2月15日(日)、世田谷区の玉川区民会館で2014年度LGBT成人式が行われた。
成人式といえば、「二十歳を迎えた新成人たちが、女性は振り袖、男性はスーツや袴で参加するもの」というのが一般的な認識だろう。だが、このLGBT成人式には、そのような決まりはない。参加者の年齢は様々で、ドレスコードは「あなたのしたい服装」。さらに参加者のセクシュアリティは問わない。
LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字であり、セクシュアル・マイノリティを指す言葉として日本でもメディアで使われるようになってきた。先日、渋谷区では同性同士のパートナーシップを保障する条例案が提出されるなど、LGBTの権利をめぐる動きが活発化している。
だが、LGBTは、セクシュアル・マイノリティの総称ではない。LGBTという4つのカテゴリー以外にも、アセクシュアルやパンセクシュアルなど、多様なセクシュアリティが存在する。
LGBT成人式では、そのような多様性を、無理矢理どこかにカテゴライズすることなく、ありのままの自分を肯定できる社会を目指す新成人やゲストがステージでトークやパフォーマンスを行った。
式の冒頭では、保坂世田谷区長が渋谷区の取り組みに触れながら、多様性に寛容な社会をつくることを目指し、性的マイノリティの方への施策について、前向きに取り組みたいとの抱負を述べた。
新成人の辞(1:11~)では、大賀一樹さんが幼い頃「オカマ」といじめられたことや自分が自分であることを肯定できなかったことなどを語った後、「田島さんは、私が唯一信頼できるシスジェンダー(1)・ヘテロ(2)の男性です」と友人を紹介した。その際、大賀さんは「唯一信頼できる」とした理由について、幼い頃にいじめられた経験から性自認が男性で、異性愛者の人々に苦手意識があるからだと述べた。大賀さんはこの苦手意識は昔の経験から自分を守るためのものであり、同時に偏見でもあると言う。
続いて新成人への辞(2:09~)では、友人の田島さんが大賀さんと出会ったことによって、「自分の中にある「当たり前」や偏見に気付けた」と述べた。
また、大賀さんと同じく新成人の辞(3:18~)を述べた松岡宗嗣さんは、「ゲイであることは私を構成する要素のひとつであり、全てではありません。私は私なのです」言う。
続いて新成人への辞を述べた母・成子さんは「息子について語る時、セクシュアル・マイノリティであることは大きなことではない」と、ゲイというセクシュアリティを個性の一部として受け入れていることを明かした。
また、女性2人で子育てをする女性は「LGBTだから、子どもを持つのは諦めるべきだという意見には賛成できない」「息子が嘘をつかずに生きていくにはどのようにすればいいのか。時には声を上げていくことが必要だと思う」と述べた。
トークショー(11:15~)では、ゲストのIVANさん、村主章枝さん、MCの杉山文野さん、りかこさんの4人でセクシュアリティをめぐる様々な問題や体験について語った。「成りたい人」ってどんな人?というテーマでのトーク(13:30~)では、4人それぞれが涙や笑いを交えながら、なりたい人や実現したい社会について語った。
ライブ(19:44~)では、こまつさんによるトランペットとキーボードの同時演奏のパフォーマンスとトークが行われた。ゲイであることをカミングアウトして活動しているこまつさんは、カミングアウトしたことによって勇気をもらえたと語り、3曲を演奏した。
LGBT成人式に参加した方々のインタビューは21:52~
(1)シスジェンダー…心と体の性が一致している状態。またその人。
(2)ヘテロ…ヘテロセクシュアルの略。異性愛(者)。心の性が女性(または男性)の人が心の性が男性(または女性)の人を好きになること。