2015/10/07 地域
鹿児島放牧豚 えこふぁーむから考えるTPP農業と食問題 
   〜豚さんにも夢見る人生(豚生)がある〜

鹿児島県肝属郡にある農業生産法人「えこふぁーむ」さんでは豚さん達を
耕作放棄地や荒廃した里山、竹林等に放牧して育てています。
何故このような取組みをしているのでしょうか?

一般的な大手企業などの養豚場では狭い檻の中入れられて、一頭一頭密接した
環境の中で、ただ餌を与えられ、成長し、いずれ食べられるだけの豚生を
送っています。また、流通に都合がよい100kgくらいのサイズになる約7〜8ヶ月
で出荷されていき、その分生産量も増やす事が出来ます。
一方でえこふぁーむさんでは独自の調べで一番美味しいと思われる140kg以上の
サイズで1年かけて出荷しており、洞爺湖サミットなどでも使われ高い評価を
得ています。
放牧しているのは現在年間100頭というかなり少ない数での飼育なので、
大量生産はもちろん出来ませんが、その分ストレスなく育てられた豚さん達は
薬剤に依存せずに元気に育ち、私たちに安全なお肉を提供してくれています。


では何故耕作放棄地や荒廃した里山に放牧するのでしょうか?
現在、農業従事者の高齢化や後継者不足により耕作放棄地や荒廃した里山は
かなり
増えています。それを解決するには人が手を加えるしかありません
でしたが、そこに豚さんを自然放牧する事で、生えている植物は豚さん達に
とっては餌となり、また地中の虫や微生物、ミネラルを求めて1メートル以上も
土を掘りかえしていく
彼らの習性により自然と耕されて行きます。
放牧面積は豚さん1頭当たり200㎡以上。それによりストレス無くすくすくと
育ちます。更に子豚の生産も人の手をかけず自然交配、自然分娩を行っています。
母豚は土を掘って巣作りをして、自分で子育てをしていきます。

豚さんによって再生された耕作放棄地で、今度は人間が豚さんの飼料になる
穀物や野菜、お米等を無農薬で作り、農地の修復を行います。また里山には
ドングリ等を植樹して再生していきます。そこで取れたものがまた豚さんの
飼料になったり、野菜は
自社のレストラン等で使われていきます。

平成27年度の農林水産省の情報によると畜産物の1kg辺りの生産に必要な
穀物量は牛11kg、豚7kg、鶏4kgとその何倍もの飼料が必要だと言われています。
私たちが肉食になればなるほど、飼料となる穀物の需要は高まります。
しかし飼料の日本の自給率は低く、そのほとんどは海外からの輸入に頼っている
というのが現状ですが、えこふぁーむさんではもともとやっていた廃棄物処理業
の経験を生かし、一般的にはリサイクルしにくい食品残渣を2年がかりで研究して、
そこから飼料を作り出す仕組みも作りました。
そこで使う食品残渣はもちろん添加物や保存料の入ったものは避けており、
飼料には抗生物質や成長ホルモン剤、保存料は添加せず、また薬剤投与や
ワクチン接種もできるだけ控える事で、豚さんのもつ免疫力を高め自然な
健康を維持できる環境作りをしています。
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耕作放棄地 → 豚さんによる耕作 → 農地や里山の再生(畑利用)→
安全な飼料→ 豚さんの成長 → レストラン、加工品 → 食品残渣 →
安全な飼料  → 豚さんの成長 → 耕作放棄地

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こんな理想的な循環型農業や社会がここには出来ています。
豚さんにとって少しでもよい環境を作ってあげ、さらに、いつどこでどのような
生活をしていたのかといった情報もシステムの中に入れており、そこで出来た
安全な豚肉は消費者にトレーサビリティーとして情報を公開できるような
仕組みにもなっています。

一般的に問題となっている食品廃棄物の一部が安全な飼料となり、自分たちが
耕した畑で出来た穀物や野菜で成長し、耕作放棄地を耕しながら元気に走り回り
更に成長し、安心で美味しいお肉となり消費者の私たちを元気にしてくれます。
だから単にお肉を食べているのではなく、命を頂くという大切さを知る事が
出来るのです。

