2014/06/26 政治
都議会のセクハラ野次 vs 元ラブホテル支配人の「性産業から見たデフレ」という包括的な少子化分析

塩村文夏都議に対する鈴木章浩都議と複数の自民党議員によるセクハラ野次に日本のメディアは素早く反応し批判した。女性軽視の軽薄な野次の裏には、少子化の責任を一方的に女性に押し付ける反知性的で傲慢な思考が見える。

少子化の原因とは一体何なのだろうか?

元ラブホテルの支配人としてブラック企業で働いていた庶民の立場から、風俗業界の変化を通して世の中を見てきた、政治団体「選挙JAM」メンバーの宮腰崇文さんの「性産業から見たデフレ」というユニークな切り口の政治批判を紹介する。

「自己責任」という言葉を使いたがる政治家とは対極に、宮腰さんは、政府がデフレを解消する政策を取らないことに様々な問題の元凶があると考えている。男女が結ばれにくい世の中になっていることや少子化もデフレと密接に関係していると彼は考える。

宮腰さんによると、近年のラブホテルの利用客はカップルではなく、客がホテルから風俗店に電話して女の子を呼ぶ、デリヘルがほとんどだと言う。カップルが来るのは週末くらい。しかし昔からそうだったわけではなく、カップルが実際減っているという現状がある。20代、30代の若い世代で、男性の7割弱、女性の6割強が恋人がいない。人口統計調査によると30歳から34歳の男性で性交未経験者は26%。男と女がなかなか結ばれない世の中になっていている。

カップルが減る一方、風俗で働く女性は増えていて、警視庁によると全国の性風俗店は約2万件で、約30万人の風俗嬢がいる。違法に営業しているところもあるので実態を正確に把握するのは難しいが、統計だと20代の女性の40人に1人、首都圏だと20人に1人が性風俗店で働いたことがあるという。

この状態は女性の貧困問題と切っても切り離せないと宮腰さんは言う。シングルマザーの80%が貧困状態にあり、風俗嬢の4人に1人がシングルマザー。子どもを抱えるシングルマザーは残業をするのも難しいし、子どもの都合に合わせて生活しなければいけないシングルマザーを企業はあまり採用しない。その点風俗は昼の間に働くこともできるし時間の融通もきくので、風俗がシングルマザーや貧困女性にとってのセーフティーネットになっているという。それは政府が貧困女性のためのセーフティーネットを設けていないからだ。セーフティーネットが無い上に、政府がデフレを解消する政策を取らないので、貧困や格差がどんどん広がり、ブラック企業も増える。

デフレになると、お金の価値が上がって、物やサービスの価値が下がる。低賃金長時間労働で賃金が下がればお金は使えないし、休みが少なくてお金を使う暇もない。消費が冷え込んで需要が減り、供給多可になり、物やサービスが余る。供給多可の物やサービスの価値は下がり、それに比例してそれを生み出す労働の価値も下がる。労働の価値が下がれば、低賃金長時間労働のブラック企業も増える。このように現在はデフレがどんどんスパイラルしている状態。

世の中にカップルが減っていることとデフレは関係していると宮腰さんは言う。現在、デフレによって低賃金で長時間働く人達が増えて、女性の貧困によって風俗に身を投じる人達が増えている。風俗業界もデフレ状態にあり、風俗をやる人が増える一方、風俗に来る人がお金を持っていないので、実際風俗店の値段は少し前と比べると値段は下がっているし、若くて容姿のいい女の子も多いという。低賃金長時間労働で時間もお金もない男性が多いので、普通の恋愛をする代わりに値段的に利用しやすくなった風俗を利用する人は増える。少ない給料から見栄を張ってデートにお金をかけたりして、普通の恋愛をすることは非常にコストパフォーマンスが悪い、という意識が芽生えるのも仕方の無いことだと思うと宮腰さんは言う。このデフレによって育まれた感性によって、いつの間にか、ラブホテルのデリヘル利用者が増え、普通のカップル客がほとんどいないという状態になった。

宮腰さんは、デフレは人々の心を歪めるという。妊娠していることを周りに知らせるマタニティーマークをつけていると、最近は嫌がらせを受けることもあるらしい。それは普通の恋愛をするのが難しいような生活を強いられていたり、結婚をためらうような所得しかない、子どもをなかなかつくれないような夫婦が増えている中で、妊婦は圧倒的な勝者に映るからだと宮腰さんは言う。結婚観に対する価値観の多様化とか、草食男子とか、誤魔化すような言葉はたくさんあるけれども、結局はみんな結婚もしたいし子どもも欲しい。そんな中だと、弱者が勝者である妊婦を優遇することが難しくなり、妊婦への嫌がらせのようなことが起きる。デフレによって心が歪められているのだ。政府がデフレ対策をしてより平等な社会になれば、国民の絆や団結は深まるし、子どもを育てる余裕もできる。宮腰さんは、心をつくるのは国民性や民族性、ましてや教育でもなく政治だという。変わらなければいけないのは庶民ではなく政治だ。

プロデュース :蜂谷翔子
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