2020/10/26 地域
Go to ふくしま。〜 福島田んぼアートプロジェクトから考える 処理水と福島の海 〜

福島県いわき市四倉では今年も福島田んぼアートプロジェクトによる田んぼアートが開催されました。



今年の図柄は「げんき つなぐ いわき」の文字と共に男の子が描かれています。

この男の子は「いわき七浜イケメンプロジェクト」の中のキャラクター「四倉亀吉」だそうです。

「いわき七浜イケメンプロジェクト」とはもっと若い人達にいわきの海産物を食べてもらいたいと地元の魚好きの主婦二人組が立ち上げたプロジェクトで
いわきにある七つの浜をそれぞれ擬人化してイケメンキャラクターを作り、漁業関連の情報を中心にSNSなどで発信しています。


現時点ではいわき市非公式ではありますが、かまぼこで有名や「夕月」さんなどを始めとした地域の企業やお店の商品とコラボしたり展示などが行われています。


 
また福島田んぼアートプロジェクトを主催されている市川英樹さんは、ちょうどこの日福島第一原発の視察ツアーを行っておりその一環として田んぼアート見学も開催されていました。


あいにく田んぼアートは見頃を過ぎており、訪れた一週間後の本日稲刈りを迎えたようです。
私自身もいつもなら見頃の時にも訪れていましたが今回はコロナの影響もあり断念していました。
 
今年の3月、常磐線は富岡駅ー浪江駅間が再開通し、東日本大震災そして原発事故から9年の時を経て全線開通しました。帰還困難区域で入れなかったエリアも駅前を中心に少しずつ解除され、先月には双葉町に東日本大震災・原子力災害伝承館が新たにオープンしました。


双葉町は町の面積のほとんど(96%)が未だ帰還困難区域ですが、避難指示解除準備区域がこの春解除されそこに伝承館がオープンし、現在は復興祈念公園の工事が進められています。

また駅周辺は特定復興再生拠点区域に指定されていましたが、こちらも今年の3月に立入規制緩和区域となり通行証がなくても立入できるようになりましたが住むことはまだ出来ません。

除染を進め、住民の居住再開は2022年春を目指しています。一方で、伝承館のある避難指示解除エリアの隣には帰還困難区域が続き、東京電力福島第一原発周辺でもあるこのエリアに
中間貯蔵施設が作られており、福島県内の除染に伴い発生した土壌や廃棄物等を最終処分までの間、安全に集中的に貯蔵することになっています。
2021年度までに福島県内に仮置きされている除去土壌などを搬入完了し、30年以内に福島県外への最終処分完了することを目指しているそうです。




一方でちょうど福島へ向かっている時に「政府は処理水を海洋放出する方針を決めた」というニュースが流れてきました。
現地では原発事故後、漁業関係も大きなダメージを受け、何度も試験操業を繰り返しながらようやく少しずつ海産物への風評被害を取り戻してきました。
今年の2月には福島県沖の魚介類の出荷制限が初めてゼロになり、来年の春の本格操業開始に向けての議論が始まっています。
その中での処理水放出の話は地元漁業関係者からも否定的な意見が出ており、月内での決定は見送られました。

そもそも、処理水で取り除くことができずに問題となっている「トリチウム」とはどんなものなのでしょうか。



トリチウムは水素の仲間で自然界でも生成され、私たちの身の回りの雨水や水道水、大気中にも存在しています。通常のβ線は薄い金属で止まりますが、トリチウムのβ線は紙1枚で遮れる程弱いとされています。

現在、処理水は福島第一原発敷地内のタンクにためており、現在のタンク計画では2022年の夏頃には満杯となる見込みだそうです。それ故、排出処理が必要となっています。



経済産業省によると現状、タンクに貯めている処理水の約7割には、トリチウム以外にも規制基準以上の放射性物質が残っているとのことです。
これは事故発生からしばらくの間処理量を優先して実施したからだそうです。
このため、2020年度から処理水を再浄化し、処分前にトリチウム以外の放射性物質を取り除いて規制基準以下にしてから環境放出する予定だそうです。


福島第一原発 構内の処理水は令和2年9月の時点でタンク容量 (2020年末) 約137万トンに対して 約123 万トンが貯蔵されています。

処理水の増加量 年間約5~6万トン
事故前の福島第一原発の基準 22兆Bq/年 
濃度限度 6万Bq/L
現在はWHOの基準 1万Bq/Lより低い 1500Bq/Lとされています。

 

 


私自身も実際に3年前に地元の有志により開催されている「いわき海洋調べ隊 うみラボ」に参加して福島第一原発沖へ出て魚を釣りました。
この時に獲った魚は後日アクアマリンふくしまで調べられましたが、興味深い結果が出ており震災前から生きている大きめの魚が震災直後は
セシウムなどが検出されやすかったのですが、この時の調査ではNDでした。年数と共に海の状況そして魚への影響なども変化していると思われます。



一方で現状では処理水の濃度限度は決まっていますが、量は決まっていないので実際にどのくらいの量を放出するとどのような影響があるのか。
量の規制はしなくて良いのかなど疑問も浮かびます。どちらにしてもやはり一番は地域住民の皆様との十分な話し合いと検証が必要で、
実際に本格操業になれば魚介類も全国へと出荷されると思うので、全国民の理解も必要になります。

今後も溜まり続ける処理水、排出する際はしっかりと二次処理をしてそれをきちんと証明し、データとして誰でも簡単に見られるようにしていくことが
安心へと繋がるのではないかと思います。
その上で地元住民の方を中心に国民全体に伝わるように説明することが必要ではないでしょうか。
ちなみに今回は GO to キャンペーンを利用していわきのホテルに宿泊しました。普段はなかなか泊まれないところも格安で宿泊が出来、地域クーポンを使って夜は食事をし、コロナ後初めて県外への旅行を楽しむことが出来ました。まだまだ感染対策が必要ですが十分に気をつけながら是非タイミングを見て福島にも足を運んでみてください。

  



ー 参 考 ー



福島田んぼアートプロジェクト  
https://fukushima-tanboart.com


いわき七浜イケメンプロジェクト  
http://nanahama-p.com
– [ ] 

いわき海洋調べ隊 うみラボ
  http://www.umilabo.jp/archives/1796



経済産業省廃炉汚染水対策ポータルサイト
  https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/index.html


中間貯蔵施設情報サイト  
http://josen.env.go.jp/chukanchozou

プロデュース :城島めぐみ
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