昨今、話題はソチに集中しているが、来シーズン(2014-2015年)の旭川(北海道)で、IPCクロスカントリースキー・ワールドカップの開催がきまっている。クロスカントリー・バイアスロン日本代表監督の荒井秀樹氏の熱意による初の誘致となるが、開催の1年前となる今、まだあまり知られていない。来年、ジャパンパラ・クロスカントリースキーとの同時開催で、障害者クロスカントリースキーのワールドカップが開催され、世界からトップアスリートが日本へやってくるのだ。
(写真:ジャパンパラ・クロスカントリースキー2日目、表彰式。男子スプリント立位の表彰式。1位・新田佳浩、2位・佐藤圭一、3位・戸津勝由)
立位で、片手でストックを持つ新田佳浩(33歳・日立ソリューションズ/クロスカントリー・バイアスロン日本代表)は、98年の長野パラリンピックでデビュー、前回2010年バンクーバーパラリンピック(4大会目)で、ついに、二つの金メダルを獲得した。その新田が、パラリンピックの間の年も挑戦し続けたのが、シーズンごとのワールドカップである。
(写真:新田佳浩、2月8日、1日目の10kmクラシカル)
新田は、日本でのワールドカップ開催に向け、自らの期待をつぎのように話してくれた。
「長野以来で、日本のみなさんに高いレベルの競技をみせることができるのは、嬉しいです。受け入れてくれた旭川市長をはじめ、市民の皆さんにも感謝しています。世界の強豪相手に引けを取らないレースを見せることができると思います。今回、ソチをみた人にまた来年、応援していただきたいと思いますので、まず、ソチを頑張ります!」
世界で戦う日本人選手の姿を、地元の、とくに旭川の人々に見てもらうというのは重要な意味をもつ。海外と渡りあってきた新田が、どんなふうに世界で戦うのか、実際のレースを見せることで、意気が上がるのは競技団体や役所だけではない。盛り上げ、話題になることで新しい選手、新しい支持者、理解者を得る好機なのだ。
(昨年、JPC副会長とIPC理事に就任した山脇康氏。2月9日、旭川冬まつり会場のステージで)
JPC副会長・IPC理事の山脇康氏は、2月9日、旭川市内で行なわれたソチ・パラリンピッククロスカントリースキー日本代表への市民による壮行会の席で、つぎのように呼びかけた。
「私は、今回はじめて旭川にきました。そして、旭川の皆さんの熱い心と、ここがウィンタースポーツにとって重要なところだと知りました。来年はIPCクロスカントリースキーのワールドカップがあり、2018年にはお隣・韓国のピョンチャンで冬季パラリンピックがあります。2020年の東京に先駆けて、この熱い応援を続けてください。私も皆さんの想いを、東京とIPCに伝えたいと思います。ぜひ、この旭川から世界へ発信していきましょう!」
※IPC=国際パラリンピック委員会、JPC=日本パラリンピック委員会
記事:佐々木延江 (パラフォト http://www.paraphoto.org )