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教育現場から見る、大学受験の今 生まれた場所で、進学の可能性は変わるのか?#8bitNews

2026/08/24 ▶ VIDEO

この動画の要点

全文書き起こし

福澤(司会):生まれた場所は、大学進学の可能性を決めてしまうのか?どう思われますか?

山縣(ゲスト):これはもう「ノー」であってほしい。地域性ですね。やっぱり生の体験をしようと思えば、どこでやっているかというと、岡山市であったり、倉敷市であったり。そういうところまで出向いていかなきゃいけないというリスクが伴います。

森年(ゲスト):可能性っていう部分ではやっぱり「ノー」であってほしいし、ノーであるべきだと思うんですけど、実態を考えると、人と出会っている絶対数の少なさであったりとか、教育機会を考えると、今の子どもたちに当てはめるとやっぱり「イエス」で答えざるを得ない。

福澤(司会):はい、始まりました。「教育現場から見る、大学受験の今」シリーズの第2弾ということで、今回は若者のキャリア、これから人生長く続いていくときのキャリアというところを見据えたときに、地方とか、もしくは過疎部って言うとちょっと言い方語弊があるかもしれないんですけど、なかなかその地方の学校が直面する教育の格差、環境格差ですね。そういったところの話ができたらいいなと思って、まさにぴったりのゲストの先生お二方に今回は来ていただきました。ということで、まず山縣先生の方から自己紹介お願いしてもいいですか?

山縣(ゲスト):こんにちは。岡山県共生高等学校の山縣と申します。一応、校長をしております。6年目、年数もあっという間に経ってしまっているんですけど。私の教育との関わりっていうのは、本当に本校は私学で、私が勤めたときは新見女子高校という女子校でした。で、もう私も大学卒業してすぐに勤めた学校でして、もうこの学校しか教育現場は知りません。うちは元々は看護科であったりとか、服飾デザイン科という実業系の高校でしたが、だんだんと男女共学化が進んでいく中で、本校も男子を受け入れて普通科を立ち上げたというような状況です。で、私もそこでどういう教育との関わりだったかというと、もう普通の1担任をし、教科は社会科なんですけど、その社会の授業をしながら、とにかく私自身が何ができるのかなって言ったときには、もう剣道という部活動が、もうそれに向かって気持ちは向かっていて。最初は部活動がなかったんですけど、行ったときから部を立ち上げてもらって、部活動をしながら教科指導もし、ホームルーム活動もし、で、毎日が部活動で今までやってきたと。ですので、本当にもうオールマイティーにいろんなことをやってきた校長ではなくて、本当にこれでいいのかなって思えるような部活動をやって、で、校務分掌もずっと生徒課でした。生徒指導をずっとやってきて、今言うような進路のこととか、教務課のこととか、もうそういったことは本当に1担任としてしか理解できていないというのが正直なところです。で、小規模な学校ですので、本当に家内工業のようなそういう組織の中で学校を運営していますので、年齢的なこともあって、いつの間にか校長になっていたというような状態で今に至っている私です。

福澤(司会):ありがとうございます。今、小規模な学校というふうに言われたんですけど、もしかするとこれ見ていらっしゃる方、全国にいらっしゃるということで、岡山県にそこまで明るくない方も見られているかもしれないんですけど、今、新見に学校ありますよって、この新見ってどういった土地柄になってくるんですか?

山縣(ゲスト):はい。もう人口は2万5000人程度の、どんどん少子化・高齢化が進んで過疎がどんどん進んでいるという、いわゆる中山間のよくある地域です。産業はもう農林業。その中で石灰の盛んな地域性があって、石灰業はかなり全国的にも高いシェアを持っているというふうに聞いております。そういう中で、米とか果物とか、最近では千屋牛という畜産物も全国に売れ回っているというような、本当に田舎の典型的な町です。

福澤(司会):千屋牛、めちゃくちゃ美味しいですよね。新見市内に高校は今、いくつあるんでしたっけ?

