2016年9月3日 午前11時20分頃 横須賀港から原子力空母ロナルド・レーガンが
出港しました。
横須賀は、長崎県の佐世保や沖縄のホワイトビーチとともに、米原子力艦船の寄港地となっています。
原子力艦船に関しては搭載されている原子炉システムが実際にどのような構成となっているかに
ついては公表されておらず、安全性が明確にされていない事や、万が一事故が起きた時の被害想定が
どこまでかわからないのに避難基準が原発よりも甘い事等から一部では問題視されています。
ロナルド・レーガンは先月の8月30日首都圏を直撃すると言われていた大型台風による被害を
避ける為に、
28日には一時横須賀港を離れるという事もありました。
台風の過ぎた31日に再び横須賀港に帰港しました。
(関連ニュースリンク:
8/29 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160829/ddl/k14/040/206000c)
台風によるリスクはどのような事が想定されていたのでしょうか?
また横須賀には核燃料の製造工場(GNF-J)も存在する事からオフサイトセンターが設置されています。
オフサイトセンターとは、原子力施設の緊急事態時において、事故が発生した敷地(オンサイト)から
離れた外部(オフサイト)で現地の応急対策をとるための原子力施設から20km圏内にある拠点施設の
ことで、応急対策に必要なサーベイメータや簡易防護服やマスク、ポケット線量計など原子力災害対策用
防災資機材などが保管されています。
神奈川県では原子力施設のある川崎市と横須賀市にあり、全国では22箇所のオフサイトセンターが
設置されています。また横須賀には原子力艦船用のモニタリングポスト10箇所と
GNF-J 用の
モニタリングポストが8箇所設けられています。
横須賀のオフサイトセンターに関しては事前に申し込みをすれば中の見学等もさせて貰え
実際に
原発事故が起きた時を想定した避難訓練の様子等も映像で紹介して頂けました。
映像を見た市民からは障がい者や高齢者の避難に関する意見もありました。
質問などにも答えて頂く事が出来て、その中の一つに、原子力艦船に関してはオフサイトセンターの
管轄ではないというお話もありました。ただし、緊急時には指令があればそれに準ずるという事でした。
また、この日説明をして頂いたオフサイトセンター所長は震災当時福島第二原発におり、
当時何も
出来ずに悔しい想いをしたとも言われていました。
残念ながら福島第一原発の約5kmにあった福島の
オフサイトセンターは原発事故時放射線量が高い事から機能する事が出来ず、女川に関しても
オフサイトセンター自体が津波で流されてしまったという事があり、それぞれがそういう事を踏まえて
現在新たな場所で再建しているそうです。
横須賀のオフサイトセンター施設内には核燃料輸送に使われている輸送容器の模型の展示もありました。
「もしも核燃料の輸送中に事故が起きたら?」そんな心配があるのですが、
基本的には普通の事故
くらいでは壊れたりしない強靭な容器で守られているという事でした。
とはいえ、原子力災害はどのような事が起きるかは想定出来ないのも問題です。
因みに、核燃料製造工場のGNF-Jでは各発電所や各電力会社から材料(粉末の二酸化ウラン等)を
受け取り、ペレットに加工し核燃料棒にして、原発に送るというような作業が行われているそうです。
3.11以降は全国の原発が一時停止し、アメリカ向けのものが多く稼働も減っているそうですが、
実際は原発の再稼働と共にこちらも少しずつ稼働しているようです。
最近は特に地震、火山、そして台風など自然災害により甚大な被害も全国で多発していますが、
それに伴い、原発のトラブルや原子力災害等も防災の想定に入れておかなくてはいけません。
その時どういう事が起きうるのか、自分たちで意識して確認しておく事も大事だと思います。
もちろんここが使われる事が無いのが一番ですが、皆さんも是非一度ご自身の目でどんな所に
それがあるのか、そこではどんな事が行われるのか確認されてみるのはいかがでしょうか?
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オフサイトセンターについて
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g71011d11j.pdf
原子力規制委員会 https://www.nsr.go.jp/index.html
横須賀市オフサイトセンター http://www.nsr.go.jp/jimusho/yokosuka/
GNF https://www.gnfjapan.com/index.html
最新の原子力艦の原子力災害対策マニュアル 改訂分(新旧対照表)
http://www.bousai.go.jp/taisaku/genshiryokukan_manual/pdf/h280715.pdf