「ファクトチェックを行いたい。」朴訥と語るのは、FIJ事務局長の楊井人文(やない・ひとふみ)氏である。前沖縄県知事の翁長雄志氏の死去に伴い、沖縄県知事選挙が行われる。9月13日告示、9月30日投開票。ここに焦点を合わせて、なぜ「ファクトチェック」を行うのか。そもそも「ファクトチェック」とは何なのか。
ファクトチェックはシンプルな営みである。世の言説が「事実であるか」調べて、判断する。言説は多岐に渡る。新聞などのオールドメディアの発信。政治家や著名人の発言。匿名個人のSNS上の発信。全てが対象になる。しかし、「意見」これはファクトチェック対象ではない。あくまで「事実かどうか」のみを問うのだ。
選挙の時期には、事実に基づかない言説が流布される傾向が見られる。このような言説を調査し、人々が誤った情報に惑わされないようにするのがファクトチェックの意義である。
沖縄。政府とは基地問題で対立してきた経緯がある。その経緯があっての、今回の選挙である。生まれる分断。何が事実で事実でないのか。選挙に当たって、人々の議論も必要だろう。生産性のある議論にするには、事実を前提にしなければならない。そうでなければ、まず事実関係を争う議論になってしまい、本来の議論に入れない。
そして、選挙とは民主主義の骨格となるものである。闊達な議論、そして選挙、これらの成熟こそが民主主義の成熟と言えよう。ファクトチェックはそれも担っていく。
今回は、FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ) http://fij.info/ というNPO法人が旗振り役となって、沖縄県知事選挙に関するファクトチェックを行う。その理事兼事務局長が楊井人文氏であり、今回の動画に登場するご本人である。6年前より、マスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GoHoo(ゴフー)」 http://gohoo.org/ を率いてファクトチェックを行ってきた。まだ日本にファクトチェックという概念がない頃からのことになる。
何のためにやっているのか。世を少しでも良くするために。少しずつでも、少しずつでも。歩みを進めている。今回のファクトチェック沖縄プロジェクトもそのために始めた。現実的な話だが、こういった活動には資金が必要だ。クラウドファンディングも立ち上げた。支援を募っている。応援したい方は、ぜひこちらへ。
https://camp-fire.jp/projects/view/94294
このプロジェクトを成功させたい。楊井氏の思いがある。ファクトチェックは誰にでもできる営みだ。プロジェクトに参加資格はない。一般市民からプロのジャーナリストまで、どなたでも歓迎である。詳しくはこちらを。
http://fij.info/archives/news_event/18082701
皆さんの参加を待っていると楊井氏は話す。誰しもの身の回りが、少しでも良くなる世の中へと。
辺野古映像提供:8bitNews
撮影・編集:西村晴子