山縣(ゲスト):2つです。県立高校と、私立の共生高校です。

福澤(司会):ありがとうございます。では続きまして、森年先生お願いします。

森年(ゲスト):はい。岡山県真庭市から参りました、NPO法人manabo-de(マナボーデ)の森年と申します。私は主に、10代の放課後の時間帯だったり休みの日に、子どもたちのやりたいことを応援するという活動をさせていただいているのと合わせて、ちょっとパラレルワーカーみたいな形で働かせていただいているので、他の職業もご紹介しますと、真庭市の教育委員会の方で「真庭(まにわ)魅力化コーディネーター」という、地域と学校をつなぐコーディネーターさんたちをサポートするお仕事をさせていただいていたりとか、あと岡山大学の方で教員養成の方に少し関わらせていただいたりしながら。元々は岡山市の中心部で育って、真庭市という過疎の進んでいるような地域に入って、その入ったきっかけが、元々高校の教員をしていたということで、高校赴任をきっかけに真庭市に入らせていただいて、いろんな教育現場を見てきた中で、地域の教育力をもっと高めないとダメなんじゃないかっていうのを課題感として持って、学校の先生を一度リタイアして今の仕事をさせていただいているという形になります。

福澤(司会):真庭もやっぱり今、どんどん縮小傾向にある?

森年(ゲスト):そうですね、はい。

福澤(司会):真庭もさっきの新見市と一緒で中山間部ですよね。そこの魅力だったりとか、教育上の地域みたいなところ、地方だったり地域だったりっていうところにもっと光を当てなきゃいけないっていう思いがあった。ちなみに真庭、駅は久世(くせ)駅ですよね。本当に駅前ですよね。アットホームで人も入りやすいだろうなで、すごく素敵なところですよね。お二方と一緒に今日はお話を進めていきたいなと思っております。実は前回、第1弾を収録してますので、今の大学受験どうなってるんだっけというところはぜひ第1弾の方も見ていただきたいなと思っているんですけど、ちょっとおさらいとして、今、2人に1人が推薦入試受けてるんですよというところも改めて少しご紹介をしながら今日の話を進めていきたいなと思っているところです。

福澤(司会):大学入学者の2人に1人以上が推薦系の入試で入学しています。これ昨年度データになるんですけど、国公立それから私立大学の受験者の中の、入学者ですね、の中の53.6%が今、推薦入試で大学に行っています。これ私立大学に絞ると、なんと61.6%が推薦で大学に行っているということで、20年前、30年前ぐらいになってくると、この推薦で大学行きますよという人ってクラスに5人だったりとかいなくてですね、推薦で大学行こうってなると、ちょっと早く受験終わって羨ましいとかズルいなとか、いろんな意見が巻き起こる中で、なかなか少数派だったものが、今やもはや2人に1人は推薦ということで、現状こうなんですよというのを真摯に受け止めて、おそらく今の若者たちの状況を見ていかなきゃいけない、そんな状況になっています。

福澤(司会):推薦入試はざっくりと、指定校推薦というのもあるんですけど、今取り沙汰されているのはこの「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」の2種類になってきます。この特徴になるんですけど、すごくざっくり言うと「人物評価」をされるということですね。就職試験に近いかもしれないです。いわゆる、これから大学に行って何がしたいのとか、大学に来ることでどういう価値が生まれるのとか、あなたからこれからどうなっていくのとかっていうこの人をしっかり見て見極めて合否が判定されるというところになってきていますので、いかにこう自分の過去を整理して、現状の課題というものと向き合って、これから未来の取り組みについて語れるかっていう、こういう過去・現在・未来という流れを大事にするような受験になっております。

