その鳩は、近寄ってもなかなか逃げようとしませんでした。ふと違和感を感じ、よく見たら、片足が、途中から無いのです。残された足で立っていました。郊外の駅前にはよくいる鳩、ドバトです。なぜこの鳩が片足を失う憂き目に遭ったのか?それについては不明です。
水辺に住む鳥が、釣り人が残した釣り糸が絡んで、足を失ったり、あるいは命をも失うことはあります。こちらのページも参考にされてみてください。
「平塚市博物館公式ページ・釣り糸事故」
http://www.hirahaku.jp/web_yomimono/tantei/khgturij.html
しかし、今回撮影したのは横浜市街の駅、京浜東北線の関内駅の駅前です。横浜スタジアム至近の駅と言えばイメージが湧きやすいかも知れません。ここに、足に絡むような釣り糸があることは考えづらく。しかしここまで足を失うには、他にどのようなアクシデントがあったのか?
これがもしも、人間の仕業であったなら?法的に何か罪に当たるのかどうか?調べてみました。
まず、「動物愛護法」について。こちらのページが詳しいです。
「弁護士法人みずほ中央法律事務所・ペットに関する事業・動物愛護法 」
https://www.mc-law.jp/kigyohomu/2671/
動物愛護法上の保護動物に「イエバト(飼育下・野生(野良)ともに)」が指定されています。ここで生じる疑問は、イエバトの定義とは?ということです。
そこで、イエバトについて調べてみました。「コトバンク」のページには、以下のように書かれています。「ドバト:ハト目ハト科。イエバトともいう。全長 30~35cm。種はカワラバトだが,家禽化されたあとに野生化して生存している。」
https://kotobank.jp/word/%E3%83%89%E3%83%90%E3%83%88-105595
仮の話です。この鳩が、人間が行った虐待により、片足を失う事態になったのだとしたら、虐待を行った人間は罪に問われる可能性があります。しかし現行を抑えたわけではなく、あくまで推測の話です。
その一方で、この片足を失った鳩が、傷病鳥獣として保護対象となり得るのか?実は、ならないのです。
「神奈川県・けがや病気の野生鳥獣を見つけたら・・・」
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/t4i/cnt/f986/p10112.html
上記より引用します。
—–引用ここから—–
都市化が進む神奈川県では、人と野生動物のあつれきからケガや病気で保護され保護施設に運ばれる野生動物が増えており、施設は保護された動物でいっぱいです。また、気軽に与えたエサやゴミ捨て場の生ゴミなどを食べるドバトやカラスは各地で増殖し、人の暮らしや他の野生動物の生存にいろいろな悪影響を与えています。
このようなことから、原則としてドバトとカラスは受け入れをしていません。
—–引用ここまで—–
動物愛護法で保護されていながら、傷病鳥獣としての受け入れはしない。この事実をどうお感じになるでしょうか。
いずれにしても、人間の都合による線引きに、命としての存在意義が左右されている状態です。鳩が野生化し、ここまで増え、人間の生活に影響を及ぼすようになったのも、そもそもは人間が鳩を利用してのことです。鳩という存在は、果たして何のために?
この片足を失った鳩にも、おかまいなく雄の鳩は求愛します。喉元を膨らませ、アピールしながらまとわりつきます。片足を失った鳩は、雌の鳩だったのでしょう。この鳩の求愛シーンは、注意して観察していれば見かけることは多いです。雌の鳩が求愛を嫌がった場合、スタスタと歩いて逃げるのが普通ですが、この鳩は片足がないので、飛び立って逃げるしかありません。
そして、飛び立って着地した先の側にいた鳩をよく見て、筆者は仰天しました。この鳩もまた、足の状態がおかしいのです。指が何本かありません。足自体はありましたので歩けていますが。なぜ、決して広くもない駅前に、こんな怪我を負った鳩を短時間の間に2羽も目撃することになったのか?
憶測でものを言うことは避けますが、多少なりとも暗澹たる気分になったのは正直なところです。なぜ?それはこの記事を読んでくださった皆さまで考えていただければと思います。
撮影日:2019年4月20日