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善意が炎上する時代、それでも始めた100円寄付 八代市に自宅、覚悟を決めたVCの発信

2026/08/03 ▶ VIDEO

先月28日に起きた最大震度7の熊本地震で、大きな被害を受けた熊本県八代市。その被災地を支援するため、noteで100円から寄付できる新たな取り組みが始まった。  立ち上げたのは、瀬戸内エリアの起業家・アトツギへの投資や、メディア「セトフラ」を運営するVC(ベンチャーキャピタル)、瀬戸内と株式会社の山田邦明さん。 100円の有料noteを公開し、購入額をそのまま熊本県八代市へ寄付する。noteの手数料(15〜25%)は自身が負担するという。  「炎上するかもしれない」「善意が批判されるかもしれない」。 SNSで善意が批判されることも少なくない時代。それでも山田さんが一歩を踏み出した理由とは。ジャーナリストの構二葵が聞いた。

◆「家に帰れない」被災した八代市の自宅

山田さん一家は、この春、熊本県八代市鏡町へ引っ越したばかりだった。
地震発生当日は、子どもの夏休みに合わせて家族旅行へ出かけていたため、人的被害は免れた。しかし、自宅には戻れず、現在も家族はホテル暮らしを続けている。

「ありがたいことに人的被害はなかったですが、普段歩いていたような場所で家屋が倒れていたりとか、避難の必要があるような方々が多いというのを、地域の知り合いや親戚などから聞いたり、その友人自体が被災している方が多くて」

◆「寄付はもっと普通でいい」
山田さんは日頃からnoteで発信を続け、約2000人のメンバーシップ会員を抱える。年間では100万人以上が記事を読むという。 「読者とのつながりを生かせないか」  そう考えた山田さんは、100円の有料noteを公開。購入された100円をそのまま八代市へ寄付し、手数料は自ら負担することを決めた。

「寄付先を調べて、クレジットカード情報を入力して登録して……。昔より簡単にはなっていますが、それでも少し工数がかかると思います。でも、noteなら、すでにクレジットカードやPayPayなど支払い登録を済ませている人が多い。一番手軽に寄付できる場所なんじゃないかと思ったんです」  公開から約30分で、すでに20人以上が寄付に参加したという。山田さんが目指しているのは、寄付額を集めることだけではない。

「100円を入口にしてほしい。そこから熊本に興味を持って、自分で調べたり、直接寄付したりする人が増えたらいいなと」

◆「善意なのに、動けない人がいる」
しかし、この取り組みを始めるまでには迷いもあった。
「インターネット上に文章を書いたり、セトフラも含めて映像に出たりして、世の中に顔や所属を晒してるわけです。そんな僕でさえ、震災のことや地震のことに触れて何かアクションするのは、めっちゃ怖いんですよ」
SNSでは、善意から始めた取り組みが批判の対象になることも少なくない。災害時には、「売名ではないか」「本当に被災地のためになるのか」といった声が寄せられ、善意の発信であっても炎上するケースは珍しくない。だからこそ、「やらない」という選択をする人も増えているのではないか。山田さんはそう感じたという。

「炎上のリスクもあるし、良かれと思ったことが批判された時って、人ってすごく傷つくし、怒りの感情にも変わりやすい。人って好意でやったものを受け取られなかった時や、届かなかった時にひどく傷ついて怒ると思うんです。で、こう思ってる人は思ったより多いんじゃないかなって思いました」 それでも、一歩を踏み出せた理由は何だったのか。

「自分の知ってる人の活動を結構見てるからです。熊本に引っ越してまだ数ヶ月ですけど、もちろん知り合いとか友人とかでき始めていたので、彼ら彼女らが日々行動してくれてるのをSNSで見てますし、直接のやり取りでも知ってて。その活動にこういう形だったら手助けできるんじゃないかなって。ラフにコミュニケーションできる関係性があったのは、一歩を踏み出すのに良かったなと思ってますね」  現地へ行くことだけが支援ではない。

自分が今いる場所、自分が積み重ねてきたものを使って社会に返すことも、一つの支援の形だと考えた。  「僕を育ててくれたnoteという場所で、一緒に日々読んでくださっている人たちと何かできた方が、結果として大きな力になるんじゃないかと思いました」

◆「100円でも、世界は変わる」


山田さんは、この取り組みを漫画『ドラゴンボール』のミスターサタンが集めた「元気玉」に例える。主人公の悟空よりも弱いけど、地球上の人から元気玉を集めて敵を倒すシーンが、印象に残っているという。 「悟空やベジータが呼びかけても元気玉が集まらない。(悟空やベジータ)強いやつらなので。 だけどミスターサタンは何度も世界を救ってきたことを地球上のみんなが知ってくれてるから、『ミスターサタンがやるんだったら』って元気玉が集まったシーンがあって、かっこいいなと。人は思ったよりこの世界や、自分が想いを馳せている人たちを、より良くしたいって気持ちを持ってるんだろうなと。その最初の一歩が、コンビニでジュースを買うぐらいの感覚でできたら、もっと増えるんじゃないかなって」  100円は決して大きな金額ではない。それでも、その100円が「誰かのために行動してみよう」という最初の一歩になれば、社会は少しずつ変わっていく。
山田さんが本当に届けたかったのは、お金だけではなく、「善意を行動に変えるきっかけ」だった。熊本への寄付を通じて生まれた”最初の100円”は、災害支援だけでなく、「善意を行動に移す文化」そのものへの小さな一歩でもある。

山田さんのnoteはこちらから。

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