秋田県大館市にある、うさぎのいる映画館「御成座」。「ニュー・シネマ・パラダイス」は映画館の栄枯盛衰を描いたフィクションの映画ですが、御成座はまるで実在するニュー・シネマ・パラダイスかのようです。2019年6月。御成座は衝撃的なニュースを放ちました。

「建物の買取ができなければ、御成座は10月に更地にされてしまう」

御成座は60余年の歴史を持つ映画館ですが、2005年に一度閉館を迎えています。その後9年間のブランクを経て、現在、映画館を運営する切替義典さん・桂さんご夫妻が2014年に再開させました。その後は名画座として、古い建物も修繕しつつ、運営してきたのです。

修繕費が御成座にのしかかっていました。更地にする話が出たのは今から2年前にさかのぼります。御成座をなんとか残したいと思った切替さんご夫妻は猶予をもらい、買取へと動きますが、どうしてもお金が足りません。2019年6月に、件のニュースと共にクラウドファンディングを開始。映画館の買取費用を広く募りました。

筆者が御成座にお邪魔したのは、その最中のことになります。想像を遥かに超える金額が寄せられ、御成座は存続することになりました。しかし、同時にどんな未来を描くかがご夫妻の課題となったのです。

お話を伺いました。ご夫妻は、特に若い年代が映画館という場に足を運ばないことに危機感を抱いていました。なんとか足を運んでもらう方法はないだろうか。探り探り、映画以外のイベントも開催し、集客に努めています。そうしたイベント類を通じて、お客様とのコミュニケーションも図りつつ、クラウドファンディング成功で存続が決まった今、さらなる未来へと向いています。

例えば、御成座が再開していることが、大館市の市内でもまだ周知不徹底な側面があります。そこで、少し遠いところにいらっしゃる潜在的なお客様を、周回バスを走らせることで御成座まで来ていただいたりというアイデア。今までとも共通することですが、魅力的なイベントを興行することで集客を見込んだり。

切替さんご夫妻は、千葉県から、御成座の再開に伴い、お子様も揃って一家で秋田県大館市に引っ越しました。そして、大館市に対する第三者的視点も持って運営に当たっています。生粋の大館育ちには見えない部分も、切替さんご夫妻には見えてくるということで、そのような大館の魅力を発信していけたらとも。

こちらの動画は、映画館のマスコット的存在である、うさぎのてっぴーを狂言回しに、御成座を端的に紹介したものです。本文と合わせてご覧ください。また、この動画にはスピンオフ動画があります。動画中で美味しそうにたんぽぽを食べる、てっぴー。そのてっぴーの姿をノーカットで紹介した動画です。

「御成座のてっぴーがたんぽぽを食べる動画」
https://youtu.be/R2URrYZbtVw

世界の片隅から大いなる魅力を発信する映画館、御成座。その未来に注目してみてください。

御成座公式サイト
http://onariza.oodate.or.jp/

御成座Twitter
https://twitter.com/OdateOnariza

撮影日：2019年8月13日

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