福澤(司会):で、これ実はとっても人気で、なんでこんな人気かっていうと、高校生にとってメリットがあって「年内に終わりますよ」っていうところなんですよね。特に私立大学さんだと結構早い時期、早いと9月とかに出願始まるんですよ。で、9月の下旬に試験あって、早いと10月で合否判定出ちゃうみたいなところで、とんでもなく早く終わるんですよね。これ国語・数学・理科・社会・英語、その他教科勉強して共通テスト受けましょうねってなると、1月に共通テスト受けて、2月3月まで伸びていく。それが早いと10月には終わっちゃうということで、早く受験を決めて残りの高校生活を謳歌したいとか、そういうふうに様々な高校生や保護者の方の思いがあって、より人気に拍車がかかっていると。そんな状況になっているんですけど、実はまた今度別の機会にお話ししたいなとも思ってるんですが、皆さんもし今、子育て世帯であれば、高校の三者面談、最後の高校3年生の三者面談って大体7月ですよね。で、今この推薦入試がすごく人気になってきたから言われているのが、7月に三者面談しました、で進路がおよそ確定してきます、で本来共通テスト受けるんであればまだ半年ぐらいあるので、そっからじゃあ部活も終わっていって1月まで頑張ろうかっていうスケジュール感になってくるんですけど、推薦入試の場合は7月に三者面談終わりました、夏休みに入るじゃないですか。で、8月の下旬ぐらいまでにはもう志望理由書も作ってしまって、で早いと9月の上旬には出願しなきゃいけないということで、面談終わってから1ヶ月後にはもうエントリーっていうとんでもないハイペースな事態になっていて、本来もっと前倒しに面談しなきゃいけないんじゃないですかとか、そういう意見というのもちらほら聞くんですよね。ですので、この入試構造が変わってくる中で、ちょっとまた学校であったりとか若者を取り巻くようなこの制度であったり仕組みであったりっていうのも今まさに、見直されたり意識されてくる部分なんじゃないかなというふうに思っているところです。

福澤(司会):で、最後のおさらいとしましては、こちら大学。今、人気に拍車がかかっているというお話したんですけど、もう一つ今度は大学サイドの変更というのもあってですね。例えば東北大学さんなんかですと、2050年までに東北大学さんの全受験は総合型選抜に切り替えますということを言われてますね。で、その他国立大学さんもどんどん今、総合型選抜の拡充、定員数の増数であったりとかを増やしているので、若者に人気かつ大学も定員を増やすということで、より人気になるということが起こっています。例えば岡山大学さんですと教育学部が県北プログラムとかしてますよね。より県北の今、先生方いらっしゃるような中山間部であったりそういう地方に人をどんどん就職してもらうために、受験と地域起こしであったり地域活性化を結びつけたプログラムを導入していたりとか。あと新潟県の三条市、三条市立大学さんなんかは1泊2日の受験というのを実施されていて、受験のために1泊2日でワークショップを受験生にしてもらって、それをずっと観察するんですね。それによってこの人となりをより詳しく見てみようっていう、ちょっとオリジナリティのある受験というのも出てきているので、かなり大学ごとに特色っていうんですかね、そういったものも出てきている、そんな過渡期のような状況がこの令和7年、8年で起きているかなと。今後もこれは続いていくのかなというふうに思っているところになります。

福澤(司会):で、このちょっとおさらいを踏まえてにはなるんですけど、今日せっかく先生方にお越しいただいたのでお話ししたいなと思っている内容がありまして、それがこちらなんですよね。「生まれた場所は、大学進学の可能性を決めてしまうのか?」、もしくはこちら、もうちょっと広く見るんであれば、生まれた場所はその若者のキャリア形成そのものをある程度枠組みとして決めてしまうのかどうか。で、ここ先生方に結構難しい問いではあるんですけど、まずはイエスかノーでお伺いをしながら、この後の話はちょっとここベースにお話をしていきたいなと思っています。なお、何の打ち合わせもしておりませんので、ここは何の忖度もなくですね、先生方の思われたことを素直にお話しいただければ問題ないので。山縣先生いかがですかね、生まれた場所が大学進学の可能性とかキャリアの可能性を決めてしまうかって言われたときに、どう思われますか?

山縣(ゲスト):これはもう「ノー」であってほしいという願いも思いもあって、ノーでありたいと思っております。

福澤(司会):実態はちなみにどんな感じですか?

