2014/07/28 文化
【文化】流しそうめん×音楽×お酒 芸術と食のコラボで人が集い輪が広がる夏の夜

夏の楽しみ方は様々。音楽、絵、映像、お酒、ダンスなど、スタンダードなクラブイベントや展覧会とは少し違った、もっと人が自然に繋がれるイベントをしたいと考える山本理恵さんは、「食」の要素を取り入れたイベントを昨日、西麻布のSuperDeluxeで催した。

会場の中央には、流しそうめんを流すための竹が2本天井から吊るされ、2本の竹はキレイな角度で公差し、透明な水が静かに流れていた。インスタレーションのように照明があてられて、流しそうめんのセットは一筆書きの作品のようにミニマリスティックな洗練と存在感のある日本の伝統的な芸術と前衛モダンが混じったような雰囲気に仕上がっていた。そして人々はそうめんの流れる竹を囲み、そうめんと各々の会話を楽しんだ。

12年前に芸術仲間と人が集まって楽しめるイベントを企画し始めた山本さんは、「同じ釜の飯を食う」という言葉があるように、一緒に食べることで人は自然に繋がることができると言う。特に流しそうめんの場合は竹を囲んで人々が対面するので、クラブイベントだと自分が介在しないとなかなか人が繋がらなかったりするのに比べて、皆気楽にコミュニケーションをするので、自分が介在しなくても勝手に輪が広がり、広がった輪から派生して新しいプロジェクトが生まれたりするところが気に入っていると言う。

イベントでは音楽、映像、ライブ刺繍パフォーマンスも催された。即興のライブで、寺田伊織さんがクリスタルボウル、ジョーデンス・セドリックさんがハンドパンという波動楽器、そして千葉美波子さんがライブ刺繍パフォーマンスをし、映像作家のロベルトさんが観客にも刺繍作業の手元が良く見えるようにプロジェクターでライブ刺繍を壁に投影した。

刺繍のライブパフォーマンスをした千葉さんは、自分の作品に最も影響を与えているのは文学で、アルゼンチンのホルヘ・ルイス・ボルヘスという作家の世界観が好きだと言う。抽象的で小宇宙を思わせる、青が基調の刺繍が彼女の手元で静かに広がっていた。

寺田さんはクリスタルボウルという楽器を演奏し、セドリックさんはハンドパンという楽器を演奏。2人とも普段楽器をセラピーに用いていて、寺田さんは普段の音楽セラピーをそのまま即興で行った。彼女の父親は発明家で、虫をよせつけないけれど肥料になる薬や、成分が99.9%水でできている油やタンパク質の汚れを落とす洗剤など、地球にやさしいものを発明していて、発明品を広めにバングラディッシュに行くこともあるという。

セドリックさんはホリスティック・ヒーリングを行っていて、呼吸法や太極拳などに詳しく、アメリカなどから出てくる新しい情報を自分の手が届く範囲で翻訳したり広める努力をしているという。彼の元には鬱病の人などが多く相談に来るが、「薬を飲めば治ると思っているのが間違っている」と彼は言う。都市で生活していて、人間関係や常識が無い人が多いと彼は感じ、自分は時に夜更かししてケータイを手放さない孫をしかる「おばあちゃん役」をしている気分になることもあると言う。

音楽、芸術、食と人々が集った東京の夏の一夜は、穏やかに親密な雰囲気の中で心地よく流れた。

千葉美波子さんのホームページ(http://column.kuroyagishiroyagi.com/?eid=1020568)

プロデュース :蜂谷翔子
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