2017/05/30 国際
【現地ルポ】日本と韓国の選挙はココが違う!

5月9日に行われた韓国大統領選挙。僕は5月2日〜5月12日の10日、選挙を生で見るために韓国に滞在していました。日本にいる友達によると「韓国の選挙はトランプさんの選挙ほどの盛り上がりはなかった」。そんな韓国大統領選挙ですが、やはり現地は大盛り上がり。選挙後、韓国の選挙特番が面白いというニュースを耳にした人もいると思いますが、それにとどまらず選挙戦もエンターテインメント要素満載であることをご存知でしたでしょうか。

韓国では選挙前になると、街中が選挙一色になります。僕は10日間のうちのほとんどをソウルで過ごしたので、他の地域は分かりませんが、選挙期間中のソウル市内は、まるでソウルという大きな土地を利用した「選挙テーマパーク」。そんなテーマパークの開園から最後のパレードまでをご紹介します。

「今回の目標は投票率80%以上」

ソウルの街を歩いていると、投票を促す啓発活動をよく見かけました。今回の選挙は、朴槿恵元大統領が弾劾を受け、その空いた大統領の座を埋める補欠選挙という扱いなので、国民の関心も高いはず。投票参加を促す必要もないのかなと思いましたが、韓国の友人に聞いてみると「今回の選挙での投票率は80%を超えてほしい」と話していました。結果的に目標は達成できませんでしたが、目標値がとても高いのは日本と違いますね。

実際に投票を促している方に聞いてみると「世代別投票率で20代の投票率が低い。だから若い人の投票参加を促したい」と話していました(2012年の選挙における、20代の投票率は68.4%と最下位)。韓国の若い人の中には、投票は消極的な選択という考えがあり、それにはデモが持つ影響力の大きさが関係しています。「ろうそくデモ」がパクさんの弾劾を後押ししたと言われるほどの影響力。これまでにも韓国では、デモで社会を変えた、という成功体験があり、デモに参加しても投票には参加しない若者が一部存在します。その点において、日本と韓国の投票を促す活動には、こうした背景の違いがありました。

ダンス苦手な人は運動に参加しにくいレベル

主要大統領候補5名の選挙運動を見に行きましたが、どこに行っても音楽がガンガンに流れ、周りにいる人はリズムに乗って踊っていました。一時流行った「イヤホンガンガンゲーム級」。さらに、みんなダンスが上手いのです…!絶望的なリズム感を持つ僕はただただ傍観するのみ…。

5名の候補者の演説を見て来ましたが、特に印象的だった一言がありました。
「国民の党」の安哲秀さんが8日光化門で行われた演説

「今日は来てくれてありがとう。今日の写真はインスタにあげてくれ」という一言。

若い人の多くが利用するInstagram。5名の候補者ともに、FacebookやTwitter、Instagramのアカウントがあり、若い人の文化の中に政治家の姿が現れる、これは日本では想像しにくいことですよね。

グッズがあれば10倍楽しめる

東京ディズニーランドやUSJに行くと、キャラクターの帽子やペンライトなどグッズを買いますよね。ただ身につけているだけなのに、本当にその世界に入り込んだ気になれるグッズですが、ソウル選挙テーマパークにも楽しさが倍増する“グッズ”がありました。見かけたのは文さんと安さんのみでしたが、支持者の多くはそれを身につけて演説を聞いたり、選挙運動に参加したりしていました。

フィナーレはパレードで

第19代韓国大統領に選ばれた「共に民主党」の文在寅さん。勝利演説は光化門で行われました。
それはまさにパレード。天に向かって上る青い光と花火と共に、大きなモニターには文在寅新大統領の姿が映し出され、胸にドンドン響くような大音量の音は会場を、人々をより一層熱狂的にさせました。周りを見渡せば、青いハンカチや青いペンライトを握って踊る人々。青に染められた光化門は本当に美しくて感動しました。

パレードの後はチメクパーティー!

韓国では、お祝いの日にチキンを食べながら麦酒(メクチュ)を飲む「チメク(치맥)」という文化があります。韓国の友人のカレンダーを見ると、5月9日にビールのマークが…。友人によると、新しい大統領が選ばれるということは、国にとって前向きな出来事ということで投開票日はチメクをしたまでそうです。ちなみに、朴さんが弾劾を受けた日もチメクをしたそうです…!

まとめると、韓国の選挙はエンターテインメント

日本での選挙運動といえば、選挙カーや街頭演説。特に若い人は日本の選挙運動は「ダサい」という印象を受ける人もいるかもしれません。その点、韓国はダンスがあったり、候補者をテーマにした替え歌があったりと、肌感覚でいうとまさにパレード。これまで見てきたように、日本に比べて「エンターテインメント」要素が多いと思います。政治が若者に歩み寄ること、若者が政治に歩み寄ること、ともに大事なことですが、日本の選挙にも面白い仕掛けやエンターテインメント要素を入れて選挙戦が盛り上がってほしいです。

 

プロデュース :吉川敦也
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