2016年6月12日 鎌倉市で「長谷小路周辺遺跡 発掘現場見学会」が行われました。
こちらは(仮称)由比ケ浜こどもセンターの建設に先立ち、約1100㎡を対象に
埋蔵文化財の発掘調査を(株)斉藤建設埋蔵文化財調査部が平成28年2月1日から
行っており、この調査で古墳時代から鎌倉、室町時代にかけての遺跡が見つかりました。
この遺跡は長谷小路周辺遺跡と呼ばれ、元は砂浜だったと考えられている由比ケ浜
一帯に
広がる砂丘上に営まれた遺跡です。
今回の調査で、鎌倉〜室町時代からは方形竪穴式建物(地面を方形に掘り下げて木材や
鎌倉石で床や壁を作って上屋を架けた建物で地下式、または半地下式の倉と考えられる建物)
や井戸、土壙墓1基、その他溝の中からはイヌやウマ、ヒトの骨等が見つかったそうです。
奈良・平安時代では竪穴住居12軒、土坑やカマド等が見つかり、また古墳時代からは
石棺墓1基、土壙墓1基や火を燃やした炉跡、土器や貝殻、軽石等が見つかったそうです。
今回見つかった石棺墓は部分的に加工した磯石の泥岩を長さ235cm、幅 114cmに積み上げて
その中央に長さ162cm、幅35cm、深さ45cmの埋葬施設を作り、床には泥岩を砕いて敷いて
いるそうです。埋葬された人物は頭を東南に向けて仰向けで体を伸ばして仰臥伸展葬の姿勢を
しており、骨や歯の状況から15歳前後の男性で身長は156.2cmと計測されています。
また石棺墓から西側8.3mのところからは土壙墓が見つかっており、頭を東に向けて仰向けに
体を伸ばして埋葬されています。こちらの人物の性別や年齢はまだわかっていないそうです。
埋葬の違いから二人の人物の身分が違う事がわかります。ただし石棺墓からは副葬品などが
見つかっていない事からどのくらいの身分の者なのかまでは現段階ではわからないそうです。
また、子どもでも埋葬されている事から普通よりは身分が高く、海に近い事から
海に関する
生業をしている者のトップかその息子の可能性もあると考えられているといいます。
現在、これらは取り上げられ鑑定にまわされているそうです。
今回建設予定の(仮称)由比ケ浜こどもセンターは、認可保育所、子育て支援センター、
生姜時放課後余暇支援施設からなる複合施設で、周辺が津波浸水予測区域となることから
津波避難建築物としても活用出来るように整備しているそうです。
こちらは議会で承認されたら7月以降建設に取りかかるそうです。
普段何気なく生活している私たちですが、こうしてみるといろんな歴史や昔のヒトの暮らしが
その場所にあることを実感します。
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取材協力: 鎌倉市教育委員会 文化財部文化財課
株式会社 斉藤建設 埋蔵文化財部調査部