東京 大田区池上にある池上本門寺。
その境内に一本の桜があります。
ソメイヨシノよりも淡い色合いの「笹部桜」。
「吉野桜(ソメイヨシノ)が木綿なら、笹部桜は絹である」と
評される大変珍しい桜です。
引越しをした6年前から毎年楽しみにしている桜です。
満開になると包み込まれるような感じなのですが、
昨年剪定したため、今年は花の位置が高いのが少し残念・・・
淡くやわらかい色合いが何ともいえず風情があります。
池上本門寺には平成3年に寄贈され、樹齢は約25年位と思われます。
池上本門寺の説明看板によると、関東では昭和天皇在位60年記念に皇居
吹上御所に5本献納されたとあります。
公益財団法人「日本花の会」によると「霞桜にオオシマザクラ系の里桜が
交雑したものと推定され学名がつけられた。」とあります。
成長が早く5年後には開花するため仮名で「五歳桜」と呼ばれていたとか。
原木は、笹部新太郎(1888〜1979)の庭にあったもの。
笹部氏は、ソメイヨシノに席巻されて消えていく日本古来の山桜や里桜の保存と
ソメイヨシノの代わる桜の品種改良に私財を投じ生涯を捧げた「桜守」です。
1976年に水上勉が発表した『櫻守』(新潮社)のモデルとも。
調べていくと、なんとも魅力的な人物です。
また、笹部桜は兵庫県の天然記念物、神戸市の市の花にも指定されています。
<参照>
公益財団法人 日本花の会「桜図鑑」
http://www.hananokai.or.jp/sakura-zukan/yp_szukan/d/148.html
よみがえる鎮守の森と桜の園
http://chinju.jp.net/index.html
新潮社ホームページより 水上勉『櫻守』
http://www.shinchosha.co.jp/book/114109/
池上本門寺
http://honmonji.jp