2016/12/21 地域
サンタさんが「置き忘れてしまった」人たちにクリスマスプレゼントを。

こちらのブログより転載
筆者:吉川敦也(尚、筆者は任意団体「ぽてと」に所属しています。)
みなさん、クリスマスのご予定は埋まりましたか。年齢=彼女いない歴の私には、クリスマスなんて絶望感しか味わえないんですけど。今年も私のスケジュールはホワイトクリスマスです!
さて、そんなクリスマスに際し、サンタさんがプレゼントを「置き忘れてしまった」人たちのお話を。サンタクロースがお家にプレゼントを届けてくれるクリスマス。そんなクリスマスの日、お家がない人たちはどんな風に過ごしているのでしょうか。
今回のテーマは「ホームレス」についてです。
この記事のポイント
・数字だけではわからないホームレスの人数
・イメージと現実のギャップ
【ホームレスってどれくらいいるの?】
さて、私たちの国にホームレスって何人いるのかみなさんは想像がつきますでしょうか。厚生労働省のデータによると、平成28年時点で、5821人のホームレスがいるとされています。それって多いのって?思いますよね。
ちょっと色々と比較してみましょう。
時系列での比較:日本のホームレス数は「減って」いる。
平成24年には、8933人だったホームレスも、平成28年には5821人と1.6分の1に…。私の感覚では、まちで見かけるホームレスン方の数が減っている印象はないのですが…。少なくなっているのには、何かカラクリがあるのでしょうか。
他国との比較:日本のホームレス数は「少ない」。
人口2200万人のオーストラリアでは、最新11年の調査によるとホームレス数は10万5237人です。そのほかにも、私たちが行ったニューヨークは人口約833万人でそのうち約6万人がホームレスの方なのです。
日本はに比べると、20分の1しかホームレスがいないようです。同じ先進国に比べて圧倒的に日本のホームレスは少ないようですが、それには何か理由はあるのでしょうか。
実は、このカラクリはホームレスの「定義」にありました。
【どのような人がホームレスなの?】
さて、ということでホームレスとはどのような人を指すのでしょうか。国によって捉え方は異なりますが、路上生活者だけでなく安定した住まいのない人たちを指します。たとえば、シェルター等の一時的に避難する場所に保護されている人や暴力を受けているなどによって、家はあっても安心して住むことができる場所のない人も、ホームレス状態にある人として数えます。
一方で、私たちの国では、路上生活者のみホームレスと定義します。何をもってホームレスというか定義が大きく異なっている…。そりゃあ、先ほど見たように、ホームレスの人数が、欧米諸国と比べると数十万人単位で少なく見えているわけです。つまり、日本では普段は路上で生活している人も調査する時に屋内にいる人は、ホームレスに含まれないんです。なんかちょっと違和感がありますよね。というのも、ホームレスの調査は目視で行われるので、屋内にいる人はカウントできないんです。
【ホームレスのとらえ方が異なると、どうなるの?】
では、ホームレスの定義の違いが何を意味するのでしょうか。それは、ホームレス支援の範囲が異なるということです。欧米諸国のように、ホームレスを安定した住まいのない人とすると、ホームレス支援は、安定した住まいを得ることが一番の目的になります。十分にできているかどうかは別として、安定した生活を送るために何が必要で何をしたらよいかを考えることにつながります。
一方で、ホームレスを路上生活者、と捉えるということは、ホームレス支援の一番の目的が、路上生活から脱することになります。つまり、安定した住まいを得るかどうかは支援の目的にならないことになり、安定した住まいを得ることが難しくなります。たとえば、路上生活の状態から、劣悪で不安定な施設に移っていただくさえも(こういった貧しい方への劣悪なサービスを提供してお金を稼ぐことを悪徳な貧困ビジネスと言います)、支援をしたことになってしまうんですよ。移っていただいた新住居が、小さな部屋に何十人も押し込まれるような場所やシラミが多く発生するような場所もあります。たとえ「寝るための場所」を得られたとしても、そんな場所では安心して生活できませんよね。
【実際のホームレスってどんな人?】
しかし、実際のところ、そんな生活状況にあるホームレスの方々は一体どんな人か…皆さんはご存知でしょうか。
例えば、ホームレス=「怖い」や「汚い」、「怠けている」そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
実際、ICU-CRAGホームレス国際共同研究チームが行なった調査によると、「精神的な病を患っている」・「アルコール依存症である」といったイメージを抱く人が調査した人の中で3割以上もいました。他にも、犯罪率の高さや学歴の低さといったイメージも挙げられています。
【ホームレスの人って怠けている?】
平成19年厚生労働省「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書」によると、ホームレスの方って7割くらいの人が何かしらで働いてお金を稼いでいるんですね。
何だか、世間のイメージとは「グッと」違いますよね。
【オピニオン:ホームレスの人って怖い?】
ここからは私個人の経験談になりますが、これまで話したり、今回のようにプレゼントを渡したりなど、何かしらの接触をしたホームレスの方は十数名ほどいます。そんな私が出会ったホームレスの方はみんな、私の目を見て話を聞いてくれたり、笑顔で受け答えしてくれたりしました。頭の中にある「ホームレス=怖い人」という印象を持った人は一人もいませんでした。もちろん、出会った人が偶然良い人だった可能性もありますが。
人は誰でも、その差はあれども、考えは偏るものです。昼間から街をふらつき、公園で寝ているホームレスを見ると、汚いとか怖いとか怠けていると思うのも仕方ないと思います。実際、私も動画の撮影日にホームレスの方を目の当たりにすると「ちょっと怖いなぁ」って思いました。もしかすると、頭の中で「ホームレスの方は怖くない」と理解していても、心のどこかでは「怖い人なんじゃないかなぁ」と思っているのかもしれません。しかし、いざ話しかけてみると、そんな感情はどこかに行ってしまいます。
そしてやはり、問題なのはイメージだけでその人を決めつけることそのものではなく、その偏りによって、人を暴力や言葉で傷つけることだと私は考えます。実際、放火や暴力などホームレスへの襲撃事件が、「ホームレスは悪い奴だから製剤してやりたかった」ということが動機で発生しています。

