2016/07/27 地域
【熊本地震3ヶ月】続報:西原村私道問題 前進と新たな課題の発見

「私道問題」として8bitNewsで幾度と取り上げてきた熊本県西原村河原地区。

10世帯が暮らしてきた団地につながる私道は、一連の地震によって崩落。未だに修復に至ってはいない。住民は「一般社団法人まけんばい河原」を立ち上げるとともに、行政との話し合いやクラウドファンディングでの支援集めを続けている。

7月14日で一連の熊本地震から3ヶ月が経過した今の現状(変化)を取材した。

 

【変化①アスファルト下の穴の拡張】

スクリーンショット 1

宅地の地盤に広がる地割れなどから雨水が流れ込み、さらなる地盤の低下を招いている。アスファルト下の土は雨で次第に流され、子供が一人入れそうなほどの穴が出来ている箇所もあった。他にも大きな穴が空いている箇所があることも懸念されることから、重機などを入れての作業は到底出来ない。アスファルトがいつ抜けてしまうかもわからず上に乗ることすら危険な状態になっている。

 

【変化②二列目の宅地の動き】

スクリーンショット 2

「まけんばい河原」代表であり団地の住民の西村さんは、地盤のズレを記録するため定期的な測量を続けている。近頃の測量によると、私道である公衆道路沿いの一列目だけではなく、その奥に建てられている二列目の宅地にも動きがあることが見えてきたそうだ。西原村では余震は収まったが、降り続く雨により私道ののり面の土が逃げ、その連鎖で宅地の地盤も多少ではあるが逃げていく状況にある。

 

【変化③ずさんな造成工事の発見】

スクリーンショット 3

大雨により私道ののり面が崩れていくことをきっかけに「嬉しくない進展」もあった。取材を行った7月16日に西村さんが発見したのは、崩壊したのり面から見えてきたずさんな造成工事の跡だった。工事では産廃処分物とされる建物を崩した時に出るアスファルトのガラが使われていたのだ。ガラが使われることにより開く穴は強度不足を招き、雨が浸透しそれが乾いたときにガラガラと崩れてしまう。手で軽く触っただけでもガラガラと音を立てて崩れてしまう箇所も多く見られた。応急処置をしようとも、勝手にしてしまうと行政の支援が得られた際に対象にならない可能性もあり、手がつけられないままの状態で放置するしかない状況が続く。

 

【変化④行政の動き】

スクリーンショット4

「まけんばい河原」は地震から1ヶ月ほどが経過した5月16日に行政側に鎮守書を提出したが、その際は「対処できない」「従来通りの制度で住民で直して」との回答しか得られず困惑。しかしその後団地の住民が一丸となって発信を続けてきたことで次第に西原村での「私道問題」がクローズアップされるようになったことから、議会でも引き続き審議がされるようになった。今では、国が作った特例措置を使えないかというのを村の議会が動いている。どれだけの補助金が出るか、住民とのどういう持分になるかは、今後の交渉次第だ。

 

「まあどっちにしろ、二、三年、二年以上はかかるんじゃないですかね。今年度事業採択がもしギリギリしていただければ、来年度から2カ年くらいの予算で復旧工事ができるかできないか。っていう漠然となんですけど、いうとこまでは、1ヶ月前まではそこまで出てきてないですから。そこはだいぶ進歩が出てきたかなと。」西村さんは、二、三ヶ月前とは違う状況に前進したことを感じるとともに、先の長い復興への道に思いを巡らせた。復旧工事の始まりは、自宅を取り壊すということも意味する。

 

「まけんばい河原」では、道路の復旧にかかる当面の費用や地域の農家などをへの支援金を集めるためのYahoo!のネット募金を活用した取り組みを続けている。

 

Yahoo!Japan ネット募金「西原村内私道の復旧と生産者・農家の方々に支援を!」

http://donation.yahoo.co.jp/detail/5074001/

 

「他県の方たちは、まだ言ってるのみたいにいうと思うんですが。でも当事者になったら初めてわかると思うんですけど。実際まあ復旧は全然できてないので。ただ私たちも待ってるわけじゃなくて。まず一番に被災した人間で動ける人は動くということかなと。動けない方もいらっしゃるんですよね。それは千人いたら千人状況が違うから。動ける被災者が動いていく。そしてその中で知ってもらってどんどん現状を打破していくことが大事なのかなとつくづく思いますけど。その一つにクラウドファンディングがあると。クラウドファンディングが主じゃなくてそういうのが大事かなと。そして支援の輪を広げていって、頑張ろうよという声を集めて。そうすればだいぶ復旧も早くなるのかなと思います。」西村さんはこう語る。

 

「まけんばい河原」の復興への道のりは、まだまだ始まったばかりだ。

 

プロデュース :kasumi
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