2017/08/26 生活・健康
プチ身体障害者が街をゆく。想像力だけでは見えてこなかった街とは?~足の指の骨にヒビが入った~

ある日私は、ロフトベッドの梯子から落下し、足の指の骨にヒビを入れてしまいました。歩くと痛み、ヨタヨタと街を歩くうちに、見えてきたものがありました。

 

それは、街の作りは身体がうまく動かない人には必ずしも優しいつくりではない、ということです。

 

私の住んでいるところは横浜です。横浜は坂の多い地域ゆえ、痛む足では歩くのも一苦労です。上り坂、下り坂、どちらにもそれぞれの痛みがあります。体重のかかり方はそれぞれ違いますので。

 

信号のない横断歩道にも難儀しました。ただでさえ車の通りが多く、足がなんともない時でも渡るのが大変な横断歩道。ヨタヨタしか歩けない身には、それは本当に恐怖そのものでした。もし、渡りきっていないのに車が来てしまったら。

 

また、動画には掲載していませんが、信号がある横断歩道でも、信号が短く渡りきれないこともありました。痛みをこらえながら、精一杯ヨタヨタ歩いて、赤信号に変わった中、渡りきりました。

 

バスに乗る時も大変です。最近は低床バスも増えてきましたが、私がたまたま乗ることになったのは、階段があるタイプのバスでした。そして、バスの階段というのは、一段が高いのです。段が高ければ高いほど、足には力が入りますので、痛みます。手すりにすがりながらの上り下り。そして、歩道とバスの車体に距離があると、またぐのに、また痛みが走ります。

 

また、バスに乗って、座席に急いで座らねばという焦りもありました。運転手さんによっては、着席する前に発車してしまう方もいます。そんなことをされたら、踏ん張りが効かない今の私は、転んでしまいます。

 

そして、駅前のバスターミナルまで辿り着いて、また移動です。移動したいのですが、少しでも楽をしたいので、エスカレーター、エレベーターを使いたくとも、それらが遠いという矛盾を感じることになりました。エスカレーターは、バスターミナルを横断した向こうにありました。痛む足を引きずり、普段ならなんでもないバスターミナルの横断という距離が、なんと長く感じたことか。

 

バスターミナルには点字ブロックがあります。人波を避けながら歩こうとすると、点字ブロックを踏んでしまい、また、足に痛みが走ります。点字ブロックは視覚障害者のためにはとても大切なものです。なければ視覚障害者の方はうまく歩けないでしょう。しかし、足が痛む者にとっては、そのでこぼこが痛みを誘発し、とてもつらかったのは事実です。

 

続いてエスカレーター。ゆっくりとしか足を踏み出せないので、乗るのも、降りるのも、タイミングを合わせるのが難しいのです。エスカレーターの乗り降りが、こんなに難しいものだとは思いませんでした。

 

最後に、エレベーターもエスカレーターもないところは階段を使わざるを得ません。階段を一段、一段上り下りするに従い、足にも痛みが走ります。手すりにすがり、痛みをこらえながら、ゆっくり上り下りです。

 

ちなみに私の足の指の骨のヒビですが、親指以外の指の場合は、ギプスで固定するとかえって歩きにくくなるとのことで、固定はしていません。また、杖などの装具も使っていません。なので、それなりに軽傷ではあると思うのですが、それでさえ、こんなに大変な思いをすることになった訳です。

 

どんな障害を持つ人でも、そして健常者も、苦労せずに共存できる街づくりができることを願ってやみません。それが今回、自ら受傷したことで、想像力のスイッチを入れるだけでは見えてこなかったことへの、思いです。

プロデュース :西村晴子
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