◾️写真展『光の在り処 未来を紡ぐ北星学園余市高校』
2019年3月6日。表参道のPICTRICO SHOP&GALLERYで、北星学園余市高等学校の生徒たちの姿を伝える写真展が開かれました。
http://www.hokusei-y-h.ed.jp/information/8157/
そこには生徒たちの日常風景、生き生きとしたその素顔をとらえた作品に加え、3月2日に行われた卒業式でのポートレートが展示されていました。撮影は、学校のある北海道の余市町に通い続けた写真家の戸澤裕司さん。写真展のコーディネーターは、戸澤さんのアシスタントでもある山田淳子さんです。
会場に入って正面の壁いっぱいに、生徒たち有志30人が撮った写真100枚が飾られていました。「どこにいるのか」より「誰といるのか」を伝えているのが印象的で、子どもたちの感覚で率直に切り取られた瞬間を集めたこの展示こそが、今回の主役だと戸澤さんたちは話してくれました。
◾️学校存続の危機と3年間の条件
北星学園余市高等学校は、生徒数の減少によりその存続が危ぶまれてきました。
・2017年度に1年生70名以上
・2018年度に1年生70名以上かつ1,2年生の合計が140名以上
・2019年度に全校生徒で210名以上
3年連続でこの条件を満たさなければ廃校(次年度の募集をしない)という厳しい状況でしたが、2年連続でこれをクリア、3年目にあたる今年も「5月1日時点で210名以上」という条件を満たすことができる見込みだということです。ただこれはスタート地点に立てたということ。予断を許さぬ状況は続きます。
◾️山田恵理子さんの学校への想いが2度の写真展開催の原点にあった
山田淳子さんの妹、恵理子さんは北星余市の生徒でしたが、健康上の理由により学校生活を続けることができなくなりました。けれど在校中にできたつながり、優しさのおかげで希望の光を見いだすことができたと言います。その恵理子さんの強い学校存続への想いが、淳子さんや戸澤さんの存続応援の写真集制作、写真展開催の原点にありました。
昨年の写真展、『いまを、生きる〜子供達の再生と希望のひかり』開催に向けた様子をおさめた動画を併せてご紹介します。
「いまを、生きる 〜写真を通して伝えたい、北星余市の子どもたちの素顔〜」
◾️生徒たちと、彼らを支える大人たち。未来へつながるトークイベント
写真展期間中の3月9日。原宿のHASSYADAI CAFEでトークイベントがありました。
http://www.hokusei-y-h.ed.jp/information/8265/
登壇者は戸澤さん、北星学園余市高校教員の田中亨さん、イベント会場を提供してくれた株式会社ハッシャダイの勝山恵一さんの3人です。客席には今年の卒業生たちの姿も。彼らは存続問題と3年間の生徒数条件が提示されるきっかけとなった年に入学した世代。彼らに責任はありませんが、やはりそのことを意識しながらの3年間だったようです。入学までのつらい時期、入学してから起きた変化。そして卒業した今、どんな未来を見ているのか。子どもと大人の両方の意識をあわせ持ったように見えるその表情が印象的でした。
登壇された皆さんからは「旅して身につけるもの」「現代の日本社会の生きづらさ」「常識とされる価値観に縛られない未来の選択」など貴重なお話があり、17分の映像には収めきれなかったことが残念です。北星余市の生徒を含む若者たちから進路相談を受けたり、講演活動等をされる株式会社ハッシャダイの勝山さんのご活躍も、いつかお伝えできる機会があればと思います。
北星学園余市高等学校は、全国で入学前の相談会や講演会などを行っています。もし迷われている方がいたら、まずはそのような機会を利用してみてはいかがでしょうか。
・北星学園余市高等学校ホームページ
撮影/編集 蔵原実花子