熊本県でマグニチュード7.3の地震が発生してから1週間あまりが経過。安倍総理が被害の大きかった南阿蘇村を訪問するなど、熊本県内の被害状況が詳細に報じられる中、FacebookやTwitter等では同じく震災の被害にあった大分県に関する報道が少ないという指摘が相次いでいた。そこで4月23日、大分県由布市湯布院町を訪ねた。
日本有数の温泉街で知られる湯布院町。
温泉街は通常通り営業している旅館もあり、建物への被害も限定的で比較的落ち着いていた。例年なら春を迎え観光シーズンの真っ只中、しかし地震の影響でキャンセルが相次ぎ町は静かだった。「温泉街は大丈夫ですよ!というメッセージを発信していかなくてはと危機感を持っています」といった声が地元商店主からも聞こえてくる。
一方で建物の損壊など被害が大きかったのは、同じ湯布院町でも川北地区。
断層のずれなのか道路が崩れたり、地面が陥没、隆起するなど震災の爪痕が生々しい。「ドーンと築き上げられた。今までこんな経験をしたことがない」と住民の女性は語る。避難所へ行くと自衛隊の炊き出しや県や地域の人々から送られた救援物資があり、飲食に困るような状況ではなくこちらも落ち着いた様子だった。
市の防災対策室の話によると一時湯布院町内で1000人を超えていた避難者数も現在は100人規模に。しかし、依然として時折強い揺れが地域を襲う。夜になると避難所に来て休んだり車の中で一夜を明かす人もまだいる。「熊本の情報だけではなく、大分の情報も報道して!というリクエストがあってきたんですよ」と話しかけると、被災した方々からは「熊本の方がひどい、あっちに行ってあげて」という声もあった。