米国オバマ大統領によるイスラム国の空爆を支持したフランソワ=オランド仏大統領に、ドミニク=ドヴィルパン元首相&元外務相が反対の声をあげた。ドヴィルパン元首相はジャック=シラク大統領(1995年-2007年)の秘蔵っ子として同政権で外務相、内務相、首相を歴任し、イラク戦争開戦前の2003年2月14日に、国連安保理で仏外務相としてイラク戦争に反対する歴史的名演説を行ったことで知られている。
ドヴィルパン氏は9月12日に仏テレビ局「BFM」のインタビューに応え、イスラム国を攻撃する国際的な連合が形成されることを次のように非難した。
「オバマ大統領は同盟国や中東諸国などとイスラム国に対する国際的な包囲網をつくり、第三次イラク戦争を始めようとしているが、この判断は合理性を欠いていて、危険きわまりない」「中東諸国はアフガニスタンの教訓から学ぶべきだ。2001年にはテロリズムの中心拠点は(アフガニスタン)一つしかなかった。現在はどうか。イラク、アフガニスタン、マリ、リビアなど約15もある。これは何を意味するのかといえば、私たちがテロの中心拠点を増産させてしまった。一貫性のない傲慢な中東政策ゆえに生まれた怪物がイスラム国だ。」
そして、「現在、この地域において戦争に突き進むことは、我々に対抗する連合が形成されるリスクを孕んでいる」と述べた上で、”第三次イラク戦争”について「アイデンティティ・クライシスだ」「火に油を注ぐことになる。戦争をするたびに、我々の無能を補うために、また別の戦争をする羽目になる。火を見るより明らかではないか」と警鐘した。