フランス国鉄は3月22日、マクロン政権の国鉄改革に反対し、大規模ストに突入した。政府が方針転換しない限り、6月28日まで断続的に続けている。公務員労組も参加を呼びかけており、マクロン大統領には大きな試練となった。
制度改革は、鉄道員約14万人に認められた優遇措置を撤廃するもの。民間企業では退職年金支給は原則62歳からだが、鉄道員は50代前半から受給が可能。有給休暇、雇用保証でも特権が認められている。改革は国鉄の赤字体質を改善する狙いがある。
3月22日はストのため、高速列車TGVが通常の6割減、在来線が50~75%減の運行になった。航空労組もストに加わり、大手エールフランスの国内線は約3割減便。一部の学校が休校になり、保育所、病院にも影響が出た。
国鉄ストは4~6月の約3カ月で通算36日間実施される計画。国内最大労組「フランス労働総同盟」(CGT)のマルチネス書記長は21日、「鉄道員や公務員、年金生活者や民間労働者に参加を呼びかけ、全国140カ所で抗議集会を行う」と強調した。
また、マクロン大統領は入学者選抜に能力主義を吹き込もうと、高校の内申書を判定材料にすると決めた。「希望者が定数より多いなら、能力で決めるべきだ」という判断だ。
フランスには大学入試がない。バカロレアという高校卒業資格を取れば、誰でも国立大学に入れる。希望者が多ければ抽選。受験地獄と無縁で良い制度に見えるが、講義室は座り切れない学生であふれ、入学1年で3割が脱落する。4年間で学士(日本の大卒資格)を取得するのは4割だけだ。
そのため、フランスの大学や高校で反対する学生達が大学・高校を占拠したが、警官隊が突入して閉鎖を解除した。
そんな中、5月26日に、マクロン改革に反対するフランスの組合・政党・市民団体による大規模デモがフランス全土で行われた。パリ市内では東駅からバスティーユ広場まで行進し、8万人が参加した。そのほかの地域では18万人がデモに参加した。