2016年8月。日本一に輝いた美うさぎがいると聞いて、淡路島を訪ねました。そこにいたのは、野性的な姿が美しい、うさぎのニルヴァーナ。日本では珍しい品種の「ベルジアンヘア」です。「淡路ファームパーク イングランドの丘」で飼育・展示されており、「会いに行ける日本一のうさぎ」です。
5月に行われたARBA(American Rabbit Breeders Association)公認のNIPPON RABBIT CLUB主催のラビットショーに於いて、ニルヴァーナちゃんは日本一になりました。このラビットショーは、ARBA公認の純血種のうさぎ達を、ARBA公認の審査員がジャッジするもの。ここで日本一になるということは、純血種のうさぎとして日本一バランスが取れた美しいうさぎである証明でもあります。
ニルヴァーナちゃんを訪ねに、飼育施設に伺うと、そこにいたのは、牧草の中へワサワサと出たり入ったりするひょうきんな姿のニルヴァーナちゃんでした。飼育員の乾さんに話を伺うと、とても頭が良く、また「犬っぽく、懐っこい」とのことで、ビデオを回している間にも、乾さんに甘えたり、食事の時間になると落ち着きがなくなったりと、自分の頭で考え、積極的に行動しているのが見て取れました。
もともとうさぎさんという動物は、自然界では「捕まって食べられてしまう」側の動物なので、神経質な個体が多いと、乾さんは感想を話してくれました。それでも、愛情を持って接していれば、心を開いてベタ慣れになってくれる、とても面白い動物だ、とも。
そんなうさぎ達、動物ですが、乾さんは可愛いだけでは済まされないと、プロの目から考えています。一時の興味から飼育して、飼いきれないからと捨てる飼い主も悪いけれども、無責任に増やすだけ増やして売ってしまう側にも問題はあると。そういったことを伝えていくのが、動物を扱う施設としての責任ではないかと、話してくれました。
うさぎは、ペットショップで安く売られていることもあり、簡単に飼えるというイメージが特に日本などでは強くついてしまっている、とも。しかし実際に接してみれば、毛も抜ける、糞尿も多い、草食動物なので牧草を与えればそのゴミが出る、牧草の粉も舞うし、と、思っている以上に簡単に飼育できる動物ではないと、飼育員になって思ったと、乾さんは語ってくれました。
動物の本当ってなんでしょうか。可愛い可愛いだけが動物の本質でしょうか。美しい、可愛いうさぎさんがいると聞いて訪ねた淡路島でしたが、大切なことに改めて気付かされました。動物とともに生きるということがどういうことなのか。今一度、きちんと考えたい問題です。