2019年 6月16日。 その日、私は香港にいました。
今年の1月の時点で6月15-17日の日程で香港に行くツアーに申し込んでいたからです。
旅行会社からは事前に16日にデモが行われるという事が知らされていました。
現地の情報で聞くところによるとデモは午後からだとの事。
先に行われた6月9日の「逃亡犯条例」改正案への抗議デモは100万人を超えるものとなりました。
それ故に、16日はどの位の人が集まるのかが注目されていました。
今回のデモは歴史的に残る大きなデモ。
そのデモが起きる前、その場所はどんな感じなのか。。
奇しくもその歴史的な日に香港にいるのであればその空気感を少しでも感じたい。
もちろん直接デモに参加したり見に行ったりは危険だと思ったのと
、午後からは
別の予定が入っていたので、午前中だけと時間を決めて
私は滞在していた九龍島から
スターフェリーに乗り香港島へ行きました。
フェリーの所要時間は10分程度。
あっという間に香港島へ着きました。
とりあえず周辺を見渡してから立法会大楼方面に向かってみると、手前にある
添馬公園に
デモの参加者らしき人たちが続々と集まってきており、私が着くとすぐに
何かが始まりました。
どうやらキリスト教の集会だったようで、お話の後に静かにお祈りなど儀式が行われていましたが
その中でいくつも歌が歌われていたのが印象的でした。
特に集会の途中、辺りを見回している時に
ふと耳に聴こえてきた
『Sing Hallelujah To The Lord』というフレーズ。
後に、この曲が今回のデモのテーマソング的なものになっていた事を知りました。
添馬公園の前の道路を挟んだ向こうには警察と警察車両がたくさん待機していました。
この集会は1時間ほど行われ、最後にそれぞれが笑顔で抱き合ったりした後に
静かに
皆ある方向に向かって歩いて行きました。それはデモの集合場所になっていた
ビクトリアパークの方向でした。私はそのまま立法会総合大楼の方に向かい、
デモが行われるであろう道を見てみました。まだほとんど人通りもないこの場所が
この数時間後たくさんの人で埋まるのか。。
目の前の道路はかなり広い道路です。
実際にはなかなか想像が出来ませんでした。
私は何も混乱に巻き込まれることなく、予定通りお昼にはまたフェリーに乗り
九龍島へ戻り、特別な日を過ごしました。
この日、主催者発表で200万人もの人がデモに参加しこの周辺を埋め尽くしました。
(警察発表では、この日の参加者を33万8000人と発表。)
今回の過去最大の大規模デモを受け、林鄭行政長官は改正案の審議を中止。
19日には公式な謝罪を発表し、「今回の改正案は議論と対立、社会不安を招いた。
そのことに対して、すべての香港市民に心から謝罪する」と表明しました。
また香港政府は21日、条例改正作業を「完全に停止した」として「逃犯条例改正」
審議は延期になりました。
来年(2020年)の秋に立法会選挙が行われる為、
来年の夏までに審議再開されなければ、事実上
この条例改正案は廃案となりますが
デモの参加者らは「完全撤回」を求めており、
まだしばらくは混乱が続きそうです。
今回この場に行って私が個人的に感じたことは
このデモは穏やかに始まったということ。
12日には機動隊や警察などと衝突もあり、怪我人なども出てしまいましたが
香港の人たちは穏やかに、でも心に熱いものを持ってこのデモに挑んだんだと思います。
そして、香港の人たちがこんなにも皆で守りたいものがあるという熱い想いに少しでも
触れられたことにも意味があったと思います。
今回の改正案は日本にも影響があることです。
実際にはなかなか実感しにくいですが
他国の事と思わずにこれからもこの動きに注目していきたいと思います。