投票日が16日の日曜日に迫り、知事選だけではなく、那覇市長選挙や県議補選や市議補選も始まり、今週の沖縄は選挙だらけになっている。
・現在知事選のトップを走っていると報じられているのは辺野古新基地反対派の翁長雄志さん。「沖縄の保守」として、今までの保守・革新のイデオロギーの対立に囚われずに「オール沖縄」のアイデンティティーで団結し、日本政府に提出した建白書の実現を目指す。安倍総理に宛てられた建白書は①オスプレイの配備中止・撤回と②普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設の断念を求めている。一部の政治家はぶれたが県民はぶれていない、沖縄は金目では動かないことを圧倒的な勝利を持って示そうと呼びかける。
また、アジアのダイナミズムの中で沖縄には多くの強みがあり、沖縄の自然、文化、歴史などのソフト面を生かして十分に経済発展することができるという「21世紀ビジョン」を持ち、逆に仲井真さんの米軍基地と日本政府からの振興策に頼り続けることを沖縄にを強要する「21世紀ビジョン」は時代を逆行するものだと批判した。
米軍の銃剣とブルドーザーで土地を取り上げられて以来約70年間、沖縄はずっと基地を負担してきて、基地は沖縄の経済の一部を担ってはいたが、時代は進み基地は沖縄の発展を妨げるものでしかなくなってきている主張する。しかし、今までのように基地に対して真っ向からノーを突きつけるのではなく、「やさしい沖縄」の社会をつくるために、軍用地主や基地で働く人々とも手を取り合って共に歩むことのできる仕組みづくりをこれからしなければいけないと話す。
翁長さんは当選した際には辺野古を守る為に日米両政府や国連に出かけ訴えるなど、あらゆる手を尽くして辺野古新基地を阻止すると話す。取り消し・撤回は公約には入れていない。
翁長さんのボランティアには、特定秘密保護法や、集団的自衛権や原発再稼働など、強行的な姿勢が目立つ安倍政権に対してノーを示し、翁長さんを当選させて辺野古の新基地を止めることで戦争への流れを止めたいという思いを持っている人が多く、本土からボランティアに来ている方も多い。
・現在翁長さんを追っている現職の仲井真弘多さんは、県外移設を訴え当選したが、去年の12月に「苦渋の決断」をして辺野古の新基地を承認した張本人。彼は辺野古は「新基地」ではなく、「代替基地」だと表現する、唯一はっきりと辺野古推進をする候補。8年間進めてきた仲井真県政の「流れを止めるな」というスローガンの元、5年以内の普天間飛行場の運用を停止などに脇目もふれずに取り組みたいと話す。7日に行った総決起集会は「自民党県政の歴史に残る」ほどの盛況ぶりで、8日には日本本土から菅内閣官房長官が応援に訪れた。菅さんは「『内閣官房長官』というよりも、『沖縄基地負担軽減担当大臣』の菅でございます」と挨拶し「仲井真選対市町村長緊急対策会議」にて、各市町村の支部長にそれぞれの地域で集票に励むよう指示し、また日本政府からの全面的なバックアップも約束した。9日には日本政府の政策を進めるにあたって重要な地方の選挙戦の際にマスコット的に活躍する小泉進次郎さんが訪れた。彼を見に日曜日の夕方にショッピング街付近の交差点で行われた街頭演説には多くの人々が集まり、子連れの姿も目立った。小泉さんは、周りからボロクソに批判されても信念を貫かなければいけないことも人生においてあることを身を持って体現していると、辺野古承認についてバッシングを受けている仲井真さんを擁護し、返還された基地の跡地利用や沖縄の子供の学力のアップや経済発展について話を展開した。
普天間基地の問題に直面している宜野湾市や裏添市の市長や市議会議員が応援演説を行った。ボランティアの女性は、以前は彼女自身も辺野古反対だったが、孫達の将来を考えて、全ての候補の話を聞いて比べた結果、経済発展できるのは仲井真さんしかいないと思い応援している。反対の人達はきっと昔綺麗な海で遊んだ記憶があって、それが忘れられないのだと思うと話した。
・下地ミキオさんは、仲井真さんが辺野古承認のハンコを押してしまったことも、辺野古を今まで推進してきた翁長さんが立場を変えて反対だというのもどちらもおかしい、辺野古を選挙に利用しているようにすら見えると街頭演説で話した。彼は辺野古については県民投票を実施して民意をはっきりさせた後に、沖縄県の民意を通すために力を尽くす、当たり前のことをするのみだと話した。この選挙を辺野古問題だけにしてはならず、教育や貧困問題のことも冷静に考えなくてはいけないと呼びかける。段階的に目標を達成してゆく堅実な政治をしたいと話す。
明るいオレンジ色のはちまきをした下地さんの陣営は「ゴミちゃー拾い」というゴミ拾いの活動に励んでいて、その日も40カ所でゴミ拾いを実施していた。ゴミを拾って穏やかな心で政治をする。ゴミを捨てた人を怒るのではなく、なぜ捨てたのかを考えるために政治家がいると、ゴミを拾うように見落とされていた問題も拾いたいと、ゴミ拾いについての哲学を披露した。
ボランティアの方に、個人的には辺野古賛成なのか反対なのかと聞くと、個人的には反対という声が目立った。「沖縄の海なんだからやっぱり埋めない方がいいんじゃないですか」という男性は、下地さんは自分にできないことをやっているから応援している、また沖縄には基地被害に遭っている人も基地で生活している人もいる為、賛成でもなく反対でもない下地さんは応援しやすいと話した。
・自らが8年間代表をつとめた民主党県連の意向に逆らって立候補し、民主党から除籍された、政治が本職、ミュージシャンは天職だと話す喜納昌吉さんは、この選挙は辺野古を利用した巧妙な利権争いにすり替えられているという見方を持っている。仲井真さんは国場組、翁長さんは金秀グループ、下地さんは大米建設という土建屋にそれぞれ支持されていて、翁長さんは辺野古の承認の取り消し・撤回を公約に入れないのは、埋め立てや基地建設によって潤う土建屋とのしがらみがあるからだと話す。政治家は言葉を巧妙に使って公約を破る名人なので、辺野古を守れるかどうかは、県民がどれほど目覚めているか、嘘を見破れるかにかかっていると話す。辺野古の埋め立ては公有水面埋立法に明らかに違反している為、行政法に基づいて知事の職権で承認取り消しをすることができる、逆に言えば知事にしか取り消しをすることはできない、反対と言いながらも取り消し・撤回を名言しない翁長さんは信用できない、下地さんの提案である県民投票には5億円かかる上に本格着工までに間に合わないと他の候補を批判。
地球出身、現住所は沖縄という喜納さんは、香港やマカオで実施されている一国二制度、ベーシックインカムの導入、尖閣の県有化と国際共同管理・開発、中央からの出先機関である総合事務局の廃止、国連軍の常駐など、悪く言えば空想的、良く言えば先見的な政策を発表している。