2018年3月5日、「民進党」増子輝彦幹事長の記者会見が行われた。
■冒頭発言
【幹事長】
先週、国会審議の中で大きな動きがありました。ご案内のとおり、政府側としては「働き方改革」、まさに今国会の一丁目一番地であり、「働き方改革国会」と安倍総理みずからが命名したように、ここが最大の重要な法案であります。
このことについて、裁量労働制の適用拡大についての除外ということが明らかになりましたし、今後私どもとしても、これらを含めてさらにしっかりと国会の議論を通じながら、高度プロフェッショナル制度の問題についても除外をしていきたい。今後とも国会でそういう論戦をしながら、その実現をしていきたいと思っているところでございます。
きょうも参議院(予算委)の集中審議が行われておりまして、私どもの足立信也政務調査会長と石橋通宏議員が大変いい質疑をしたと思っております。
【幹事長】
あわせて、もう一つ。新聞報道で、国会に示された森友学園の資料に改ざんがあったのではないかという問題については、衆議院の財務金融委員会と参議院の予算委員会で、ともに財務省がこのことについてあす報告するということが一応決まっておりますが、それらを含めてしっかりと事実関係を確かめていきたいと私ども思っております。
場合によっては、これは公文書偽造という大変大きな問題にもつながってまいりますし、財務大臣の責任問題、あわせて内閣自体の問題ということにもなっていく可能性もありますが、まだ現時点ではその真偽のほどが確かではございませんので、あすの報告を待ちながら、いろいろな形の中で私どもとしても対応していきたい。
いずれにしても、先ほど申し上げた「働き方改革」法案についての問題。今回のこの原本と違うのではないかということ。これもさきの野党6党の幹事長・書記局長会談や、さまざまな国会対策委員長たちのご努力によって、やはり野党が一致結束すればしかるべき成果がきちっと得られる。安倍一強政治に対峙していくためには、やはり野党がしっかりと連携して、一致結束してやっていくことが極めて大事だということが証明された一つでありますので、今後とも私ども、立憲・希望・民進を中心として野党連携をしっかりやっていきたいなと、そういう思いを持っているところでございます。
質疑
【France10・及川局長】
次の日曜日で東日本震災から7年になる。現在の復興状況と、安倍政権の復興政策について、福島出身であり福島選出の議員である増子幹事長に伺いたい。
【増子幹事長】
あの大震災、東京電力第1原発の事故から3月11日で7年が経過いたします。
私ども政権与党時代に発災したこの未曾有の大災害。私ども1年9ヵ月の政権与党時代に、やれることは全てやろうということでしっかりと対応してきたつもりであります。当時の野党から「遅い」「何もやらない」等々のご批判をいただきながらも、全力でこの対応をしてきたつもりであります。
同時に、この災害復旧についてはオールジャパンでやっていかなければいけない。そんな強い思いを持ちながら、今の政権の進め方について、私どもは重箱の隅をつつくようなことはやらない。あくまでも建設的な支援、どうやって災害から復旧させていくのか。特に福島原発の放射能との戦いの中で苦しんでいる方々と、どのような形で一日も早くこの福島に戻れるか、福島の現状を回復していくかということに、一緒になって頑張っていきたいと思って今日まで取り組んでまいりました。
東日本大震災からの復旧については、一定の効果が上がってきていることは事実でありますが、しかし、日の当たる場所だけではなく、まだまだ日の当たらない苦しい生活を強いられている人々や地域においては、今後しっかりと対応していかなければいけないと思っております。
私から言うと、ようやく5合目に達したぐらいなのかなと、そんな思いを強く持っております。ただ、福島の場合はご案内のとおり原発との戦いですから、まだまだこれからの対応が極めて重要でありますし、ここについては3合目ぐらいなのかなと、そんな思いを持っております。
特に燃料デブリの取り出しや汚染水という、福島第1原発、1Fの収束には長い時間がかかる。場合によっては100年ぐらいかかるかもしれないという危機感の中で、これに伴う風評被害対策、あるいは子どもたちの健康や安心の問題、あるいは農産物の問題。さまざまな課題が山積しておりまして、よく言われる「二つの風」、風化と風評被害。これらとしっかり対峙して、一日も早い放射能災害からの復興というものを、私どもはオール福島、オールジャパンでしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