山縣(ゲスト):やっぱり地域性ですね。何事も大学もそうですし、いろんな情報発信がなされていく。今はオンラインとかがあるんですけど、やっぱり生の体験をしようと思えば、どこでやっているかというと、岡山市であったり倉敷市であったり。そういうところまで出向いていかなきゃいけないというリスクを伴います。ですので、ちょっと行ってくる、放課後ちょっと行こうかなっていうような感覚ではなかなかできない。場合によったら学校の授業を休んでそっちに行かなきゃいけないということも生じたりします。ですので、そういった時間とか距離とかのリスクが本当に大きいので、なかなかこう簡単にそういったところに触れ合えるっていうのはやっぱり地域的な問題はあるというのは正直なところです。

福澤(司会):毎回先生のところに新見まで伺って、共生高校さん伺って先生とお話しさせていただいているときに、先生からポロッと出た言葉ですごい印象的だったのが、先生思い持たれて今の共生高校の生徒さんと関わられている中で、「うちの生徒たちが、例えば誰かに会いたいとか、こういうところで学びたいとか、あらゆる希望を出してきたときに、全てそういったものは岡山市まで出向かないとできないんだ」っていう、このポロッと言われたことが本当に印象的で。新見から岡山市だと片道どのくらい時間ってかかるもんなんですか?

山縣(ゲスト):1時間半です。

福澤(司会):これやっぱり平日学校終わってから1時間半かけて岡山市は行けないですよね。で、また帰ったらもう夜中になりますもんね。で、JR代、運賃が往復で3000円ぐらいかかりますから。映画見ようと思っても岡山市に行かなきゃいけなくて、映画代よりも交通費の方が高くなるんじゃないかみたいな話もしてましたけど、本当にそんな状況になりますよね。なので、今のその受験決めるかキャリア決めるかっていうと、「ノー」であってほしいっていう思いは多分間違いなくあって、一方で環境がそれを許してないところもあるっていう。森年先生はいかがですか?

森年(ゲスト):もう私も、可能性っていう部分ではノーであってほしいし、ノーであるべきだと思うんですけど、実態を考えると、やっぱり人と出会っている絶対数の少なさであったりとか、教育機会であったりとかっていうことを考えると、今の子どもたちに当てはめるとやっぱり「イエス」で答えざるを得ないっていう状況かなって思ってます。

福澤(司会):これってさっきの、今人気になってきてますっていう推薦入試とか、その人見ましょうねっていう中で、人として何か推薦の対策をしていきましょうとかっていうときに、どうしても今のその人との出会いだったりとか環境っていうのは、多少なりとも影響を及ぼすことっていうのはあるんですかね?

山縣(ゲスト):やっぱり生徒たちは日頃の生活の中でいろんなものを見聞きして知識や視野を広げていくわけですが、それが限られてしまっています。職業にしても、本当に先ほど申しました農林業であったり石灰産業であったり建設業であったり、そういったものが主流になって。本当に子どもたちが今やりたい職業とか、そういったものが身近にないので、どうしてもそういったものを求めようと思えば外に出てしまう。それからこの学びの高校までの間に実際にそういったものを親しく見る機会がないので、やっぱり子どもにとっては情報量が不足している。そしてまた今言う進路を決めるのにも、そういったところが探究であったりそういったところを求められる中で、身近にそういう学びを深めていく場所がないので、そこは難しいなとは思います。

福澤(司会):例えば今、情報の話も出たんですけど、若者たちってでもスマホがあるじゃないですか。スマホで最近SNSも見てて、ある種その情報そのものには触れる機会っていうのはあると思うんです。ただ、ここってやっぱりもどかしいのかなとも思っていて。例えば東京とかで行われているイベントとか、もしかしたらそのプログラムみたいなものの情報だけ手に入っちゃうけど、自分はそこには絶対行けないし、自分はそれには触れられないっていう、この感覚っていうのはやっぱりあるんじゃないかなと思ってるんですけど、若者たちってどうなんですか?情報持ってないんですかね?それなりに持ってる?

森年(ゲスト):持ってるとは思います。持ってはいるんですけど、それがその子にとってどんな価値があるのかとか、タイミングもあると思ってて。すごくいいプログラムを紹介したとしても、その子にとってヒットしないタイミングもあって。それを上手にやっぱり学校の先生だったり地域の方だったり保護者の方がアプローチしていくことによって、「今自分に必要なのはこれだ」って思えるっていうところが多分あるんじゃないかなと思っていて。割と情報自体はたくさん持っているし、情報を取る方法も知っているけれど、その情報が今自分にとって必要なのか、価値があるのかどうなのかっていうところは誰かに教えてもらわないと選別できないみたいな状況なのかなって思います。

福澤(司会):この情報を取って、その情報が必要かどうかを教えるって、共生高校さんとかだとどんなふうにその、情報だけじゃないかもしれませんけど、キャリア指導とか探究指導とか含めて、どういう意識で指導されているとかってあるんですか?