皆さんは社会問題と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。人それぞれだと思いますが、ホームレス問題を一番に思い浮かべるにとって少ないのではないでしょうか。私見として今日、明日生きれるかわからない、そんな生と死の狭間を行き来するホームレス問題は、最も深刻で、すぐに解決されるべき社会問題だと思います。私見ですが。
そもそも政治家は、すべての国民に安全と安心を提供することが一番の仕事。もちろん、政治家が全く手をつけていなわけでもありませんし、支援策はたくさんあります。ホームレス支援を展開するNPO・NGOも存在します。しかしそれでも解決しないくらい複雑であるようです。そんな複雑なホームレス問題は、身近にいるのに忘れられがちですよね。
皆さんはホームレス問題についてどう思いますか。
【セカンドオピニオン】
①「競争社会に敗れた人に手を差し伸べるのは、間違っている」
②「生と死の狭間にいる人には手を差し伸べるべき」
③「機会の平等と結果の平等は違うよね」
①競争社会に生きる私たちは、その競争に勝つために必死に努力をしますよね。求められるのはその努力ではなく、成果です。したがって、その競争に負け、貧しくなったとしても、それは競争社会に生きる上で仕方のないという主張。
②競争社会での勝ち負けに関係なく、日本では「必要最低限の文化的生活」は保障されていますよ。したがって、その個人一人ではその貧しさから脱出できないとき、国はその個人に対して援助すべきという主張。
③競争社会のもとでは、基本的に結果の不平等に目を向けません。しかし、大事なのは、その結果が導かれるまでの機会が平等であったかということ。例えば、お金持ちの家に生まれた子どもだけが良い大学に行き、裕福な家庭を築くことができる。その一方で、貧しい家庭に生まれた子どもだけが経済的な理由から大学に行くことができず(裕福な人と比べてたくさんの機会を失うということ)、その貧しさが次世代にも受け継がれる。そんな状況は機会の平等といえるのだろうかという主張。
【参考にさせていただいた資料】
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000122778.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044589.html
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/sp/400/188316.html
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/5031/
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000030rlj-att/2r98520000030rn0.pdf

プロデュース :吉川敦也
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