2015年末、翌年の移転を前に「築地市場」は買出し客と年末の賑わいを味わう客と観光客でごった返し歩くこともままならず。
それを承知で多くの日本人がここを訪れるのはこの賑わいこそが築地の活気であり、日本の年末を味わうのにふさわしいからだろう。
日々の買い物がスーパーや量販店に取って代わり、売り手と買い手の会話がないまま物と金だけが動き続ける社会で、
築地では一見無駄とも思える売り手の掛け声と買い手のひやかしがあり
結果があってもなくてもその間には「コミュニケーション」というものが確実に存在している。
そしてそれは我々の社会を築く「素」になるべきものではないだろうか
この築地でふと立ち寄った鰹節店から会話が始まり、いつの間にか「食育」を受けていた。
何かを始めようと気構えなくても人がいるところに「会話」があれば、
新しい出会いや学びや発見がある。
パック詰めされた食材が何を原料としどこから来るのか、
どのように作られているのか
普段考えることも少なくなったふとした「食」に関する問の答えがここにある。
日本人が守り続けている「文化」がここにある
2016年築地の「場内」は移転する。「場外」はこの地に残るが
もともと「場内」があって始まったこの市場、単なる観光地にならぬよう私たちの「台所」を支えて行くのは私たちだ。