2015/01/29 地域
【阪神淡路大震災20年】 神戸市公開の記録写真オープンデータに利用続々/ プロによる手記朗読とのコラボ動画も

阪神淡路大震災から20年を機に、神戸市は保有していた震災記録写真1000枚以上をネット上で先月から公開しているが、このオープンデータが、予想を上回る多彩な活用を呼んでいる。 神戸市・市民参画推進局広報課が制作したこのサイトは、「阪神・淡路大震災 1.17の記録」。http://kobe117shinsai.jp/ 

 

単なる写真の“展示”ではなく“提供”用である点が特色で、公開から約1ヵ月で、同課が把握している具体的な利用事例は、早くも100件を超えたという。特に使用申請や届け出は必要とされていないので、実際の活用はこれ以上に広がっているものと思われる。

 

国内各地の地方自治体は、住民の防災意識向上のための副読本やパネル展示に、これらの写真を相次いで取り込んでいる。一般企業も、社員の防災教育研修用に、この写真を使った資料を作成し始めた。国立情報学研究所は、これらの写真をスマートホン・カメラのファインダーに半透明で重ね、現在の風景と構図を合わせてシャッターを押せるアプリを作成した。http://dsr.nii.ac.jp/memory-hunting/

 

ここでご紹介する動画も、そんな活用法の1つ。ネット配信番組『下村健一の“知ってる?この話”』(WALLOP放送局)とのコラボレーションで、あの震災で母親を亡くした1人の青年の手記を朗読で聴きながら、写真を1枚1枚スライドショーのように見ていくという心に迫る動画表現に、「朗読座」主宰の女優・紺野美沙子さんや、テレビ局出身のプロの編集マンらがボランティアで取り組んだ。同サイトを周知するための市の委託業務…ではなく、これもオープンデータ公開に呼応した、自主的な動きだ。

 

大勢の市民が撮った写真と、1人の市民が綴った手記と。《全体像》を目でとらえながら、《その中で1人1人に起こっていた事》を耳で掘り下げる。―――あの震災を知らない世代の人達や、忘れつつある世代の人達に「阪神淡路大震災」を伝承する、新たな試みである。

 

1月17日の《震災20年》当日を過ぎた後も、こうした写真データ活用の新たな報告は途絶えることなく続いており、同市広報課の担当者は「オープンデータという方法が生み出すパワーを、再認識させられた」と感激している。

プロデュース :下村健一
Comment

コメントは管理者が承認後に表示されます。

Page Top