障害を負う者の「働く場所」。各地に様々ありますが、神奈川県川崎市にある「サボン草」は「リサイクル石けん」の製造で、精神障害者のそれを担っています。働く様子と、働く人の声をお聞きしました。
「働く場所」は「地域活動支援センター」と呼ばれます。これは、かつては「作業所」と呼ばれた施設が、2006年「障害者自立支援法」(現「障害者総合支援法」)施行に伴い、移行したものです。障害を負う人々が、自宅にこもりきりにならず、地域で暮らせるよう、日中を過ごせる場所としての意味があります。
「サボン草」の運営母体は、NPO法人「川崎市民石けんプラント」。現在、川崎市川崎区に工場を構え、「リサイクル石けん」を製造しています。リサイクル石けんとは、川崎市内の小学校や保育園の給食、レストランなど事業所、一般家庭から出る廃食用油を原料に作られる石けんです。これらは、例えば給食の食器洗いなど、清掃用石けんとして小学校や保育園などにリサイクルされていくのです。また一般売りもしています。ブランド名は「きなりっこ」。「かわさき名産品2018-2020」「かながわリサイクル製品」にも指定されています。
石けんの製造は、川崎市民石けんプラントと、サボン草のメンバーが、力を合わせて行うのです。工程には力仕事も多く、男性が占めるサボン草メンバーが活躍します。力仕事が必要ではない部分や、NPO法人の運営自体は女性のメンバーの活躍するところとなります。
地域活動支援センターでの活動は、いわゆる「障害者の居場所」としてとらえられがちな側面があり、「雇用」というイメージからは離れている部分があるのは否めません。ですがこの「サボン草」では時給600円と、この種の施設としては賃金が高く、「作業」というイメージよりも「働く」感覚を提供することにつながっています。
ここでの活動を「作業」ではなく「働く、社会復帰の場」ととらえている人の声。また、障害は特別なものではなく「個性」であるとも語ります。最終的にはサボン草を辞め、他の条件下の雇用で働くことを目標にする人もいれば、ここで長く働きたいという人も。感じ方は人それぞれです。障害は決して遠い世界のことではない。事故にあったり、病気になったりしたら、これを読んでいる「あなた自身」が明日にはもう障害者になっているかも知れないのです。
障害を「他人事」ととらえず、「自分事」としてとらえることの意味を、考えてみてはいかがでしょうか。
【関連動画記事】
「使ってみたい、驚きの汚れ落ち!リサイクル石けん「きなりっこ」舞台裏@工場開放日2018」
http://8bitnews.org/?p=11642
【公式サイト】
「リサイクル石けん きなりっこ」
http://kinarikko.kazekusa.jp/
(オンラインショップあり)