性暴力の殆どの被害者は「自分が悪い。自分が責められる」と、誰にも相談しません。なぜでしょうか。そもそも性暴力とはなんでしょうか。性暴力、というと遠い感じがすると思いますが、「痴漢にあった」も「無理やり体のプライベートな部分をさわられた」「自分がしたくないのにセックスさせられた」も性暴力です。日本では、異性から望まない性交を強要された女性が、警察に相談する割合はわずか4.3%です(注1)。
どうして日本は被害者が相談できない状況なのでしょうか。その原因の一つが刑法です。刑法は今から100年以上前の明治40 年に作られたものです。この法律は女性が一人もいない国会で作られ、被害を受ける人の傷つきではなく、家の名誉や血統が侵害されることのほうを重んじる視点で作られています。
その結果、「いや」と言っただけでは足りず「体を張って抵抗」しなければ勇気を出して警察にいっても罪に問えないことがある状況です。そして男性が女性を襲うものとしているため、実際に事例があるにも関わらず、男性は強姦被害者にはなれません。そして、刑法の性犯罪に関する条文は制定されてから110年、ほとんど改正されていません。
しかし、この状況に風穴を開けるチャンスが出てきました。今国会(2017年1月〜6月)で刑法性犯罪改正案が審議される予定なのです。
でも被害の多くは、動画で説明した通り、職場や学校の上下関係、親類などの関係を利用したもので(注2)、今の改正案では殆どが無罪になってしまいます。そこで、昨年の2016年秋から私たちはより良い改正を目指し、
●明日少女隊
●しあわせなみだ
●性暴力と刑法を考える当事者の会
●ちゃぶ台返し女子アクション
以上4つの非営利組織で「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」を立ち上げました。そして2017年6月の国会会期末までに刑法改正を実現するための「ビリーブ〜わたしは知ってる〜キャンペーン」を展開しています。現在、国会議員の方々に会い、より多くの人々が救われるような刑法への改正を働きかけています。そこには、皆さん一人一人の、刑法改正を求め、応援する声が必要です。
ご協力できる方は、刑法改正を後押しする署名をお願いいたします。
http://bit.ly/2nXquDx
また「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」のウェブサイト「ビリーブ〜わたしは知ってる〜」では、プロジェクトの活動報告や、実際の性暴力被害の体験談など、情報を集約しています。
https://www.believe-watashi.com/
「魂の殺人」とも言われる性暴力被害。そのような被害に遭った人に伝えたいのです。「あなたは悪くない」と。
(注1)2014年内閣府調査から。
(注2)上記調査において異性から無理やりに性交されたことがあった人に、加害者との関係を聞いたところ、75%が「知り合い」と回答しています。
<参考情報>
▼法制審議会−刑事法(性犯罪関係)部会(法制大臣へ答申を出した会)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingikai_seihan.html
▼性犯罪の罰則に関する検討会(法制審議会の前提となった会、暴行脅迫要件なども検討されていた)
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00090.html
▼2014年度内閣府調査 男女間における暴力に関する調査
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h26_boryoku_cyousa.html