山縣(ゲスト):身近なところにこう目に見えるものがないので、やっぱり本校なんかはガイダンスを開いて、企業さんにいっぱい来てもらって、「うちの企業ではこんな仕事してますよ、こんな資格が必要になってくるんですよ」というような、本当に自分の興味関心がどこにあるのかっていうことをそういった企業さんに求めて、来てもらってその発信をしていくっていう、まあそういうことがやっぱり多いですね。

福澤(司会):森年さん、マナボーデさんだと今度イベントも開かれますし、過去に高校の先生もされている中で、若者に今のようなお話を伝えていくっていうのは、なんか意識されてたりとか取り組まれていることって、なんかどういうふうにされていますか?

森年(ゲスト):私たちは、民間できることとして一番強みはもう「1対1」っていうのを大事にしているので。大勢に対して、それこそ学校ではガイダンスをしてもらっている、だからこそ、うちで1対1で話をすると、「あ、もっとこういう人と出会いたいんだね」っていうところが見えてくる。で出会わせる。でその後にまた学校に戻って、学校でこういう人と出会うことができたっていう話になる、じゃあその夢が膨らんでいくよね、みたいなそういう往還というか、行き来があったらすごく理想だなっては思っているので。1対1の会話とか進路指導みたいなところはすごく大事にしてるかなって思います。

福澤(司会):企業の方からすると多分その社会貢献活動の一環であったりとか、あとは本当採用ですよねのこともあってガイダンスに参加されていたりとかするんだろうなと思っているんですけども、企業の方って若者とのつながりをどう見てるんだろうと思って。もっとつながりたいと思っているのか、けどつながり方がわからないと思っているのか。世の中としてどうやって若者たちとつながっていけばいいのか支援していけばいいのかっていうのって、今学校の文脈とか教育の文脈でお話ししてますけど、もうちょっと広く見たらいろんな企業さんいるので地域には。なんかどんなふうに考えられているんだろうなっていうのは常々気になっていて。またそういう機会もあったらいいなっていうふうには思っているんですけども。

福澤(司会):推薦入試の中身2種類で、さっきの総合型選抜と学校推薦型選抜というのがあるんですけども、今お話に出てたように、じゃあこれを受験であれば対策になりますし、キャリアであればもちろんそういった情報取得ですとか人と出会うとかっていうことになるんですが、ちょっとそういう対策ができますよとかプログラムやってますよっていうところ調べてみたんですね、ざっくり。とですね、推薦入試の大手予備校さん、例えば東進だったり東進ハイスクールさんとかがしているような早稲田塾っていうところ、それからこういう推薦入試対策の老舗ルークス志塾さんとかあるんですけども、調べた結果、まず山間部地方ですが、0校ということで、ないということですね。ですので、じゃあどこにあるんだということも調べてみました。0校だと身も蓋もないので、どこにあるんだということで調べてみるとですね、予想通り東京、横浜、千葉、それから大阪、京都、神戸、ということで、あとは政令指定都市圏ですね、仙台、名古屋、福岡、ということで、岡山なかったんですよ。で、岡山はその新見さんであったりとか真庭さんとかだけじゃなくて、岡山市にもないんですけど。はい、こういったような対策環境っていうのは、実はまだ日本でも局所的にしかなくってですね。なので今回その地域格差とか地方格差っていうところを取り上げつつ、この関東・関西・首都圏を除いては、ほぼ全てが地域地方の扱いにならざるを得ないような、そんな状況になっている。

