※今月13日のパリ同時多発テロを受け、2014年10月21日掲載の記事を再掲します。
オランド政権がイラク&シリア領土内のイスラム国・空爆に荷担したことについて、首相経験者や政党党首、国民議会議員(下院議員)、欧州議会議員などから反対の声が続続と上がっている。理由は大別して3つある。
ドミニク=ドヴィルパン元首相は9月29日にRTL(フランス国営ラジオ)の番組に出演して、
「空爆にフランスが参加することでわたしたちはますます危険にさらされることになる。これは明白な事実だ。空爆によって世界各地に散らばるテロリストをわが国に呼び込むことになる」
と警告した。
反テロ行政の長を1980年代に務めた最大野党・UMP(民衆運動連合)のアラン=マルソー国民議会議員も「今回の軍事介入はフランスを危険にさらすことになる」と指摘している。マルソー議員は9月23日にRTLの番組に出演して、イスラム国に対する米仏を初めとする連合について「ひじょうにもろいものだ」と指摘し、「(空爆に参加した)フランスはアメリカと違って海外にいる自国民を護る能力を欠いている。イスラム国支配地域では、3~4機のラファル戦闘機しか飛ばせていない。わたしたちはイスラム聖戦士たち(jihadistes)の標的・敵になる恐れがある」と警鐘を鳴らした。
ドミニク=ドヴィルパン元首相はさらに「軍事介入はテロリズムを育成・醸成する」と指摘した上で、「この種の空爆や軍事介入によって、テロリスト集団の除去という私たちが期待する結果はもたらされないと、我々は過去の経験から知っている。50-60年の経験から、いやここ10年の経験だけでも、軍事介入はテロを根絶するのでなく、テロの土壌をつくってしまうのは明らかだ」と付け加えた。
左翼党・党首にして2012年大統領候補だったジャンリュック=メランション欧州議会議員は9月26日に仏国営放送「France2」の番組に出て
「以前よりもはるかにひどいカオス・混沌が軍事介入によってもたらされることを世界の人々はまず知るべきだ」「誰がイスラム聖戦士を財政的支えているのか……ということにもっと関心を向けるべきだ。それはサウジアラビアやカタールの君主・国家元首たちだ」
と論じた。
左翼党のフランソワ=アザンジ国民議会議員(下院議員)は9月24日に議会で
「イスラム聖戦士に抵抗する人たちを、政治的・人道的・財政的に支援するような形で、軍事支援するためには、アメリカによる軍事連合ではなくNATO(北大西洋条約機構)の監督下で、軍事介入が行われる必要がある」
と述べ、米国中心の枠組みでの軍事介入を批判した。
また、フランス共産党のピエール=ローラン上院議員は
「フランスの自由と独立を担保するためには、NATOと連携することが必要だ」「NATOに率いられた介入のみがフランス軍を派遣することを正当化できる唯一の方法だ」
と、主張した。
※映像は仏国営放送「France2」にドヴィルパン元首相が出たときの映像です。