シン・ゴジラエビ。トゲだらけでごつごつしたその身体は触ると痛いほどだと言います。本当の名前は「オシロイイバラモエビ」であり、2015年に公表された新種です。
元々北海道には「ゴジラエビ」という愛称の「イバラモエビ」がいます。新しいイバラモエビ、ということでオシロイイバラモエビは「シン・ゴジラエビ」の愛称を付けられ、水族館「アクアマリンふくしま」で2017年1月19日より日本初展示されています。
昨夏、水族館「アクアマリンふくしま」に羅臼の漁業者から一報が入りました。「変わったイバラモエビが捕れた」と、生かしてくれていたのを水族館が受け取り、鑑定したところ、新種の「オシロイイバラモエビ(シン・ゴジラエビ)」であることが分かりました。
イバラモエビは身体が赤いのですが、オシロイイバラモエビは頭胸部が白粉を塗ったように白いのが特徴です。この動画で紹介するのもオシロイイバラモエビとなります。なお、新種として公表されたのは、2015年、学術誌Zootaxa 3905(4): 451-473にて千葉県立中央博物館の駒井智幸博士によるものです。学名はLebbeus magnificus、ラテン語でmagnificusは、「美しい」「きれい」の意味を持ちます。
こちらのオシロイイバラモエビは、水深200-300mの岩場で採集されました。ちなみに展示してある岩も、同時に揚がってくるもので、オシロイイバラモエビの好む窪みがあります。エビカゴ漁が行われる7-9月に、イバラモエビと混獲されて揚がって来るのですが、この3ヶ月間に5匹程度しか揚がらないなど、ごく限られた海域での生息が予測され、非常に希少度が高いエビです。
しかし水産物としての出荷はイバラモエビと区別なく行われており、1kgあたり5,000円の値が付く高級エビです。食べるとプリプリしていて、甘く、とても美味だとか。
飼育・研究担当の松崎浩二さんは「このような希少な種は、私たちが時々、船に乗船したくらいでは見つけることはできない。漁業の忙しい合間をぬって、アクアマリンふくしまのために生かして保管してくれる羅臼町の漁業者の協力の賜物だ。アクアマリンからも羅臼の子供たちに環境教育を通じて知床の素晴らしい自然を再認識してもらえるプログラムを継続して実施していきたい。」と話します。
市場でも滅多に見られない希少なエビです。アクアマリンふくしまに、オシロイイバラモエビを訪ねに行ってみてはいかがでしょうか。