何回かにわたってお伝えしている、福島県二本松市の東和地区に降って沸いた放射性廃棄物の仮設焼却場建設問題は、ついに最初の山場を迎えた。
2月6日、地元住民の有志らで作る「夏無(なつなし)沼と東和の環境を考える会」が、施設の建設に反対する住民から集めた7,500筆を超える署名を、焼却場を管轄する広域行政組合長である二本松市長に手渡し、改めて建設計画の白紙撤回を求めた。
「考える会」の集計では、東和地域住民の署名数は4,455筆にのぼり、これは地域の現住人口の70%を超える圧倒的な数字だが、住民が数字にこだわるのには理由がある。
12月に行われた地元住民を対象とした説明会の場で、住民からの質問に対し、市長は「住民の過半数を超えるような反対があれば、強引に建設を進めるようなことはしない」と明言していたからだ。
結果は、目標としてきた地元住民の過半数を大きく上回る形となり、住民を無視して一方的に進められた今回の計画に対する地元の「怒り」が、署名の数となってハッキリ表れたと言える。
市長は署名提出時のやり取りの中でも、「私の言葉に二言はありません」と言い切っており、今後この署名の結果をどう判断し、行政組合や環境省との調整をどう行っていくのか、判断を迫られる時期にあることは間違いない。
市長、そして行政側の決断のときを、住民は固唾を呑んで見守っている。