ハッカチョウ(八哥鳥)という野鳥です。澄んだ大きなさえずり声を耳にし、近場を探したところ姿を見つけました。姿を見たのは1羽のみですが、もう1羽と鳴き交わしているのが分かります。
「ピュルル、ピュルル」というさえずりと、「ジー」という地鳴きの両方を確認できました。また、動画の最後では飛び去りますが、その際に、翼の下にある大きな白斑を確認することができます。一見すると、ただの真っ黒な鳥に見えるのですが、この翼の下の白斑、ならびにくちばしの根本の冠羽で、見分けは容易です。
この動画を撮影したのは、横浜市戸塚区と保土ヶ谷区の区境に程近い、国道1号線沿いです。お正月には箱根駅伝のコースでもお馴染みの場所です。ハッカチョウは外来生物で、各地での目撃証言はありますが、横浜では特によく見られる傾向があり、Googleの検索関連キーワードでも「ハッカチョウ 横浜」が出てくるほどです。
横浜市では港南区内で初の繁殖が確認されており(出典※1)、港南区を通る環状2号線沿いでは目撃証言が多いとされます。港南区の上永谷では、かつて数百羽の群れが空を埋め尽くし、鳴き声による苦情もあり、行政が対策に乗り出したこともあります(出典※1)。
撮影場所で常時確認されるのは、4羽程度の群れです。数は少ないですが定着はしているようで、よく声や姿が確認されます。
ハッカチョウは外来生物であり、古くは江戸時代から日本で飼育されていた記録があります。籠抜け鳥が野生化したものと思われ、京都では1970年代に営巣活動が観察され、神奈川では1980年代に繁殖が記録されています(出典※2)。外来生物としての影響は、定かではありませんが、近縁であるムクドリと関係があるのではないかという説もあります(出典※2)。本来の自然分布は、中国中・南部、台湾、ミャンマー、ベトナム、ラオスです(出典※2)。
おそらくはその鳴き声の美しさから、江戸時代に日本に連れてこられ、野生化したハッカチョウ。外来生物ということで日本在来の野鳥に何らかの影響を与える可能性があったり、大きな群れを作ることから鳴き声の被害や糞害もありますが、ハッカチョウにしてみれば、自分の生きられる環境で精一杯生きているに過ぎません。人間の都合に翻弄される命でもあります。街中でハッカチョウを見かけたら、「珍しい鳥を見た」だけでなく、命の軽さと重みを考えてみるのもいいかも知れません。
※1「タウンレポート 剪定効果?消えた群れ 上永谷のハッカチョウ」
https://www.townnews.co.jp/0112/2012/10/18/161334.html
※2「国立研究開発法人国立環境研究所 侵入生物データベース ハッカチョウ」
http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/20370.html