福澤(司会):で、こうなってくるとですね、じゃあ推薦入試受けたいですとか、これからキャリアでじゃあ宇宙飛行士になりたいですとかってなっても、もう東京行くしかないんですよね。家族で東京に移住しようとか、夏休みは東京に少しだけ留学しようとか、もうそんなことにならざるを得ない。なので、このあたりは正直こう、これから若者が育つ環境としてはいかがなものかなっていうふうに個人的にはすごく思っていますし、結局のところじゃあ勉強が、これこないだ言われたんですよ、とある保護者の方に。全然まだ受験のこととか知らない保護者の方だったんですけど、推薦のお話ししたら、「え、うちの子勉強しなくていいんですか?」みたいなこと言われたんですね。間違いではないと思って。勉強しなくていいわけではないですけど、した方がいいんですけど、推薦っていう選択肢もありますよって話をしたら、「え、そんなんちょっと知らなかったです、めちゃくちゃ楽じゃないですか」みたいなこと言われて。そのこれから待っているもんがどれだけ厳しいかって話なんですけど。で、これまでなんか経験されてますかとか取り組まれてきたことありますかとかって言うと、まあそれはないそうなんですね。で、そうなってきたときに、勉強しなくていいとか、もしくは勉強苦手な方が推薦だからチャンスを狙うとか。で、そうすると一見フェアで誰でも自分アピールすればエントリーできるような、そういう入試制度のように思われがちなんですけど、じゃあ東京の一等地、人がすごい山ほどいる一等地で、かつ比較的裕福なところに生まれた方と、じゃあ日本のどこかこうより地域の方に行って、島の方で全人口2000人とか3000人で子どもも年間何百人しか生まれないみたいな、そういうところに生まれた人では、多分3周も4周も遅れていて、全然フェアじゃないんですよね。で、これを多分世の中の多くの方がフェアだと勘違いしているっていう状態になっているなと思って、このあたりもまさに情報格差というか、実態が見えてきてないんだなっていうふうに思っているところではあります。

福澤(司会):よくある議論のスライドも持ってきたんですけど、こんなお話すごいたくさん出るんですよ。「海外留学すれば有利になる」とか、例えば1週間で100万円払ってなんか何とか島とかで海外行っちゃって、でその1週間海外で過ごして、でその海外でしか経験できない経験をお金で買う、ですよね、をすると、じゃあ有利なんですか?っていう話。でそうなってくると、じゃあもう経済格差のお話にはなってくるんですけど、これどうですかね、山縣先生の所感としては、経験をお金で買った方が有利なのか、つまり経験がものを言うのか今はっていう。どうなんですかね?

山縣(ゲスト):やっぱり語学の面で行くと、留学っていうのは大きなメリットかなとは思います。ただ留学をすると、学びが、一般的な学校でしたら1年間留学すれば当然その学校でもう1年同じ学年をしなきゃいけないというようなことが生じますけど、本校はもうそのへん流動的ですので、半年1年留学しててもその次の学年に上がれるっていうような、そういう私学ですのでいろんな学校がありますけど。でもそういう留学することでいろんなリスクは伴いますけど、やっぱりそこで学んだものが今の入試制度の中でそこを見てくれる学校が今だんだんだんだん増えてきてるので、まあその語学的な進学でしたら有利かなと思ったりはします。

森年(ゲスト):これ結構難しい質問だなと思うんですけど、幸せか幸せじゃないかって言われると、経験をお金で買うことだけが幸せではないかなとは思ってて。自分で自ら作り上げていくっていう経験の方が幸せは作りやすいとは思ってはいるんですけど。先生言われたように、本当に自分の五感で体験して、学びたいことを学んできちんと体得して帰ってくるっていうことに関しては、やっぱりお金を払ってやるべきことかなとは思うんですけど、そこまでの子どもたちのマインドセットというか、なぜ留学に行くのかとか、なぜそれをお金で買っているのかっていうこと自体にフォーカスがきちんと当たってれば問題はないのかなとは思うんですけど、なんかそこ自体がちょっとない状態で、ただお金を払って行ってこいって言われたから来ましたっていう子どもたちだと、やっぱりなんかそのお金で経験を買うっていうのはどうなのかなっていうのは思ってしまいますね。

