ちばぎんひまわりギャラリーで「内山春雄展」を開催してます。
6月13日(火)〜6月25日(日) 10:00〜18:00(最終入廊17:30)
最終日は16:00まで(最終入廊15:30)東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅(直結)
内山さんは以前、バードカービング展開催中、会場に訪れた目の不自由の方に「触れることのできる鳥はありますか?」と聞かれました。
当時、内山さんは鳥を学ぶことと彫ることで精一杯でしたが、「バードカービングは目の不自由な方にとって、鳥の形を把握する手段になるかもしれない」と初めて感じました。
触ることさえ出来れば、晴眼者と同じように鳥の世界を楽しめる、という新しい発見でした。
内山さんはある先生との出会いから、目の不自由な方々と積極的にお付き合いするようになり、5、6名ほど自宅工房に呼んで鳥の彫刻に触ってもらいアドバイスを受けるようになります。
全員が納得行くまで触ってもらい、話を聞き終えるまでに毎回2時間ほどかかりました。それを踏まえてイベントに参加し「タッチカービング」の体験会と鳥の解説をしてきました。
約20年ほどの実績と経験の後、2011年にようやく千葉県立盲学校で出前授業を開始。その後、東京都豊島区にある筑波大学附属視覚特別支援学校や東京都立葛飾盲学校でも行えるようになりました。
内山さんは子供時代、肋膜に結核菌が入って医者に「この子は中学校まで生きられません」言われました。小学5年生までは寝たきりで、起き上がると鼻血を出して倒れることを繰り返していました。
その後、奇跡的に体は回復しましたが、まったく授業にはついて行けず、劣等感を感じていました。
内山さんのお母さんは彼のことを「いびつなスイカ」だと言ったそうです。
「本来スイカは丸くて、どこを切っても甘いのだが、貴方はいびつなスイカだ。こうして生まれた事は、誰の責任でもない。貴方の丸い部分や甘い部分を前面に出して、そこをより広くしてそこで生きるしかない」と。
内山さんは「私の丸い部分、甘い部分が木象嵌でありバードカービングです。盲学校に出前授業に行くと彼らは目は見えないがそれに見合う以上のものがちゃんとある、ということがわかるのです。私と同じような環境だと理解しているので、私の技術を役立てたいのです。」
盲学校の生徒さんたちは指先で全体の形が頭に記憶ができ、声だけで50人くらいは識別できるそうです。パソコンのメール音声を3倍速で彼らは聞くことができます。そんなことは晴眼者にはできませんよね。
「ダーウンフィンチの授業から進化論だけではなく、ひとりひとりが個性的で違っていて良いということを教えたい。」と内山さんおっしゃってました。
●内山春雄HP「バードカービングと木象嵌の世界へようこそ」
https://rakudo-bird.jimdo.com
●「触って学ぶ鳥類学」
https://www.npwo.or.jp/wp-content/uploads/2017/01/5110_kasaku2_uchiyama-1.htm
【内山春雄 プロフィール】
1950年岐阜県生まれ。
「楽堂」の雅号をもつ。
日本職人名工会会員 現代の名工。
日本バードカービン協会会長木象嵌師・バードカービング作家