2016/08/27 地域
堀潤氏メディアリテラシー講座 情報とどう付き合う?報道の裏側から子育て情報の読み解き方まで

「大人の社会科 ̶ジャーナリスト堀潤さんと学ぶモヤモヤの解決法」

2016年6月25日、浦安市堀江公民館で行われた講座「大人の社会科 ̶ジャーナリスト堀潤さんと学ぶモヤモヤの解決法」。これは幼稚園・小学校の子どもを持つ保護者の勉強会「堀江公民館子育てミーティング」の公開講座で、堀潤さんをお呼びするのは、昨年9月に続き3回めになります。

テーマは「身のまわりにあふれる子育て情報との付き合い方」。「3歳までに読み聞かせ一万回」「英語とピアノは小さい頃から」など、口コミやテレビ、ネットから次々に耳に入ってくる子育て情報に振り回されないためには、どうしたらよいのか。堀潤さんが教えてくれたことをレポートします。

 

■情報のカラクリを知るには自ら発信してみること

熊本地震が起きたとき、取材を続けていましたが、 あるとき、3 人の子どもを持つ女性からS0Sのメールが届きました。そのメールによれば、地震で家の前の道路が崩壊して、困っているけれど、私道であるために公的な支援が受けられず途方に暮れていると。まずは現状をスマホでいいので動画で撮るよう伝え、送られてきた動画を主宰しているニュースサイト「8bitnews」で発信しました。すると、次第に似たような状況 にいる人や協力者が現れ、ネットニュース、地元紙、地元テレビ、東京キー局と大きく取り上げられるようになりました。

どうして、このような連鎖が起きたのか…それは紛れもなく、本人からの情報だったからです。そのとき、どのメディアにも女性が撮影した動画が使われました。情報は当事者から離れれば離れるほど、信憑性を失っていき、さらに 第三者が撮影して語るより、実際に被害に遭った当事者 が語る方が、情報として価値が高いということがわかります。

 

■「クレジット」を探そう

じゃあ、「読み聞かせ一万回」をいっしょに検索してみましょう。すごいですね。100万件ヒットしました。「子ども3人を東大に入学させた」という女性の記事や育児ブログなどを読み進めていくと、それらのページに共通して大手学習教室名があります。そういえば、検索結果の一番上にもありました。どうやら「3歳までに読み聞かせ一万回」はその大手学習教室のスローガンのようです。そこで公式サイトを見てみると、確かに 「読み聞かせ一万回」という言葉が出てきます。ん、でも少し違う。そこに書かれていた のは、「読み聞かせを一万回してあげる『くらい』の言葉のコミュニケーション」が 重要で、それは「たとえば1日10回読み聞かせをすれば、3年足らずで達成できる」ということでした。

大手学習教室の「読み聞かせを一万回する『くらい』のコミュニケー ションが効果的」という育児のススメが、「3歳までに読み聞かせを一万回すべ し」という情報へと変化して広まっているということがわかりました。情報は人から人へと伝言ゲームされるうちに、余計なニュアンスが加わったり数字が変わったり、もとの情報から異なるものとなり、「世界の真実」のようになってしまいがちです。口コミなどは、ほぼそのような伝言ゲームでしょう。

そんなカラクリを見破れるためには、「クレジット (credit)」がどこかを知ることが大切」です。クレジットとはつまり、 「誰が言っているのか」。「〇〇によりますと」といわれるものです。「これ、ホント?」と思ったら、まずは「クレジット」をチェックです。そして、実は「〇〇によりますと」にもいろいろあります。たとえば「安倍総理大臣によりますと」、「安倍総理大臣の関係者によりますと」、「政界にくわしい関係者によりますと」。細かくみていけば、どの情報と距離を置けばいいのかわかってきます。

 

■「意見 opinion< (より)事実 fact」 「大きな主語 < (より)小さな主語」

クレジットがどこかわかったら、次はこの2つのポイントでしっかり情報を見極めていきましょう。

1つめは「意見より事実」。日本語は「意見」と「事実」の境界線をにごすのが得意な言語です。なので、「意見」を「事実」として鵜呑みにしてしまいがち。 たとえば、「今、日本は大きな不安感に包まれています」というのは客観的に事実を述べているようですが、あくまで意見なのです。混同しがちだけれど、事実があってこその意見。意見だけでは説得力はありません。

2つめは「大きな主語」より「小さな主語」。たとえば「今、日本は大きな不安感に包まれています」の主語は「日本」。なので大きな主語。これを「今、私は大きな不安感に包まれています」にすると、主語は「私」なので小さな主語になります。前者は「日本」のすべてについて、語っているので推測でしかないですが、後者は私が「私」のことを語っているので確かな情報ということがわかります。大きな主語は「意見」、小さな主語は「事実」に近いです。大きなことをいうほうが、インパクトがあるし共感も得やすいけれど、実体が見えづらい分、誤解を招きやすいのも事実です。

 

■情報は「信じるか信じないか」ではない

そもそもメディアから流れてくる情報を全面的に信用すべきではないという堀さん。よく「どのテレビ、ネットを信じればよいのですか」と聞かれるそうです。ある調査によれば、日本人の約70%は「メディアの情報を信用している」と回答したのに対し、アメリカなどの国では30%ほどでした。世の中では毎日たくさんのことが起きていますが、メディアを通して耳に入ってくる情報はそのごく一部のみ。すべてを知ることはできません。情報はあくまで自分が何か選択をするときに参考にするものであり、道具にすぎないということ。「信じるか信じないか」ではないのです。

今まで日本は数えられる位の情報源しかなかったし、そんなに大きな社会不安もなく来ていました。ところが、ネットを含めメディアの数は増え、格差が広がり、家族の形も多様化している、自分で考えて判断しなければいけないことが増えてしんどいですね。そんなとき、このポイントを思い出して、情報から距離を置きながら、ある意味、気楽につきあってほしいと思っています。

そして、発信することは受信力も高める。「ぜひ発信を!」としめくくりました。

 

さて、今回堀さんが教えてくれた、情報の見極めかた。まとめると、

・信用できるクレジットがある?

・意見ではなく事実?

・主語が小さい?

・当事者に近い?

この4つ。さらに情報によっては「距離を置くこと」も重要です。

(レポート 徳元沙妃)

(動画編集 蔵原実花子)

プロデュース :Haku Tomo

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