福澤(司会):これ本当になんか、多分比較的に今の学校であったりとか若者の教育っていうところに携わっている方の中では賛否両論巻き起こってて、今も尽きないようなお話になってきていて。先生方おっしゃったように多分一長一短いいところと課題とっていうのは見えてきちゃうからこそ議論が尽きないっていうのはあるんですけれども。大学の立場として何を見てるかっていうと、経験の値段ではなく物語を見る。先ほどその過去を整理して現在の課題を明らかにしてこれから何してくかっていうお話はちょっとお話ししたんですけど、たまにいるんですよね、その「100万円払ってハワイかどっか行きました」と。「行ったんです」っていう事実を、とんでもなく猛プッシュしてくれる受験生いるんですよ。我々としては「行ったのは、それは良かったね」という話で、「行ってどうだったんか」っていう話をやっぱり聞かなきゃいけないんですけど、「行ってイルカを見ました」とか、それも良かったねじゃないですか。思い出話じゃないんでこれ。その行った結果何を学んできていて、でそこで自分が何を課題だと思って、これから自分が何をすべきだと思ったのかっていう、ここまで語れて初めて経験には価値が出てくると思ってるんですよね。で、そこまでしてくれれば、ある種その高いお金で経験を買ったっていうこと自体にも価値はより出てきていいのかなと思っているんですけども、じゃあ裏を返せばお金がなくって経験を買えないっていうご家庭の方とかが、じゃあお金がないから経験を買えないからうちはダメなのかっていうと、全くそうではなくて。自分の家の庭のアリの巣を観察するっていう1円も発生しないようなことであったとしても、そこにさっきのような文脈を乗せることができて、課題解決の何かこう博士の卵みたいな、そんな話ができてくれば、それは非常に評価されることだと思ってるんですよね。なので、ここなんかたまに最近、いろんな企業さんであったりとか団体さんが、ある種どうしてもビジネスの話もあるんで、プログラムを作ってプログラムを提供する。で、これは一つの機会の提供として大いにありだと思ってます。そういうのもあった方がいいし、選べる人は選べばいいしっていう。機会としては大いにありなんですけど、それが正解だと思っちゃうと、より変な格差が開いちゃうというか、なんかそのお金の問題に全部収束してしまうので。なんかそこはちょっと違うなと思って、最近見てる。山縣先生、これから学校さらにこんなんしていきたいとか、先生の中での構想ってあるんですか?

山縣(ゲスト):自由な選択ができるようなそういう学びであったりとか。先ほどもちょっと申しましたように、もう今はSNSがあったりオンラインで今つながってますから、そういったものどんどん利用活用できるようなそういうカリキュラムの中で、田舎のその狭い社会ではなくて、田舎にいながらもう全国世界の情報とやり取りができるような学びができる。あるいはそのよりレベルの高い学びが、経験が、田舎にいてもできるぞっていうようなことを一方では考えてはおりますし。もう一方では、田舎でしかできない経験、田舎の学びっていうものをどんどん深く掘っていけたらなと。そのためにうちの学校に寮がありますので、やっぱり都会育ちの子だけど都会がちょっと合わないっていう子もいますので、またいろんな環境でちょっとつまづいているような子もいますから、その子たちが田舎のような穏やかな環境で、人と人とが本当に触れ合えるような環境でのんびりと過ごしていきたいなっていう子たちが集まってくれて、そこで自分なりの学びが重なり合っていって、将来の自分を作っていってもらえたらなっていう、まあ両方ができるような学校であってくれたらなとは思ってます。

福澤(司会):そうですよね。よくよく考えるとこのご時世なので、別にどこにいても本当はキャリアも目指せるし、本当はどこにいたって情報取得してやりたいこともできるはずなんですよ。なんかできるはずだけど、まだ何かできない何かがあるだけであって。それが例えば情報を取るためのテクニックなのか、まあそういう知ってる玄人の人が近くにいるかっていうことなのかわからないですけど、でもしようと思えばできるはずなので。そのへんがこう先生おっしゃったように実現されてくると、「じゃあ新見はいいところなんだから、新見にいて自分はそこで活躍しよう、でも世界ともつながってるし、活躍の幅は世界だけれど拠点は新見なんです」みたいな、そんなこともできてきたらよりいいですよね。森年先生はいかがですか?

