かまくらひかるは、32歳。
6年前に東京から「大好きだ」という実家のある長野に帰ってきた。
法科大学院を出て法学実務博士号を持つ彼女は、地元の法律事務所で仕事をしながら、広い分野の様々な勉強会に参加したり、地区の自治会の役員をしたりしながらこの機会を待っていた。
かまくらひかるは、以前よりずっと政治に携わりたいと思っていた。
本来ならば政治は住民の生活に密着して、生活上の不安を解消したり、「こうなったらいいのに」「こうしてほしい」という希望を叶えるためのものであるはず!にも関わらず、選挙のたびに投票率は下がり続け、若者の政治離れが叫ばれるこの世論が指し示すように、政治は住民に密着するどころか疎まれる存在になりつつある。
彼女はそれを「なんとか変えたい。」と思っていた。
今回、かまくらひかるが挑戦するのは長野県議会議員選挙だ。
どの政党の支援も受けずに選挙戦を戦う決意をしている。一般的に考えれば無謀な挑戦なのかも知れないが、それでも彼女はその意志を貫いている。同世代の若者や政治に興味を持たない人たちに少しでも興味を持ってもらえるように、政治をもっと身近なものだと感じてもらえるように。あえて政党の色は持たず、フラットに幅広く、政党目線ではなくて、地域目線で、もっと言えば地区目線からの政策を実現するためだと、かまくらひかるは言う。
今回の統一自治体選挙で「私が突き抜ければ、政治への意識が変わるきっかけになる!」「一緒にやりたいという人がもっと増えると思う!」と彼女は話した。
時代の魁とはこういうものなのか。確かに誰かが挑戦しなければ“歴史の幕”は開かない。
かまくらひかるの挑戦が時代に光明を見出すのか。
いざ、これから彼女の人生をかけた戦いがはじまる。
撮影・取材:堀潤
音楽:青木健