に学校訪問をして、で、割とその時オーストラリアが気に入って。で、家内も小学校の教員だったから、で、相談したらもうとんでもないという。というのはですね、その当時は今と全く違ってですね、日本の方がよっぽど給料もよかったんですよ、オーストラリアよりも。今はなんかよく言うじゃない、ワーホリでオーストラリア来たらすごいわよって。とんでもない、昔は本当に。1990年に子供たちを体験入学させて、で、家内も考え方が変わって、で、そしたら永住権が必要だということでここで働くことになるんですね。で、申請したら今と違ってもう簡単に下りたんですね、3ヶ月ぐらいで下りた感じ。で、それで日本の教員辞めて、こちらでしばらくはすぐには公立学校の教員にはなれなかったので、非常勤なんかをしながらして2年経って公立の学校の正規教員をして、それで日本語教師をしながら25年して退職して。まあその間、2013年からこの前2024年まで、こちらに補習校というのがあるんですけども、日本語補習校ですね、国際結婚の子供とか日本人の子供とか学校、土曜日に通って日本語をこうキープしているというのが。で、そこでちょうど校長がいないということがあったから、ボランティアで10年ぐらい校長やって、今現在に至っているんですけども。
構:それこそ教育の現場にずっと携わっていらっしゃるという、で、そういう目線から日本の政治だったり、日本の今後の先行きみたいなところを、やっぱりオーストラリアにいながら見える視点っていうのもやっぱりあるのかなってことをすごく想像するんですけれども。やっぱりそれって一票投じるっていう行為にもすごく繋がってくることだとは思うんですね。東田さんとしてはどのようにこの間日本のことっていうのは見えていたんでしょうか。
東田:一つ言いたいのは、オーストラリアは日本大好きなんですよ。だから僕はすごく恵まれてて、もう職場でもすごく、英語は中途半端でしかできなかったけども同じ給料もらいながら申し訳ないねと思いながら、すごくよくしていただいたから。今また観光ブームでオーストラリア人もどんどん行ってますけども、リピーターが僕の周りでも何人もいて、本当に行くたびに日本が好きな人がやっぱり多いんですね。だからまあ一つやっぱりこっちで日本語を教えられたということでこう生活できたということ、それは日本人であったからこそできたことであって、日本を出ても日本の恩恵をこう被っているというか、そういう意味では日本人であることに感謝したいという気持ちももちろんありますし。あとはですね、やっぱりこちらに来てちょうど来た当初がマルチカルチャーが始まった頃だったんですね、多文化主義が。で、そういうことをいろんなことを取り入れていこうというのは教育の中たくさんあって、その一環として外国語教育で日本語なんかもあったんだと思うんですけども。もう一つはですね、今日本でもいろいろ問題になってますけども、人権感覚もやや日本とオーストラリアでは違う面もあるというのも分かりましたね。それもやっぱり国によって家族の、いろんな民族があるじゃないですか。だからイスラムの教徒の民族観とか中国人の民族、家族観、日本人の持っている家族観、やや違うんですね。だからファミリーと言ってもいろいろ違うなということも分かったりとか。で、今日本でもいろんな民族の方が増えてきているから、そういう意味では海外から見て日本のこと投票することもできるだろうし。ジャニーズの問題なんかでいろんな性的な虐待の問題もありましたよね。あんなの本当にオーストラリアだと信じられないような感じで、その性的な虐待にとかいろんな子供を守るためにどうやったらいいかとか、細かくいろんなこう研修があってこういう場合はこうしなさいとか報告しなさいとか、それもすごく勉強になりましたね。海外から見た視点で、日本の政治状況とかいろんな状況に対して一票投じて、日本人としていい国になってほしいですから。できる権利というか、それをやっぱり大事にしたいなという風に思います。
構:海外に住んでてずっとやっぱり日本のことがやっぱり心配ということももちろんありますし、それから日本の国がよくなってほしいし、やはり日本人ですから、日本の政治を少しでもいい方向に持っていきたいという風に思っています。それともう一つ、オーストラリアには僕は参政権もありませんので、参政権というのは私にとってはもう一つしかないんですね、日本の参政権しか。そういう面でも自分の参政権を大事にしていきたいし、そして日本の政治なんだけども、海外から少数派の日本人としての声を届けることによって、日本の政治が少しでもよくなっていってほしいなという気持ちがあるので、日本国内の多数派の日本人の方にもその点をご理解いただきたいなという風に思います。