森年(ゲスト):私、さっきのスライド見たときに、「学校機能を拡張する」っていう言葉よりも「地域教育機能を拡張する」っていうイメージだなと思っていて。やっぱり学校だけで担えることって、やっぱりもういっぱいいっぱいになりつつあるし、いろんな制限も今かかっている中で、学校の先生方すごく頑張られてて大変な思いもされていらっしゃるので、なんかもっともっと地域の教育力が上がれば学校と一緒に手を組んで子どもたちを支えることができるのにって思う場面が結構あるんですよ。で、その地域の教育力を高めて教育機能、学校と一緒に拡張していくことによって、都市部に行きたいって思う子どもたちが挑戦できたりとか、あるいはさっきみたいに戻ってくるっていう子どもたちがいたりとかっていう、選択肢がだんだんだんだん広がっていくのは、やっぱり学校機能とか地域の教育機能っていうところが広まった、学校そのものだけじゃなくて地域そのものも子どもたちのことをすごく見守る体制ができていて、地域も子どもたち若者たちを応援できるような風潮がある中で、「じゃあ挑戦してくるね、行ってきます、いってらっしゃい」の関係ができるっていうのがすごい理想だなって思って、今います。

福澤(司会):そうですよね。昔の寺子屋じゃないですけど、本当にどこでも行った先々で学べる拠点だったりとか話せる拠点みたいなのがあって、それがネットワークのように繋がっていて。地域全体で包摂的に教育していくっていうのは本当に大事なことだなと思って今聞いてたんですけども。今日先生方にはたくさんお話も伺いましたけれども、この話に結論を出すっていうのは正直非常に難しいところにはなってきてはいるんですが、ただやはり一つ方向性として思っているのは、生まれた場所が可能性を決めてしまったりとか、もしくは生まれたから何か諦めなきゃいけないとか、そういうのはやっぱり嫌だなと思うんですよね。ですので、どうにか今いる大人たちの方が、その子どもたちを縛ってしまわないようなその仕組みっていうのを今のうちから少しずつ作っていかないと、ちょっと手遅れにもなるのかなと。何かが起きるたびに後手後手に回っていたんでは遅いのかなと思っているので、今日これをご覧になっている皆さま方にも、ぜひ今環境があるからいいわとか、今いる子どもたちがそれだからいいわっていう現状維持ではなくて、もう少し全国で子どもたち若者たちが格差を感じることなくどこにいてもキャリアを目指せるような仕組みづくりっていうところに意識を向けていただくと、おそらく我々のような人間が非常に活動しやすくなるので、ぜひお力をお貸しいただければなと思っているところでもあります。ということで、本日は先生方に貴重なお話ありがとうございました。

概要(動画説明欄より)

教育現場から見る大学受験シリーズの2回目

大学受験は、努力や学力だけで決まるものなのでしょうか。
推薦入試・総合型選抜の広がりによって、大学受験では学力試験だけではなく、探究活動や課外活動、人との出会い、さまざまな経験が重視されるようになっています。
一方で、住んでいる地域によって、得られる情報や経験、学校外の人と出会う機会には違いがあります。

たとえば、都市部であれば参加できる講座やイベント、大学・企業などとの接点も、地方では距離や時間、交通費といった壁によって簡単にはアクセスできないことがあります。
では、生まれた場所や通っている学校によって、大学進学の可能性は変わってしまうのでしょうか。

今回は、教育現場に携わる方々から、「地方から大学を目指す」ということの現在地を考えます。

第1回はこちら
「教育現場から見る大学受験 現役高校教員が語る推薦入試の台頭と教員が抱える「見えない業務」の実態」
https://youtu.be/ii6zrv0mCys

▫️MC
中国短期大学 講師/株式会社STRIX 代表
福澤 惇也
大学教員として総合型選抜の試験監督や面接官を務める一方、総合型選抜・推薦入試に特化したオンライン塾「STRIX」を運営。大学受験の現場から、現在の入試制度や教育のあり方について研究・実践をしている。また、学校法人隆松学園小鳩幼稚園 理事長も務める。

▫️ゲスト
岡山県共生高等学校 校長
山縣 淳憲

NPO法人manabo-de 代表
森年 雅子

撮影/福井健吾(ふくいけんご)
ヘリテージメディエイター。1998年島根県生まれ。
大学ではアートマネジメントや文化政策を学び、伝統芸能の存続について調査。
文化芸術を対話を用いて開いていく活動を行なっている。

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