10月3日、深夜過ぎ。「傘の革命」のプロテストの中心地であるAdmiralityでは、木曜日中に香港の現在のリーダーCY Leungが辞任しない場合、プロテスター達は政府の建物を占拠するとしていて、プロテストの中心地では警察の数が増えているという緊張感のあるテレビの報道がなされていた。
日付が10月3日に変わった時間帯に、香港島の対岸の九龍にある別のプロテストサイトMong Kokに地下鉄で向かった。電車の中や駅の構内にも、学生たちへのサポートを意味する黄色いリボンをつけた人々の姿が目立つ。中には催涙弾に備えてマスクをしている人もいる。
Mong Kokでの街中でのプロテストの運営をしている人々に、プロテストの中心地のAdmiralityでの現在の状態についての意見を求めると、Mong Kokでのプロテストはもちろん同じ目的を持っているが、中心地とはまた別のプロテストなので、こちら側からは中心地での状況に関してはコメントできないという答えが数人から返ってきた。詳しく聞いてみると、Mong Kokでの占拠は、「傘の革命」を支持する香港市民によるものらしく、学生運動やOccupy Centralと違って決まったリーダーがいない。周辺に住んでいる住民などが多く参加しているらしい。赤ちゃんを抱いたおばあさんは、笑顔で「騒音は問題ありません」と言っていた。
説明をしてくれたMeowさん(26)はマスクをしていて、インタビューはいいが撮影はダメだとのこと。彼女は念のため香港の政府に顔を見られるのを避けている。Mong Kokについての説明をしてくれたLongは18歳、Pangは16歳。「傘の革命」は若い香港の人々によって支えられている。そして学生でない人々もサポートをしている。Lileyanさん(24)は、天安門事件のように中国政府がやってきてプロテストする市民を殺害するようなことは、中国政府にとってのリスクが大きすぎるため、ああいった悲劇は「傘の革命」には起きないと考えていると語った。Kenさん(38)は、暴力には屈しないし、もしも警察が発砲するようなことがあったら、大人達が盾になって学生達を守ると言う。
政府関係の建物や高層ビルの立ち並ぶセントラルエリアAdmiralityと違い、Mong Kokは商業ビルやアパートもある街中に位置している。人の波に飲まれて動けなくなった大型バス4台は今もバリケード内に取り残されていて、プロテスター達のメッセージやスローガンやアートだらけの姿になっている。空気は和やかで緊張感はあまりない。
辞任を要求されていた現在の香港のリーダーのCY Leungは辞任をしなかったが、近いうちにプロテスター達と香港政府の間の対話がなされることになっている。中国共産党の新聞にはプロテスター達に対する脅迫じみた社説が掲載され、中国はプロテスターの要求に答えるつもりはないという態度を表明している。
蒸し暑い10月の香港で、平和的なプロテストが続いている。