4月27日が投開票だった衆院鹿児島2区補選、消費税増税後初の国政選挙に奄美出身の碩利昭さん(46)は立候補した。碩さんは供託金300万円を奥さんの助けで工面し出馬、選挙費用は25万円以下に抑え超低予算の選挙をした。
ポスター貼りを手伝ってくれる数人の友人、知人や奥さんを除いて運動員はゼロ。無所属なのでもちろん政党助成金も無い。自分の足で歩き街宣し、子供達相手に鼻笛で「アンパンマンのマーチ」をふき、自分の手でポスターを貼り、地域の人々と直接言葉を交わした。お金のかからないツイキャスを利用して選挙運動の様子を生中継で発信した。
碩さんは低予算の選挙をする為に様々なことを試した。スローライフ実現とガソリンの無駄遣いを押さえる為にヒッチハイク通勤をしていた経験を生かし、選挙中も約20回ヒッチハイクをしたり、目立つようにポスターを逆さまに貼ったりした。次回選挙に出る時は、選挙ポスターを作らず、いらない紙をそのままポスターの代わりに掲示板に貼りつけて、「ポスターの無駄を無くすために再生紙を利用しています」と書いたり、1枚1枚に違うメッセージを書いたり、ブログに飛ぶQRコードを載せたり、「次のポスターは100メートル先」と書いたりして、子供が楽しめるような感じにしたい、と碩さんはアイディアを膨らませる。
選挙に出るにあたり、一般人である彼にとって一番辛かったのが、各新聞社に提出する争点に関するアンケートや、指宿で行われた公開討論会だったという。統一された争点に対して明確な意見を持っているから彼は出馬したのではなく、循環型社会や食の安全など、彼なりの主張を世の中に対してしたかったから彼は出馬したのであり、全ての争点にまんべんなく答えなければいけない形式には彼は窮屈さを感じたと言う。普段からマニュフェストの記述や討論など、政治家として訓練をしているわけではない一般人なので、公開討論会の当日は逃げ出したい思いだったと言う。
選挙が終わった後に電話でインタビューすると、碩さんは自分1人で自分のやりたいように自由に選挙をやり、たくさんの人々に出会うことができ、リスクを顧みずに選挙に出たことで多くのことを得ることができたと語った。今は選挙中に出会った人々の生の声を生かして、地域を良くするためにやれることから実現したいと言う。選挙後すぐに始めたことは、障害を持った方に直接頼まれ、障害者用の駐車場に一般の人々が駐車している状態を改善するため行政に働きかけているという。今後は、政治家になることもいいが、奄美ではオンブズマンも上手く機能していないので、ジャーナリストのように政治家を監視する役割に力を注ぐことも選択肢として考えていると碩さんは語ってくれた。