2014/10/06 国際
【傘の革命】香港現地ルポ⑥襲撃が頻発するMong Kokの物語

現在香港で進行中の「傘の革命」には3カ所の拠点がある。メインのサイトは政府関連の高層ビルなどの多いAdmirality、もう1つはデパートなどが多く買い物客で賑わうCauseway Bay。そしてその中でも異彩を放っているのが、2つの占拠サイトのあるHong Kong Islandの対岸KowloonエリアにあるMong Kokだ。

 

Mong Kokは学生達をサポートするために香港市民が自発的に占拠を始めた場所で、2本の大通りが公差する場所を占拠している。繁華街であり、様々な人々の生活圏でもある。ささいなものから深刻なものまで、トラブルが最も頻発する場所になっている。

 

筆者がCauseway Bayの襲撃事件を取材していた頃と同じ頃、10月3日の夜にMong Kokは襲撃を受け、20人の逮捕者が出た。翌朝の早朝にMong Kokを訪れると、中心のテントの周りに市民が集まり、早朝から話し合いをしていた。

 

現場にいた英語の話せる学生Jerry(25)に話し合いの内容を聞くと、彼らは①昨晩の襲撃のテレビの報道について②再び襲撃されたときにどうするか③香港のメディアが中国本土から受け取っているのセキュリティー・フィーについて④トライアドというギャングなどについて話しているという。

 

Jerryはあたりを見回し、トライアドのメンバーも集会に混じっていると思うと言う。ギャングの中には市民や学生を守りたいという考えの人々もいて、彼らはお金をもらわずに独自に行動しているが、Mong Kokを襲撃したギャングメンバーは中国本土からお金を受け取っている、というのが彼の推測だ。

 

翌日10月5日、日曜日の夕方に再びMong Kokを訪れると、占拠サイトは人で溢れていて、また警察の数も目に見えて増えていた。反対派の人々が小さな騒ぎを起こし警察がなだめるという光景がよく目についた。

 

人々は今後Mong Kokをどうするかなどについて話し合い、夕方6時過ぎに記者会見が開かれ、3日の夜の警察の対応への批判や、Mong Kokを引き上げてより安全な中心地のAdmiralityへ移動する可能性などが示唆された。人々は拍手をしたり「香港に勝利を!」などとかけ声をあげた。

 

会見後、2人の男性が群衆に向かって自分たちのMong Kokに対する思いを熱弁した。「自分たちは7日間ここを占拠した!Mong Kokは自分たちにとって重要な場所だ!ここを捨ててAdmiralityに行くことはできない!」と主張し、先行きを見守る多くの人々が拍手で応えた。

 

学生達をサポートする為に立ち上がった一般の香港市民達が、数多くのトラブルを経験しながらも、より治安が良くトラブルの少ない中心地ではなく自分たちの生活圏であるMong Kokで占拠を続けたいという、下町っぽい熱気がMong Kokの空気を満たしている。

プロデュース :蜂谷翔子
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