この10日に福島の復興道路の一部が開通する予定になっておりまして、ここにはどうも安倍総理もお見えになるという一部報道がされております。私は前から申し上げているのですが、総理にも、でき上がったものだけに参加するのではなくて、陰の部分、なかなか現状厳しいところにも足を運んで、その現状をしっかりと自分の目、自分の体と心で感じ取ってほしいということは質疑を通しても申し上げてまいりました。ぜひ、短時間・何ヵ所も回るのではなくて、やはり厳しい現状のところに足を運び、じっくりとそういう被災者の声を聞きながら、これからの復興のための努力もいただきたいということをお願いしている最中でございます。
いずれにしても大変厳しい現状の中で、オールジャパンの中でしっかりと今後の復興・再生のために努力してまいりたいと思っておりますし、民進党としても福島復興・原発事故対策本部、私が本部長として今取り組んでおりますので、今まで以上に復興の加速に取り組んでまいりたいと思っております。今日まで復興に大変頑張ってきた方々に感謝申し上げると同時に、被災し依然として苦しんでいる方々には申しわけない気持ちでおりますが、さらに皆さんが安心できる体制づくりにしっかり取り組んでまいりたい。そんな気持ちでいます。
【ゲイレポーター、酒井佑人】
ゲイレポーター、酒井佑人(27)です。2月12日の朝日新聞の記事で、学生が奨学金を返せずに、その奨学金破産が親族まで広がっており、過去5年間の自己破産が1万5千人ということだった。今、奨学金に苦しむ若者に対してどのような対案をとっていくのか。具体的に対案を伺いたい。
【増子幹事長】
ご案内のとおり、奨学金の問題は国の重要な課題の一つであります。給付型という形を含めて、今後どのような形で奨学金制度をきちっと制度化していくかということは、政府はもちろんのこと、我々にとっても大変重要な課題でございます。
今の政府も、一部このような形の中で、奨学金制度についての改善に取り組んでいることは一定の評価はいたしますが、私は、今まで受けてきた方々、今後受ける方々、それぞれの今後のきちっとした方向性をもう一度しっかりとつくり上げていかなければいけないと思っておりますので、これから受ける方々については給付型をしっかりとやっていかなければいけないのではないかと思っております。
今まで受けた方々についての返済についても、ある意味では猶予期間を少し延長するとか、あるいは何らかの形でこれらの皆さんの人生設計の中で大きな負担にならないように改善ができるということがまだあるならば、これは我々もよく検討していかなければいけないと思っております。
特に大学進学ということがこれからの人材養成の中で一つの非常に大きな要素だと私たちは思っておりますので、学びたい人が学べる環境をしっかりとつくり上げていくことは国の責任であると思っております。これについても与野党の壁はありませんので、よく政府側とも連携をとりながら、私どもの党としてもしっかりとそういう体制を確立していきたいと思っています。
【「France10」・及川局長】
東京工業大学の中島岳志先生が先週の東京新聞の「論壇時評」で、個別的自衛権について、「現状において、個別的自衛権は憲法上、認められている。日本は他国からの攻撃に対して応戦する権利を有している。この自衛権の行使は、戦争にほかならない。戦争では、国際人道法違反としての『戦争犯罪』が生じることを想定しなければならない。しかし、日本には戦争犯罪を扱う法体系が整備されていない」と軍司法制度の必要性を説いているが、幹事長は軍司法制度が必要だと思われるか。もし必要だとしたら、どのように整備すべきか。その点について伺いたい。
【増子幹事長】
中島岳志先生とも大変親しくおつき合いをさせていただいて、いろいろな形の中でまたご教授いただいております。
私どもとしても、私個人としても、個別的自衛権はもちろん我が国は保持するわけですから、他国からの侵略があればそれについて対抗することは当然のことだと思っております。しかし、それは専守防衛ということで私は考えているわけですが、それにかかわる今のような問題については、日本の国では、過去の大戦ということも踏まえながら、どのような形できちっとしたものをつくっていくかということ。今後の私どもにとっても実は大きな問題提起だと思っていますので、そのことについてはまた幅広くご意見をいただきながら、しっかりと一つの形をつくっていくことも必要かなと。個人的にはそんな思いを持っています。
取材&文:酒井佑人(ゲイレポーター)