2013年11月。約1年ぶりに、いわき市を訪ね歩きました。
震災から約3年が経ち、自分の中にある記憶を風化させないために、1年に1度訪れる場所がこの勿来(なこそ)海岸です。 天気が良い日は、水平線近くに海上を行き交う船がくっきりと見ることができます。青い海、青い空、ゴミもない砂浜は、歩き、その空気を吸うだけで、背筋が伸び、まるで「頑張りなさい!」と背中を押してくれるようです。海沿いには民家が建ち並び、幼稚園などもあります。砂浜に下りて、遊ぶ家族連れやカップルで遊びに来ている風景が1年前にはありました。 あれから1年。 訪れた海岸沿いは、何本もの鉄骨が網目のように組まれ、工事関係の車両が行き来し、細い路地を抜けた先に広がっていた青い空、青い海は網目の隙間からしか見えなくなっていました。訪れるまで、そんな工事が始まっているとは知らず、地元の方に伺うと「津波や高潮から護るための工事だよ」と教えてくれました。1年前、歩くことができて砂浜には、いくつもの土のうが積まれ、鉄骨が並べられているので、当然のことながら、砂浜を歩く人は誰もいません。水平線近くに見えていた行き交う船も鉄骨の網目からしか見ることができませんでした。 未曾有の災害を経験し、今あちこちでこうした工事が進められているようですが、自然災害から人々の命を護るための手段とはいえ、自然豊かな風景が人々の暮らしの中から縁遠くなってゆくのが、少し淋しい気がします。 ☆☆☆☆☆ 撮影・編集 : iPhone4S