2016/07/07 教育
「殺されるために生まれる命」。保健所には多くの子猫。野良猫の授乳シーンを見て、動物愛護を考えてみる。

近所の野良猫が、子猫に授乳する瞬間に行き会ったので撮影しました。最初、母猫は撮影者である筆者を見つけて、こちらを睨み付けて用心しています。一度姿を消し、もう一度そっと覗くと、母猫は安心したように身体を横たえ、子猫に授乳し始めました。中途、人間の気配を感じ、顔を上げましたが、再び顔を下ろし、目をつむり、さらに授乳を続けました。が、側に人が来る気配を感じた母猫は身体を起こし、子猫を連れて建物の影に逃げ込んで行きました。その間、1分もあったでしょうか。連続写真を見ると、子猫が母猫の乳房を揉んでいるのがよく分かります。

 

この映像(スライドショー)のみ見ると大変微笑ましいのですが、春から夏にかけて(と、冬から春にかけて)の野良猫の子猫の生まれるシーズンになると、保健所には処分対象の子猫が多く持ち込まれたり、また動物保護団体は子猫の保護に追われたりと、厳しい現実が待っています。

 

平成26年度の環境省の資料によると、猫の場合、殺処分は79,745頭、そのうち幼齢個体は47,043頭にのぼります。それだけの子猫が、「不要な命」として殺されゆくのです。これでも、平成元年の統計では約328,000頭もの猫が殺処分されていたので、減ってきてはいるのです。詳しくは環境省のこちらのページをごらんください。

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

それでも、「殺されるために生まれてくる」子猫は後を絶ちません。地域で暮らしている猫たちには避妊・去勢手術を行うなどすることが望まれます。不幸な猫を一匹でも減らすために、人間が出来ること。保護すればいいかというと、それも極端な場合、保護数が増えすぎたための飼育崩壊を起こしたりするので、やはり適正な飼育をすることが望まれるのです。家族として猫を迎え入れた場合には、最期まで責任を持って世話をすること。当たり前のようでいて難しいことですが、「命」に責任を持つために、我々がしなければならないことです。

 

猫に限らず、少しでも不幸な動物を減らすために。もしかしたらあなたのすぐ側にいるかも知れない、新たに生まれた小さな命に責任を持って向き合ってみませんか。

プロデュース :西村晴子
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