全国に散らばる、地域が大好きな人が高野山に集まる。地方創生のプラットフォームがここにーー。そんな呼びかけと共に、今、和歌山県の高野山で「地域創生会議」が2日間の日程で行われている。
企画したのは和歌山大学観光学部に通う大学生4年生、小幡和輝さん(22)。地域の活性化のために実践的な場作りをしたいと、高野山大師協会や高野山真言宗三宝院などの協力を得て、実現にこぎつけた。必要な資金はクラウドファンディングサイト、キャンプファイヤーで390万円あまりを集めた。
実は、小学生の頃から引きこもりだったという小幡さん。家でゲームなどをして過ごす毎日だったが、友人やアルバイト先の地域の人たちとの出会いの中から、地元への感謝の気持ちが日に日に強くなっていったという。小幡さんは今から5年前、高校生で起業。以来、様々なイベントを企画し多くの人たちを動員、独自の地域発信が注目を集めるようになった。
二日間に渡って行われる「地方創生会議」1日目の今日は、午後1時からキャンプファイヤーで資金を投じた一般の人たちなどおよそ300人が全国から参加。若者たちの姿が目立った。中には長野県からヒッチハイクで20時間近くかけて訪ねたという男性もいた。
二日間のプログラムでは、ITや経済、行政、教育などの分野で活躍するトップランナーたちが「6次産業」「官民協働」「インターネット」など六つのジャンルでトークセッションに臨む。
また、参加者全員が全47都道府県の「わがまち」自慢やおすすめスポットを1冊の本にまとめる「魅力地図」を作るワークショップなどが行われる。
初回のセッションは「6次化」をテーマに、地元の酒造会社や農業を営む若手経営者たちが登壇。「過疎や産業の衰退などすでに問題が出尽くした今だからこそチャンスがある」と語り、付加価値の高い酒や加工品の販売で世界に打って出ている実例などを語った。
また、「メディア」をテーマにしたセッションでは、地元の和歌山経済新聞の編集長がファシリテーターを務め、雑誌「ソトコト」の指出 一正編集長、WEBメディア「ジモコロ」の徳谷 柿次郎編集長が「編集の技術は地域デザインに使える」という語り出しでディスカッション。編集によって地域の魅力を仕分けしソリッドに提案していく方法や、埋もれている情報の発掘と発信によりマスメディアなど、次の発信に結びつけていく取り組みなどが紹介された。
主催の小幡さんは「和歌山に色々な人材がいることを多くの人たちに知ってほしいし、和歌山にも足を運んでもらいたかった。参加した若い人たちが皆メモを取って熱心に聞いてくれているのを見て嬉しかった。今日が初回、まだまだこれからも続けていきたい」と手応えを語った。