長く話し合いが行われて来た中、現在TPPは大筋合意を得ています。
甘利TPP担当大臣が発表した政府統一試算によると実質のGDP(国内総生産)が
約3.2兆円増加する一方で、農林水産物の生産額は3兆円減少すると言われて
います。ただしその関連事業における政府による試算はされていません。
しかし一部専門家や大学教員等による試算ではもしそう仮定した場合、
それに関連する事業(製造、商業、運輸等)の生産額も約7兆円減少し、
合わせてその額は約10兆円になるといいます。なのでこれらを考慮すると
GDPは
約4.8兆円減少するという試算もされています。
更に日本では食料自給率をあげようとする一方で、TPPにより輸入が緩和される
事
で今まで以上に食品の輸入が増え自給率の減少も懸念されています。
2013年の農林水産省のデータによるとTPP加盟により国内の農畜産物の
生産量が大幅に減少する見通しで、その農産物の代表は小麦と砂糖言われており、
これは99〜100%が輸入品に変わる試算です。また牛肉に関しては68%、
豚肉に関しては70%が置き換わ
ると言われています。
南の離島等ではサトウキビの生産で成り立つ場所もあり、砂糖の輸入が進む
事によって離島の人口不足、更に無人化なども懸念されています。

 

世界の人口は70億人を突破し、世界全体の中では食料問題が深刻化する中、
本来食べられるのにも関わらず廃棄されてしまういわゆるフードロスの問題も
出ています。
因みに日本では、平成21年度農林水産省推計によると年間約1,800万トン
の
食品廃棄物が排出されており、このうちフードロスは500~800万トンと
試算されて
います。

日本など本来は食料自給がある程度出来る国での食料輸入の需要が更に高まると、
環境的に食料自給するのが難しい所や途上国等への食料調達が行き届かなかくて、
世界の飢餓を更に増やす可能性等も出ています。

一方で世界的に豪雨や干ばつなど自然災害などが増えている中、穀物の代表である
小麦やトウモロコシ等安定した生産が出来ず価格などが高騰している現状もあります。
また一部地域では水不足も深刻化しており、必ずしも輸入に頼る事が出来るとは
限りません。

平成27年3月に新たに閣議決定された食料自給率の目標を日本政府は2025年までに
カロリーベースで39%→45% 精算額ベースで65%→73%、
飼料自給率は26%→40%
まで引き上げる目標を立てています。

しかしながらTPP加盟後の食料自給率は現在の40%から27%と予想されています。

更には食事の欧米化による癌等の発生率が高まっている可能性や食品添加物、
残留農薬、遺伝子組み換えの表示の緩和などにより食の安全への影響も
懸念されています。

農業に関しては、日本の優れた技術や品質で世界に向けてのブランディグ化に
より、利益を上げる可能性も出来る反面、農業就業者の高年齢化(65歳以上が
約6割)が進む農業生産者にとってはダメージも増え一次産業者の失業率を
招く可能性も出ます。

「私たちは手放しで安い輸入食品の受け入れを喜んでいいのでしょうか?」

消費者にとって安く物が手に入るというメリットだけでなく、
それ意外にもいろんな視点から問題点を観ていく必要があると思います。

えこふぁーむさんでは農業を通じて、誰もが差別、区別なく働ける場所になる
農マライゼーション実現し、これらの多岐にわたる問題を少しでも解決出来る
ように取組みをして、地域の再生を目指しています。

普段なかなか気にする事の少ない食べ物の背景ですが、自分たちが
食べる物がどうやって作られているのか、毎回の食事では無理でも、
時々でもそれをふと考えてみるのはいかがでしょうか?
そこからまた得られることがきっとあると思います。

 

農業生産法人 えこふぁーむさんのH.Pはこちら
http://www.eco-pig.net/

プロデュース :城島めぐみ

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