ナメダンゴです。魚です。団子のように丸い身体でよちよち泳ぎ、腹にある吸盤でぺたりと張り付きます。2017年1月5日に、水族館「アクアマリンふくしま」で、101匹のちびナメダンゴの展示が始まりました。体長は約1cm、2016年4月16日生まれの稚魚達です。
この子たちは、2016年2月10日に知床は羅臼の海で、本来、オスの親ナメダンゴが保護しているはずの卵塊が放置されているのを水族館スタッフが保護し、水族館で孵化したものです。飼育員の丁寧な飼育が実り、孵化直後2-3mmだった体長は、8ヶ月かけて1cmにまで成長しました。
孵化直後はアルテミア・ノープリウス幼生、体長5mm前後に育ってからは冷凍コペポーダと、プランクトンを食べながらすくすく育った稚魚たち。ナメダンゴは冷たい海水を好み、展示水槽は3-5℃、自然下でも3-10℃の水温下で暮らしています。このように冷たい海水で暮らしているため、飼育下で成長させるためには、夏場に水温が上がりすぎないように、こまめなチェックが必要になります。
自然下から卵塊を保護するのは、成長したナメダンゴを保護しては、卵を生む生体を減らしてしまうことになるため、それよりは親から放棄された卵塊を保護したほうが良いという判断によるものです。この動画には写っていませんが、アクアマリンふくしまには同じく水族館生まれで3-4年生の生体もいます。そのような生体は水族館にて卵を産み、オスが卵塊を守る行動も見られますが、血縁関係での繁殖になるため、受精率はやや悪いとのことです。
担当飼育員の松崎浩二さんは「今回101尾の全長約1cmのナメダンゴを展示しましたが、目をきょろきょろさせたり、ヒレをふって一生懸命泳ぐ姿は、いつまで見ても飽きません。ぜひ愛らしい姿をご覧ください。」と話しています。体長1cmのその姿は、実際見ると実に小さく愛らしいものです。取材中も、次から次へと人が訪れる人気者でした。アクアマリンふくしまに訪れる機会があれば、ぜひご覧になってみてください。