概要(動画説明欄より)
海外に暮らす日本人が国政選挙で投票する「在外投票制度」をめぐり、7月10日、ドイツ、フランス、オーストラリア、カナダに住む日本人4人が、国を相手に憲法違反を訴え裁判を起こす。この裁判で問われるのは、海外在住の有権者が「特別な負担」なく選挙権を行使できる制度を、国が長期間にわたって整えてこなかったことの違法性だ。
主な訴えは2つ。ひとつは、1月に解散し行われた総選挙の時点において、立法府が必要な立法措置を長期間取っていなかった「立法不作為」について、国に精神的・経済的な損害の賠償を求める点だ。もうひとつは、次の総選挙の時点で、海外在住の有権者が「特別な負担なく」選挙権を行使できる状況が確保されていないことが憲法に反し、違法であることの確認を求める点だ。
原告代理人で、公共訴訟に取り組む法律事務所「LEDGE」の戸田善恭弁護士は、今回の裁判について「在外邦人の皆さんの選挙権と基本的人権が守られているのか、という問いに正面から取り組む裁判になる」と話す。
◆郵便投票が間に合わない
在外投票には、在外公館で投票する方法と、郵便で投票する方法がある。しかし郵便投票の場合、海外から日本の自治体の選挙管理委員会に投票用紙を請求し、届いた用紙に記入して再び日本へ返送しなければならない。
今回、原告4人はいずれも郵便投票を選んだ。3人は投票用紙を返送したものの、投開票日までに日本の選管へ届かず無効となり、1人は、投票用紙そのものが投開票日の後に届いたという。
オーストラリア在住の原告・東田孝昭さんも、その一人だ。東田さんは、解散の可能性を見越して早めに投票用紙を請求したものの、用紙が届いたのは投票日直前。国際速達で返送したものの、追跡調査をした結果、日本の選管に届いたのは投票終了後だったという。
東田さん「またこんなことが繰り返されるのかと思って、ちょっともういい加減にしてほしい、そういう気持ちでした」
◆「領事館に行けばいい」では済まない
在外投票のもう一つの方法、在外公館投票も簡単ではない。東田さんが住むのはオーストラリアの南オーストラリア州アデレード。管轄の総領事館があるメルボルンまでは、約730キロあり、東田さん曰く車で10時間以上かかるという。飛行機を使えば1時間ほどではあるものの、空港から総領事館のあるエリアまでは、さらに40分ほどバスに揺られる必要がある。
東田さん「投票に行こうと思ったら、宿泊しない限りは実質的には無理ですね。しかも在外公館での投票は期間が短い。それに合わせてやろうと言っても、もうそれもちょっと…」
1票を投じるために、何百キロもの移動や宿泊費、交通費を強いられる。郵便投票も、国際速達を使えば数千円から、人によっては数万円の費用がかかる。それでも間に合わないことがあるのが現実だ。
◆問われる「特別な負担」
今回の裁判でポイントとなるのが、「特別な負担」なく選挙権を行使できる状況が確保されているのか、という点だ。
2006年の最高裁判決では、投票所に行くことが困難な人の選挙権をめぐり、立法措置を取らなかった立法不作為の違憲性が問われた。この判決で、泉徳治裁判官は補足意見の中で、選挙権が実質的に保障されるためには、すべての人が特別な負担なく選挙権を行使できる選挙制度を構築することが、憲法の趣旨に適うものというべき、との考えを示している。
今回の原告側は、この考え方から見ても、現在の在外投票制度が、本当に憲法に定められた選挙権を保障しているといえるのかを問うということだ。
戸田弁護士は「在外邦人の皆さんが置かれているのは、本当に権利が剥奪されている状況だと思いますので、それに対して立法措置が長い間取られてこなかったことに対して、しっかりと声を上げていきたいなと考えています」と話している。
◆海外にいても「日本の主権者」
在外投票をめぐる議論では、「海外に住んでいるのに日本の政治に口を出すのか」といった声が向けられることもある。しかし戸田弁護士は、海外に長く住む人ほど、日本との結びつきを大切にしている場合も多いと指摘する。
戸田弁護士「日本は二重国籍を認めていないので、唯一の主権者としての権利、意思を表明できる手段というのが在外選挙だけになってしまう。その1票が無駄になってしまうことについて、すごく憤りを感じている方が多かったと感じています」
原告でオーストラリア在住の東田さんも、日本国籍を持ち、現地の参政権はない。日本でも、オーストラリアでも、政治に意思を反映する機会が限られるなか、在外投票は唯一の一票だ。広島県の中学校教員を経て、オーストラリアで日本語教師として働き、現地の日本語補習校でも長年活動してきた東田さんは言う。
東田さん「オーストラリアに来た時は、ちょう